「
坐したまま 汗かけがんばれ 根詰めろ 後はサウナで 坐して汗かけ」、「サービスが 減っても我慢 仕方なし なければ困る 銭湯好きは」、「湯上りに 吐く息白し 雪が舞い 首をすぼめて 家路を急ぐ」、「鈴なりの ふくら雀が 餌を待ち 吾も着込んで 庭に飛び出る」
「風風の湯」のサービスがいろいろ減って常連客も次々に姿を見せなくなった。今日はスタンプ・カードが満印になったが、前回から2か月弱も経った。月曜日は3個押してくれていたのが2個になるなど、スタンプを押してもらえる機会が減ったからだ。月曜日だけの常連でニューヨーク出身のジェイミーは筆者と顔を合わせると「いつ3倍の日に戻りますかね」と口癖のように言う。今日も彼と会ったが、1時間ほど早く来たらしく、筆者が脱衣場で服を脱いでいる時に帰って行った。上桂のTさん、地元嵐山のMさん、それに嵯峨のFさんの3人は毎日利用し、85Mさんは筆者と同じく週に三度で、この5人が最もよく利用している常連で、つい最近まで来ていた他の10数人は姿を見せなくなった。早い時間帯に変えた常連を数人知っているが、前述の常連は彼らと話をしたことがなく、気にしていない。先日Fさんは、「顔馴染みになっても最初の2,3回で話題が尽きるのでもう話さなくなる」と言った。筆者はそうではなく、Fさんや85Mさん、それにTさん、Mさんの誰にでも話題は尽きない。無口なMさんはサウナ室で一緒になると「大山さん、何か話題はないですか」と訊ねるほどだが、筆者が最もよく話すのはFさんで、筆者はFさんの前述の言葉とは相容れないことになる。無理してFさんに話しかけているのではなく、ごく自然に話題はいくらでも作れる。85Mさんと同じマンションに住むYさんは最近姿を見なかったが、また会うようになり、近くにFさんや85Mさんがいない時に限り、筆者は話しかける。そして5分や10分ほど大いに話が弾むが、話題は骨董に関してで、他の常連は割り込めない。家内から女湯の常連事情を聞くと、男とは少し違った光景ながら、相性の問題は男女とも同じことを思う。あまり詳しく書くとまずいが、女性の常連で還暦ほどの年齢のAとBはいつも会うとまるで中学生のようにおおげさに喜び合う。そこにBと同じく関東出身で、2,3年前に嵐山の引っ越して来たCが最近加わった。家内はA、B、Cの3人ともそれなりに話すが、彼女ら3人が大いに盛り上がっている時には近寄らない。先月家内がCと一緒に家路に着いた時、CはぽつりとA、Bとの関係を、「少し違うのよね」と独り言をし、その夜以降、ぴたりと「風風の湯」にやって来なくなった。お互い贈り物をするほどの仲のよさに見えた一方、家内もその3人の関係が不自然に見えていたらしい。家内は85Mの奧さんと最も親しくしているが、彼女はA、B、Cとはあまり話さないようだ。常連はほとんど高齢者で、会う時は心を開いて笑顔でいたいものだ。
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