「
蛸は足 置くとパスする ピタパかな 追われるスリル 捕まりスルリ」、「おっとっと 口が滑りて 秘密ばれ 夫とっとと 妻に弾かれ」、「新型が 常に出て来る いとおかし あの手この手で お菓子かしまし」、「動物を 輪郭で問う クイズ菓子 ボリボリ食べて 怪獣気分」
10日ほど前にまた嵯峨のスーパーで「おっとっと」の新しいデザインの箱が目に入った。いつものように2種売られていて、早速籠の中に放り込んだ。箱には「ありがとう40周年」のロゴマークがあって、なるほどそれくらいの歴史があるなと納得した。菓子の形を魚介から動物全般に広げたのはここ数年と思うが、筆者が気づいたのは去年1月で、それ以前からあったかどうかはわからない。森永製菓のホームページに「おっとっと」の新シリーズの歴史がまとめられているかもしれないが、意匠の豊富さの点ではロッテの「コアラのマーチ」と双璧であろう。後者は1980年代後半にすでに多くの種類が出ていて、数年はその図案を集めていたが、その後も続々と新しい図を印刷したものが販売され、追跡をやめた。「おっとっと」については去年以降の新シリーズを買い続けている。今回は箱の側面に「いつものなかまたち」は10種、「今だけのなかまたち」は24種と書かれ、前者は今日の2枚目の写真の左の10個だ。右の新種は16で8種足りないが、もう2,3箱買えば揃うかもしれない。今回は「全国のどうぶつ親子との夢のコラボ!」と題するシリーズで、パンダやヒゲペンギン、ミニカバやハリネズミなど、親子としてではなく、単体の外形が象られた。右の16種がそれぞれ何の動物に該当するかは箱の側面で確認出来るが、写真の表示は9種で、残りはホームページを確認してほしいとある。また箱の蓋裏に「参加していただいた動物園・水族館」と題して日本全国の40か所の名称が地域ごとに記され、今回のシリーズの製造に当たって、40周年記念ならではの手間をかけていることがわかる。スマホやパソコンとつながって菓子のアイデアを楽しむ時代となり、40年前は誰も想像しなかったことが生じている。またこのお菓子がそれほどの長期間販売されていることは、売れ行きがいいからとして、数か月で新シリーズを発売する工夫と努力があってのことだろう。そんな忙しいことをするのは日本くらいではないだろうか。味は変わらなくても見栄えを次々に変化させて固定ファンをつかむ。そのことはビールや発泡酒でもよく行なわれていて、多品種少量生産が顕著になったことを反映している。「コアラのマーチ」や「おっとっと」の全種類を、腐食処理を施したうえで収集している人がいるかもしれないが、パッケージも含めてそういう保存をすべきは、会社の資料室ないし開発に携わっている社員であろう。あるいはファンクラブがあって、ネットで情報交換や公開をしているかもしれない。筆者はそこまで熱心ではない。
5,6年前のこと、JR大阪駅の長いエスカレーターを上って行った先に映画館などが入るビルがあり、その中の旅行会社の出入り口付近に海外の菓子を詰め込んだ紙袋がいくつか置かれて売られていた。1000円であったと思うが、中身は買わなければわからない。二、三度買い、次に行くともう販売されていなかった。社員が団体旅行の引率で海外に出た時、帰る際に菓子を適当に大量に購入し、それを原価がだいたい揃うように適当に詰め合わせたものではないだろうか。当時から輸入食品販売店は都会ではどこにでもあり、旅行会社はそういう店から買って独自の商品に仕立てられるが、通路際の臨時テーブル上に少数を並べる状態では、熱心に儲ける気があったとはとうてい思えない。菓子はどの国でも甘いことが相場で、日本は菓子の種類が多いことでは世界で一、二を争うと筆者は勝手に思っているが、予想を裏切る菓子がその詰め合わせにはあった。どの国か記憶にないが、唐がらし味のキャンデーが意外に味わい深かった。それを個人輸入出来ないものかとネットで調べたところ、結局わからなかった。たまにそのキャンデーを思い出し、輸入食料品の菓子コーナーを見るが、該当するものはない。ネットによってどんな商品でも世界中から買える時代になっているようだが、本や衣服はいいとして、食品はまだそうはなっていないのではないか。そのためかどうか、日本のお菓子を独自の化粧箱に詰め込み、一箱数千円の価格で世界中にネット販売している若い女性がTVで紹介された。月商か年商かは忘れたが、数億円の売り上げがあるという。彼女の目のつけどころは独創性があるというほどのものではない。前述のようにごくわずかな数だが、海外の菓子を詰め合わせて売っていた会社があったし、そのアイデアを逆にして日本から海外発信すればよい。となると海外でも同様のことをする個人がいるはずだが、日本には強みがある。日本のお菓子は2週間で新シリーズが出る場合があり、そのように目先が次々に変わることは世界でも珍しいからだ。それに味や食感も独特なものがあって、日本の売値の二十倍ほどでもよく売れるという。菓子文化が日本とは比較にならないほどに遅れている国がほとんどで、海外の金持ちは日本のお菓子に魅せられると、金に糸目をつけない。特にアラブ諸国がそのようだ。それは飲酒が禁じられていて、甘いものを好む国民性による。アラブ諸国の子どもが「コアラのマーチ」や「おっとっと」の種類豊富なキャラクターに魅せられると、菓子目当てで来日することがあるだろう。それはロッテや森永がホームページで世界中の言葉で有名な商品の特徴を示すことで加速化するのではないか。武器産業ではなく、日本は菓子で世界中から金を吸い上げればどうか。日本の菓子が世界的に見て価格が高いとしても、「おっとっと」のように種類豊富で遊びの要素が絶大となれば人気は出るだろう。
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