「
鈴なりの 造花桜を 飾り終え 彼岸待たずに 花見の気分」、「今年こそ 思いどおりの 花見たし 鶏頭の種 探し続けて」、「陽当たりの よき空き地見て 花想い お花畑の 頭を自覚」、「老人に 菊描き足す 墨絵得て 陶淵明を 想い酒飲む」

「風風の湯」の常連の85Mさんは、今年の冬は例年になく、厳しかったと言う。確かにそうで、家内の両手がリウマチになったのも寒さのせいもあるだろう。85Mさんは炎が見えるのが心地よく、石油ストーヴで暖を取るが、灯油の価格が去年より高くなったことをぼやいていた。また去年までは渡月橋から近い自宅から嵯峨の丸太町通り沿いのガソリンスタンドまでキャスターを転がして買いに行っていたのが、85歳ではさすがにもうしんどいそうで、先月は18リットルのポリタンク8個分をガソリンスタンドからまとめて運んでもらったと言う。4月になっても雪が降る寒さの日があるので、おそらく買い足す必要があるとのことだ。奧さんは家にいる時にも万歩計をつけ、外出しない日はその数値が20ほどと言う。家内からそのことを聞かされた筆者は爆笑した。終日寝ているとその程度の数値であることは納得が行くが、今年の冬はそれほど寒かった。同じく常連の嵯峨のFさんはストーヴを全部処分し、寒い夜はエアコンを数時間かけて寝るとのことで、要した電力が金額に換算されて表示されると言う。そのことで1か月のエアコンの電気代がわかるが、エアコン以外に冬場に特に使っている電気器具はないにもかかわらず、検針で届く電気料金はエアコンの日々の合計より1000円から2000円高く、首をかしげている。それはさておき、今日の写真は去年と同様、中ノ島公園内の茶店で、先月5日に撮った。たぶん店主は3月に入ってすぐに桜の造花を飾りつけ、提灯も変えた。撮影当時はまだ嵐山の桜は蕾状態であったが、さすが彼岸の最後の今日はちらほらと2分咲きだ。Fさんは桜の開花に全く興味がないと言う。花とか絵画とか美人とか、美しいもの全般にほとんど関心がないからだろう。それで筆者はそういう話題は絶対に出さないようにしている。それにFさんは酒も全く飲まないので、酒の話もしない。それでもFさんはさびしい自覚がないだろう。誰しも他の誰かの心の中はわからない。みなそれぞれに「まあこんなものか」と思って生きるし、他人に対してことさら「オレは幸せだ」と言うと「こいつアホやな」と思われる。それで苦み走った顔をしがちで、それを男らしいと思いもするが、花や絵画や美しい女性のことを話題にするのは、今流行りの言葉で言えば頭の中が「お花畑」だろうか。それでもいいではないか。ウクライナの爆撃された建物よりも美しい色と形の花をたくさん見るほうがどれほどいいか。爆撃で街や人をむちゃくちゃにしようと考える者は頭の中は「瓦礫の山」だ。それで「オレは幸せだ」と言うのであれば、「こいつホンマのアホや」と言ってやろう。
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