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●「陽当たりの 悪きわが庭 牡丹咲き その大輪の 白ささびしき」
付きの 伊賀の堅焼き もらいしが 銚子の濡れに 手の出る調子」、「牡丹餅の 紅白2個の 包み買い 半々に分け ふたりでお茶を」、「新年度 値上げ相次ぎ 牡丹餅の 形小さき 貧しさ知るや」、「牡丹散り 雪に見紛う 花弁かな そのハート形 いと面白き」



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くどいようだが、今日も一昨日に続いて裏庭の白牡丹の写真を使う。写真は20日に撮った。翌日は雨とわかっていたので撮影した。もちろん雨が降り、花は一気にうなだれた。今年のわが家の牡丹は長く咲いていた。冷える日が目立ったからだろう。一昨日書いたように蕾のひとつを折ってしまい、また開花せぬままの蕾がひとつあって、それはそのまま枯れると思うが、咲いた蕾の数は14であった。その全景と言ってよい写真は一昨日も載せた。今日の最初の写真とともに脚立に乗っての撮影だ。狭い庭なので、かわいそうにこれ以上葉を広げる空間がない。あっても筆者が動き回る時に茎を折ってしまうだろう。猫の額のような庭で、今日の午後は黒猫がフェンスの上を歩いていた。見つめている筆者との距離は2メートルはない。猫は筆者に驚かず悠然と隣家の庭に去って行った。その隣家の庭も筆者の所有で、先日剪定枝を片隅に積む作業をしていると、猫の糞の臭いが強かった。隣家の庭には10日に一度くらいしか行かないので、猫の棲家とは言わないが、休憩所にはなっているのだろう。まあ仕方がない。白牡丹のすぐに真っ黒な猫が歩む眺めは菱田春草の有名な黒猫の絵を思い出させる。その絵では柏の木の幹に黒猫がいて、画題としては白牡丹に黒猫のほうが鮮烈で、水墨画にもなりそうだ。加山又造はシャム猫と牡丹を取り合わせて描いたので、牡丹と猫の組み合わせは珍しくない。昨日載せた西院の牡丹は赤の濃度があまり深くないが、もっと濃い牡丹は黒百合に倣ってか、黒牡丹と呼ばれる。白牡丹と黒牡丹の大きな花株を左右に配置した六曲屏風を小松均が昭和17年、40歳で描いていて、題名の「黒牡丹」が示すようにそれは白牡丹よりも前面に出て画面の3分の2を占める。深い赤黒を画面の中心としたところに、小松の絵画の最晩年まで持続する力強さが現われている。紅白の牡丹を描くつもりでその紅を血が固まったような濃い赤を選んだのは、穿った見方をすれば戦争の惨禍を思ってのことかもしれない。日の丸の中央の朱色が破裂し、しかもその血が凝固したイメージで、敗戦を予告していたのではないか。単なる美しい花鳥画に見えて画家はその奧にさまざまなことを反映させる。それは無意識としても、どこかでかすかに感じていることが図らずも表現には滲み出る。そういうことは長年経って見えて来る場合が少なくない。凝固した血は瘡蓋となってやがて剥がれ落ちると、その下に新しい皮膚が再生しているものだが、国家、民族全体として常にそうあるとは限らない。ともかく日本は戦後急速に復興し、小松は大原野で絵画三昧を続けられた。
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 西院の交差点は終日陽当たりがよいのか、あるいは牡丹の品種によるのか、昨日の写真のように葉はどれも緑色が鮮やかだ。それに引き換えわが家では灰色がかっている。これは花が白いためでもあるかもしれない。この葉の灰白緑色は寡黙さを感じさせ、花の白さの聖なる雰囲気によく似合っているが、全体としてさびしさは否めず、抹香臭さが漂う。それで対として力強く濃度のある赤黒の牡丹がほしい。小松均はそのことを思ったのだろう。小松は濃い墨をさらに濃く感じさせる墨画を盛んに描いた。白い紙を黒々にすることが彼の絵画の本質であったと言ってよい。小松は土田麦僊に学び、麦僊と親しかった村上華岳は花の絵では牡丹がよく知られ、特に印象深いのは黒々とした牡丹だ。それは着色画であれば赤黒の品種であるはずだ。花の王とされる牡丹の花の大きさからは一種異様な雰囲気が立ち上り、中途半端な色の濃度では絵画として表現しにくい。昨日の投稿の題名のように、華岳は白牡丹の墨画も描いている。白牡丹を墨で描くには外隈の技法によるしかないようだが、華岳はかなり淡い墨で花弁を描く。それは白牡丹のつもりであったに違いない。話題転換。筆者は甘いお菓子が好きだが、榊莫山は甘いもの好きでたぶんそれが原因で死んだので、最近はスーパーで甘いものを見てもなるべく手を出さない。特におはぎが好きで、あちこちのスーパーで買って味を比べている。おはぎは春には牡丹餅と呼ばれ、その名前のほうがぼたっとした重量感と大きさゆえに実体にふさわしい。ところがここ1か月ほどでその形がどの店でも小さくなった。値段据え置きであれば実質を縮めるしかない。同じ大きさで値上げすれば売れ行きは鈍るだろう。だが小さくなった牡丹餅は買う気がさらに起こらない。京都だけかどうか知らないが、牡丹餅はよく2個単位で透明パックに収められている。それは紅白のつもりで、小松均の「黒牡丹」の絵画とそっくりの眺めと言ってよい。きなこをまぶして内部に餡と糯米のあるものは白、小豆でくるんだものは黒すなわち赤のたとえになっている。たまにその2個の包みを買い、必ず家内とそれぞれを半分に切り分け、1個で紅白を表わす形にしてから食べる。小さくなったのでひとりで2個は食べられるが、お腹がいっぱいになる。昨夜「風風の湯」のフロントで家内が出て来るのを待っている時に、70代半ばの男性係員から笑顔で「奧さんと仲がいいですねえ」と言われた。家内と時間を決めて待ち合わせをしてもほとんど家内は最大20分遅れる。髪を乾かすのにドライヤーの数が少ないからだ。筆者はひとりで先に帰ればいいが、家内の両手は風呂の道具を持てないほどに痛むことがあり、筆者は家内の分も持って帰らねばならない。そのことが夫婦仲のよさに見えるらしい。「風風の湯」は夫婦客が少なくないが、たぶん一緒に入って出るのはほとんど筆者らのみと言ってよい。
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 今日の冒頭の短歌の説明を続ける。家内は「風風の湯」では85Mさんの奧さんと最もよく話す。筆者はご主人にたまに酒を持参するので、奧さんは気を遣って家内に菓子のお裾分けをよくしてくれる。その中でこれまで3,4回いただいたのが銚子の濡れ煎餅だ。家内は煎餅が大好きで、そのことを奧さんは知っているのだろう。濡れ煎餅は銚子の名物らしいが、85Mさんの娘さんや妹さんはみな東京にいて、たぶん都内でも買えるのだろう。筆者はこれまで濡れ煎餅を食べたことが一度ほどしかない。改めて食べると醤油の辛さと煎餅の柔らかさが持ち味で、たまに食べるのはよい。筆者も家内も歯は丈夫だが、85Mさんの奧さんは固いお菓子が苦手で、それで濡れ煎餅を愛好しているのだろう。堅い煎餅の代表は伊賀名物の堅焼きだ。これを筆者は小学生に入る前から知っている。筆者が大阪市内に住んでいた頃、近くに商店街があり、毎月8のつく日の夜はその何本かの脇道で露店が並んだ。よく覚えているのは商店街から曲がってすぐの角にいつも陣取る堅焼き煎餅売りだ。とてもよく覚えているのは、どこにでもいるような中肉中背の無口そうな母親が客の相手をし、そして全く動かずに店の中央の奧の椅子に座ったままの面長で坊主頭の長男が店の看板のような存在になっていたことだ。筆者は母にその男性のことを訊ねたことはない。そうしなくても彼が知恵遅れか何かでまともに働けないことがわかった。だが彼は優しい目をしていた。しっかりとした顔つきと言ってもよく、俳優の雰囲気すらあった。彼の姿を同じ場所で7,8年は見続けた。その夜店は高度成長期になくなったが、今にして思えば夜店の露店は大阪市内各地を回っていたはずで、筆者が知らない別の場所で母親は動けなくなるまで堅焼き煎餅の店を出し続けたかもしれない。わが家は貧乏であったので、その母子の露店で堅焼きを買ったことはないが、当時はどの菓子屋も売っていたのでよく食べた。それから20年ほど経った頃か、学生時代の友人Ⅿがたまに梅津のわが住まいに遊びに来た時、見たことのない大きな堅焼き煎餅をお土産に持参した。それには小さな木槌がついていて、彼はそれで割って食べると言った。そのことを筆者は初めて知った。夜店で売られるもっと小さなものは木槌つきの高級商品ではなく、手で充分に割れた。友人が持参したものの堅さは昔と同じで、歯の丈夫な筆者は噛み割って食べた。その後その懐かしい味を味わっていないが、容易に思い出せる。またその時は必ず商店街脇道の端に位置した薄暗い堅焼きを売る露店のたたずまいを思い出す。長男が生きていれば80代後半か。生きていて不思議ではない。今日の最後の短歌は白牡丹の花弁がどれも縦長のハート形で、ひとつの花で2、30枚ほどはあるのでそれらが落下した様子は雪が降り積もっているように見えた。その写真を撮らなかったのは何となく悲しかったからだ。
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by uuuzen | 2022-04-26 23:59 | ●新・嵐山だより
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