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●神社の造形―堤根神社
病に ころり殺され 撤兵す 最近平気 細菌兵器」、「名誉の死 余命多くて より悲し 長寿願いて 弔辞を読みて」、「生贄に なりたくはなし 池に逃げ 大きくなりて 生け捕りにされ」、「玉石に 魂あると 強いて言い コンクリートに 固め利を意図」



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先月28日に京阪電車で萱島に行き、用事を済ました後、次の目的地の神社に行くことにした。それは大和田駅の東北にあり、さらに東北のスーパーで買い物をして帰る予定を立てた。京阪電鉄は寝屋川市駅から大阪寄りは駅の間隔が市電並みに短い。地図を見ると萱島は寝屋川市、大和田は守口市で、大阪府の京都寄りは小さな市が集まっている。梅津の従姉の長女が大東市に嫁ぎ、年賀状が毎年届くが、筆者は大東市には全く土地勘がなく、どこに位置しているのかも知らない。それで萱島に行く前に大東市の位置を調べたところ、京阪電車ではやはり無理で、市内の中央をJRが走っている。大和田から南つまり門真市の南に位置し、東大阪市の北だ。なるほど大東は大阪の東の意味で、東大阪を逆転させた名前かしれない。東大阪市は割合知っているので、大東市の雰囲気も想像がつく。それはともかく、大和田駅を北に抜けて楠の巨木を見かけて写真を撮った後、目当ての神社に向かうことにした。てっきり楠のある場所からその境内に入れると思ったのに、小さな団地のような建物が視界を遮り、神社らしき建物がない。それで茨田堤跡の東端の四つ辻で北から古びた自転車でゆっくりとやって来る男性を呼び止めて訊ねた。筆者が行こうと思っていたスーパーの方角からやって来たので、たぶん買い物帰りだろう。小柄で黒のジャンパーに眼鏡をかけ、筆者より5,6歳若そうだ。どこにでもいる、あるいはいかにも大阪人らしい温和で親切な、そしてかなり貧しい部類に入る身なりだ。ひょっとすればやもめかもしれない。筆者は印刷した地図を見せた。インク切れで赤一色で刷り、かなり見えにくい。それに筆者は神社の名前をどう読むか知らない。「この神社に行きたいのですが」「ああ、つつみね神社ですね。その道を入って道なりに少し行くとすぐにわかりますよ」お互いマスクをしているが、身なりと言葉使いだけでも人柄はわかる。その人は筆者の派手な格好を見てどう思ったのかわからないが、言葉使いから大阪育ちであることは悟ったであろう。その人の言葉にしたがってまだ歩いていない、つまり樟のある道から一本南のジグザグと折れ曲がっている狭い住宅道路を西に進むと、すぐに鳥居が見えた。前は居酒屋で、その扉ぎりぎりに立って今日の最初の写真を撮った。まだ営業時間ではなかったはずで、店の人には悟られなかったはずだ。茨田堤の樟はその神社の神木ではないと思うが、最初の写真からわかるように、社殿の背後の左右にあってひとまずはその役割を担っている。ところが北門はなく、南からしか入れない。
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 堤根神社の名称はそのまま茨田堤の根っこの神社と解せばよいだろう。根っこというのは中心的存在、要との意味だが、もうひとつは茨田堤にまつわる古い話がある。『日本書紀』に載る人柱だ。その話を筆者は小学生か中学生の授業で聞いた記憶がある。人柱という、かなり残酷な話でよく覚えているのだが、その人柱の最も古い日本の文献が『日本書紀』で、そこに茨田堤築造の人柱について書かれる。それほどに京都から大坂を結ぶ間の淀川左岸の堤防は古代から重要な意味を持っていたが、低湿地帯の茨田における堤の築造は当時としては高度な渡来の技術とマンパワーをもってしてもうまく行かない難所があった。その場所は特定されていないが、一説には大阪市内の都島区千林ともされる。また大和田の堤根神社とも考えてよい。双方はかなり離れているが、堤を築造するのに困難をきわめた箇所はひとつではなかったはずだ。また堤根神社は別にもう一か所あるが、そこもしばしば堤防が決壊したのだろう。ともかく大和田の堤根神社は樹齢700年の樟があることから、古代から堤がよく決壊した場所で有名であったことは間違いがないだろう。そして『日本書紀』の人柱の言い伝えがあった場所と考えてもいいはずで、「堤根」の「根」は堤防の下に生き埋めにされた若い女性を指すようにも何となく思える。茨田堤の人柱についてはふたりが選ばれ、ひとりは機転を利かせて逃れ、武蔵の国から来たものが犠牲になったとされる。今はそんな迷信は誰も信じず、あまりに残酷なことをしたと思うが、自然の猛威を宥めるために巨大な人工の構造物を造るにはそれなりの犠牲を神に支払うという考えはわからないでもない。それだけ命がけで事に当たったということだ。現代でも大土木工事では必ず何人かは死ぬ。そしてそれらの人物の名前を刻んだ石碑が竣工時に披露される。彼らは人柱ではないが、彼らの死と交換に大勢の人の役に立つ大建造物が完成するのであるから、人柱と言える。古代の堤防の築造に重機はなく、おそらく事故は現代よりも少なかったのではないか。となればやはり人柱の発想はわからないでもない。また人柱となった者は名誉の死であり、本人は当然嫌だが、一方では神々しい行為であることを受け入れたであろう。それゆえ死後に祀られ、神社も建てられた。そう考えると堤根神社は人柱として死んだ人の霊を鎮めるためのもので、またその人柱によって無数の人が川の水を利用して作物を育て、恩恵を被ったのであるから、後世の人々は誰かの死という犠牲のうえに自分たちの平和な暮らしがあるという実感を持つことが出来た。それは現在でも変わらないだろう。もちろん残酷な人柱の風習はなくなったが、人間が自然に対抗して巨大な建造物を建てる際、そこには人の死がつきまとう危険性があることを知っている。言い換えれば、死と引き換えに平和がある。
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 ロジェ・カイヨワは戦争を防ぐ手立てがあるとは思っていなかったが、遊びを通じてその可能性を減らすことは可能と考えていた。それが現代のスポーツで、オリンピックはその代表だ。ところが先日ロシアのワリエアのドーピング疑惑が発表され、ロシアの選手は相変わらず薬物で好成績を狙っているのかと不審がられている。せっかくロシアという国ではなく、選手単位で出場が認められたというのに、選手とそのコーチは薬物を使ってでも優勝を狙う。10年かもっと前のオリンピックの後、出場選手にアンケートを取ると、薬物を使ってでも世界で1位になれるのであればそうなりたいと答えた選手が多かった。1位になるとその後の人生が保障される国の選手はそう考えがちだろう。日本でも同じかもしれない。1位になればやがて政治家になり、一生有名で経済力も心配ない。1位の可能性が薬を使えば高まるのであれば使いたくなる誘惑を退けることは難しいだろう。10代半ばのワリエアが薬の副作用で体に深刻な害が出るかもしれないのに、コーチに諭され、誘惑に乗ることは大いにあり得る。ロシアであればなおさらかもしれない。指導者は絶対的権力を持っているからだ。ワリエアが拒否したところで代わりはいくらでもいる。話を戻して、スポーツはルールが前提にあるが、国と国の関係はそのような呑気なことは当てはまらない。それで戦争が時として起こる。戦争犯罪の概念はスポーツのルールと同じだが、戦争はそもそもルール無視で、どのような悲惨さも飛散する。それで死ぬつもりのない一般市民も巻き添えを食らうが、彼らは単なる数字として数えられ、百が千、あるいは万になったところで身内に被害がなく生き残った人は、かわいそうだと思いつつもやがて「ああそうか」でだいたい済ます。英霊はどの国でも祀られるが、彼らは戦いで死んだ者で、一般市民は対象ではない。それゆえに一般市民を攻撃して死なせれば戦争犯罪とされるが、一般市民が兵士以上に死ぬ例はいくらでもある。戦争が終われば平和とされ、戦争で死んだ人を悼むが、平和を築くために戦争が必要とすれば、その戦争は自然相手の大土木工事とある意味では同じで、戦争での死者は人柱とみなせる。またそう考えるべきだろう。誰でも犬死にでは浮かばれないからだ。茨田堤の築造に際して人柱として選ばれながら逃れた者は、その知恵を褒めるべきものであったかどうかわからないが、結局彼女もいずれ死んだ。人はどう足掻いてもいずれ死ぬ。上田秋成も書くように、後世に名が残る人物はおおよそ生前不幸であったからだ。人柱になる運命を逃れた者の霊は堤根神社に祀られていない。どうせ死ぬ人間は格好よく生きるべきで、その最たる者は死を恐れないことが条件だ。もちろん自殺は論外で、いつ死んでもよい生き方を常日頃心がける。それこそ真剣な戦い、争いで、平和は戦争を抱えている。ただし自己にルールを課すこと。
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by uuuzen | 2022-03-11 23:59 | ●神社の造形
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