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●『200 MOTELS 50th Anniversary Edition』その3
跡を たどらず野次る ひがみ人 無明の中で 無名のままに」、「見習うは 形ではなし 心根や 時空を問わず 伝わりしもの」、「根詰めて 仕上げし作に 価値なきと 言われて気づく 恨み込めしを」、「自惚れて 聞く耳持たぬ 若き人 老いて気づくは まだ救いあり」



●『200 MOTELS 50th Anniversary Edition』その3_d0053294_00301702.jpg昨日書いた「クエスチョンズ・アンド・アンサーズ」(以下Q&A)を先ほど読んだ。サイモンさんの質問と思っていたが、これは映画『200 MOTELS』の公開前後のインタヴューで、サイモンさんではあり得ない。それはさておいて、この見開きページの文章は同映画についてザッパが端的に答え、醒めた眼差しがうかがえる。全部訳したいところだが、かいつまんで書くと、まずザッパは8ミリ・フィルムを1958年から撮り始め、映像の可能性に興味を抱いていた。「作曲家として作曲と関連する構成技術で組織化された映像が概念探査の面白い可能性を供給すると感じているから」とやや難しい言い方をしているが、要は作曲で培った手法が映画作りに活用出来るという直感だ。ここで言う映画は本映画がそうであるようにミュージカルと限定してよい。ザッパは20代初頭に映画音楽を書いた。それは本職の俳優を使った劇映画で、当時のザッパはハリウッド映画に音楽を提供する映画音楽家となる道を模索していたと考えてよい。ストラヴィンスキーもハリウッド映画に音楽を提供したほどに、音楽家が生きる道として、映像に合わせた、つまり心理を強調する音楽を作ることには数十年の歴史があった。先日TVで『コロンボ刑事』を見たところ、映画音楽の作曲家が犯人で、彼がスタジオ録音で指揮するジャズ・バンドの前衛さがいかにも70年代初頭を表わしていたことが面白く、半世紀経ってなおさらよく見えて来ることがあると思った。その音楽はバンドのシカゴの最初期、また70年代半ばのザッパ曲を連想させたが、もちろん50年代の前衛的ジャズから発展した音楽だ。ザッパや本作を知らない人が本作を聴くと、時代性をまとっていることに気づくし、また歴史に組み込まれていることを知る。それを古いと思うか、斬新と思うかはまた別の話で、ザッパ・ファンにとっては永遠に新しい。そのことを示唆するザッパの言葉がQ&Aの最後にある。「『200 MOTELS』はマザーズを知り、称える人にとってはわれわれのコンサートや録音の論理的拡張を与えるだろう。知らない人は気に留めないが、バンドとその作品に対する驚くべききっかけとなるという考えをもたらす機会はたまにはあるだろう。マザーズに我慢がならない人や多くの鈍感な変態以上に無価値と感じている人にとっては、たぶん最悪の疑念を抱く。」論理的拡張というのは、本作を含めたザッパ没後に発売され続けているアルバム全部に言える。ザッパのアイデアの変遷とつながりを知りたいためにファンはザッパが遺した録音を全部聴きたいし、当然本作で新たにわかることがある。
●『200 MOTELS 50th Anniversary Edition』その3_d0053294_00303790.jpg Q&Aでザッパは本作の映画について「超現実的ドキュメンタリー」と端的に答え、続いて「ライトモチーフを持った管弦楽曲の「形」と同じことを思えばよい」と言う。「ライトモチーフ」の言葉に続けて、「転調」「反復のわずか変更」「拍子」「無調の場」「対位法」「ポリリズム」「擬声的模倣」などを挙げている。「拍子(cadences)」は「カデンツ(即興)」の意味かと思うが、ともかくこれらの言葉は管弦楽曲に馴染むもので、質問者は「わたしは管弦楽曲は嫌いだ。……言っていることがさっぱりわからない。わたしはロックンロールだけが好きで、これはロックンロール映画ではないのか、でなければ何か?」と問う。対してザッパは「グルーピー」「ツアー生活」「観客との関係」「バンドの個性の相性」「自然食品」「絞り染めのTシャツ」などを挙げる。ただしマザーズはグルーピーが群がるような平均的ポップ・バンドではなく、また観客との関係もそのようなバンドにある普通のものではなく、マザーズのメンバーの個性の相性というのも普通ではないので、われわれが成し遂げた普通のドキュメンタリー映画の『200 MOTELS』は普通なものとはならず、これらの状況下から拡張された超現実的ドキュメンタリーはまずはかなり独特なものであるに違いない。」この答えに質問者はさらに戸惑い、映画でどんな価値あることが見られるのかと悲鳴を上げる。ザッパは冷静に説明を続け、劇映画のように時の推移にしたがわないことを言う。それはツアーに出ていると、たとえばウィーンにいてもここが本当にウィーンなのかと思うほどに、どの街のモーテルも同じで、またどの街での演奏もそうで、空間が曖昧化するように感じるからだと説明する。これはザッパがツアー先でほとんど観光をしなかったからでもあるだろう。生活がツアー一色になると、映画の題材はそのツアーから面白いものを見つけるしかない。ただしマザーズは若い女性が群がるバンドではなく、グルーピーの生態を描くとしてもごく少人数を起用するだけで、またそれはザッパが言うように普通のバンドのグルーピーと同じようにはならない。そこで「超現実ドキュメンタリー」という言葉を持ち出すが、これは語義矛盾で、「半分贋のドキュメンタリー」と言い替えてよい。またそのことをザッパはよく自覚し、本作LPの最初の曲、映画でも冒頭に使われる序曲に「半詐欺」の形容詞を付した。だがこの言葉はハリウッド映画界ないし映画の本質をたとえてもいる。そもそも俳優は演じるのであって、映画は真実ではない。ドキュメンタリー映画も時に撮り直しや出演者に演技めいたことをさせることがあって、録画や録音が半分は詐欺と言える。それゆえ「半詐欺」は「半虚構」とするのがいいが、「虚構」は「創作」であって、「超現実」の言葉を使うことは「詐欺」ではなく、「正直」と言うべきだろう。
●『200 MOTELS 50th Anniversary Edition』その3_d0053294_00312134.jpg さて、本作LPは映画の収録曲と同じではなく、補完的な関係にあるとも言えない。そこでCD6枚組の本作でようやく『200 MOTELS』の録音の全貌が明らかになったと考えられるが、今後の新譜のために収録されなかった曲があるかもしれない。それはないとしても別ヴァージョンは存在する可能性はあるだろう。筆者は本作LPを聴くほどに映画を見ておらず、曲順の違いや収録曲の差に詳しくはないが、当然映画ではセリフがあるので音楽のみを楽しむにはLPやCDがよい。ところが映画のセリフもザッパが考えたもので、ザッパの思想分析には歌詞とともに欠かせない。セリフは映画で楽しむべきものと言えるが、ザッパは会話の録音を好み、またそこに虚構を持ち込む、つまり演技させることを好んだので、どこからどこまでが真実かわからないことが多い。このことはその後も続き、事実に基づきつつそれを幾分改変したその手法は小説家と同じと言える。最晩年に発売された『プレイグランド・サイコティクス』にふんだんに収録された隠し録りしたメンバーの会話は、ツアー・バンドが陥る時空認識の衰えによる仲間割れに結びつく愚痴などを含む。それが『200 MOTELS』の映画のひとつの挿話になったことは、ツアーに出ている間も冷静かつ面白くメンバーを観察していたことを示し、「超現実」ではなく、きわめて「現実」的なたまたまの出来事を、同映画に盛り込むことが出来た。もちろんこれはひとつ間違うとバンドの分解につながることになり、実際映画ではベーシストが中途で脱退し、代役を立てる必要があった。しかもそのことも映画のひとつの印象深い出来事にしてしまうところに、ドキュメンタリーを名乗る面目がある。次にQ&Aでザッパは本作が初めてヴィデオで撮影され、それを35ミリのフィルムに焼いたことを説明し、またヴィデオ撮影ならではの画面の光学処理が可能になったことを言う。それは映画を見なければわからないが、ある場面を1秒ほど遡って何度か繰り返すその後のラップ音楽の先駆の手法を使っていて、本作でもその場面を含む曲が収録される。それは映像のない音楽という点で物足りない、あるいは映像があるならば不要という意見があるはずだが、前述のようにセリフはザッパが書いた虚構であり、その意味で語りも音楽と捉え得る。本作のディスク3全部とディスク4の前半が映画の音源のジョー・トラヴァースによる再構成で、映画の別ヴァージョンの音源と言っていいが、ややこしいことに映画のセリフや曲順どおりではなく、また別ヴァージョンを含み、LPと映画とは別にもうひとつの『200 MOTELS』が出現したのも同然で、輻輳具合、混沌性がさらに増した。それほど『200 MOTELS』は膨大な作品で、たとえばLPを最初から最後まで順序どおりに聴く必要はあまりなく、序曲とフィナーレの間に挟まれるすべての会話と曲は移動可能だ。
●『200 MOTELS 50th Anniversary Edition』その3_d0053294_00314692.jpg

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by uuuzen | 2021-12-26 23:59 | ●ザッパ新譜紹介など
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