「
悠々と 禅を友にし 悟りなし 里を離れて 名なしのままに」、「大川の 右と左で 別の顔 橋の上下も 趣変わり」、「人間の 怒りの嵐 予期出来ず 広き心を 持つは尊し」、「善き友を 悪友と呼ぶ 若き日々 老いに追われて 足は葦(よし)踏み」

昨日と同じく1月31日撮影の写真を使う。この日は
嵯峨美大近くの謎の建物を確認するために出かけ、多くの写真を撮ってこれまでに投稿して来た。今日はその最後だ。投稿回数が「その35」と多いのは、今年が3年計画の工事の最後の年度であるからだ。前回の投稿に書いたように、今年の工事は増水時にせり上がる鉄壁を納める護岸際の道路の舗装だ。この1年使用されたアスファルト舗装を敷石に改めるようで、たいした土木工事ではない。それで経過も何度も確認する必要はない気がしている。コロナ禍のためにこの2年は観光客が激減し、工事はしやすく、警備員の出番は少ないと思う。今年も引き続きコロナとはいえ、桜が開花すると嵐山の人出は増加する。それまでには敷石舗装を完成させるはずで、今日投稿する写真はごく一時期の珍しいものとなる。とはいえスマホ時代だ。嵐山に来る人はその珍しい工事写真をネットに載せることはあるし、渡月橋上流左岸で嵐山を背景に記念撮影すると嫌でも工事の様子は入り込む。話題転換。アスファルトの仮舗装を敷石に代えるだけでも大変であることを思えば、ウクライナの街のビルに大きな穴が開いて黒焦げになっている様子を見ると、ロシアの攻撃が終わった後、いったいどれほどの費用と歳月を要して元どおりにするのかと心配する。それで思い出すのは東北大震災時の大津波の被害で、元どおりではなく、がらりと町が違った形で造り直される。ウクライナもそうなるのかどうかだが、自然災害であればまだ諦めもつくのに、隣国から急に侵攻されたとなると、また家族が死ねば、恨みは長年続く。それが残る限り、両国の関係はどこかにわだかまりを抱え、それはいつか再燃すると思っておいたほうがよい。人間関係でもいじめた側は忘れていても、いじめられたほうは長年トラウマとして記憶する。今回も特にウクライナの子どもたちにどれほどのトラウマが残るかを懸念すべきだが、人の心の内部は見えない。戦争のいわばどさくさにシベリアに日本兵が連れて行かれ、苛酷な労働を強いられたことは、現在のウクライナの人々にも適用されるという想像したほうがいいが、日本では抑留された人の話はたとえば香月泰夫の絵画によって記憶されるとしても、それは絵画好きのしかもごく一部の人に限り、シベリアで死んだ日本人の存在がソ連ないしロシアへの恨みにはあまりなっていない。それは義務教育で現代史をほとんど教えないことも理由にあるだろう。同じことは戦争が始まった時、在米日本人が砂漠に建設されたキャンプに閉じ込められたことにも言える。外国で行なわれたそうした迫害は日本に住んでいると無関心になりやすい。

昨日はオスマン帝国のドラマについて少し触れた。帝国で最も力を持つヒュッレム皇女は「シリーズ4」からは別の女優が担当し、最初は違和感があったがすぐに見慣れた。当人も意識が強まって風格を演じることが出来るようになったからだろう。彼女は奴隷からのし上がって来たらしいが、敵対勢力から「ロシア女」と陰口を叩かれる。彼女が産んだ男子のうち長男は正義感が強く、立派な人物であったのに父親の皇帝に殺される。三男のバヤジトは長男と同じ気質をしていて、次男のセリムと敵対し、セリムから送り込まれたヴェネツィア出身の奴隷女の色仕掛けで毒殺されかける。解毒が効いて一命を取り止め、また彼女が妊娠して男子を産んだ後、殺す予定を取り下げてふたたび妻の座に据える。その彼女はどの国の女優だろうか。ヴェネツィアないしイタリア女性を起用したのではなく、筆者にはウクライナかロシア人に見える。とにかく美人で、彼女を見るのが楽しい。とはいえ出演者全員が個性派で、それぞれの配役に感情移入出来る。それは500年前を舞台にするドラマでもあるからだが、ロシアとウクライナの現在の紛争もネットやTVを通じて一種のドラマの趣を呈し、当然攻め込んだロシアが強欲であるのは論をまたないが、どちらが善で悪かと断定し切れない面が混じる。あるいはそう見たいところがある。というのはロシアの中にも侵略を否定する人は多いはずで、そうした人たちは権力者の強権に恐れをなしてだんまりを決め込んでいるだろう。数年前にプーチンに反対して大統領選出馬を発言したナワリヌイが登場した時、筆者はロシアもなかなか民主的ではないかと感心したが、2年ほど前に彼は毒殺されかけ、ドイツから戻って収監されてしまった。その辺りからプーチンの「邪魔者は消せ」主義が過激化したのかどうか、先月のウクライナ侵攻は、ナワリヌイのことからしてさほど意外ではなかった。日本では北海道にロシア軍が攻め込んで来るのではないかとの心配がにわかに一部に沸き起こっているが、オスマン帝国を含めて国家の領土が拡大縮小し続けて来た歴史を思えば、日本もいつどのような形になるかわからない。政治家が「想定外」の言葉を使って責任を取らないではなおさらだ。他国で起こっていることを俯瞰し、人間の本質を見つめる訓練をすべきで、それにはドラマ鑑賞も役立つし読書も必要で、金儲けだけに執心することでは全くない。自分の専門領域だけで世界が動いていると考えることは大いなる勘違いであって、馬鹿とも言えるほどの無能さを晒すことにもなる。タレント弁護士が連日TVに出れば他人の文章を腰を据えて読む時間が持てるはずがないし、もとより読む謙虚さもない。ところが大多数の人々は無知蒙昧同然で、その代表となる煽動者を崇拝しがちだ。ロシアにそういう人が多いのかどうか、モスクワにミサイルが飛んで来れば少しは目覚めるか。

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