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●今年で最後の嵐山花灯路、その2
知安に 似たり富士あり 蝦夷ええぞ ヌプリの雪で ぬっぷりスキー」、「軍荼利に 護られたきや 火の事故を 曼荼羅拝み まんざらでなし」、「マンザネラ ギターで満たせ 岩の隙 関係ないぞ イワノフスキー」、「イワノフは 言わんことなし 言わん馬鹿 赤い頭に 青白混ぜよ」



●今年で最後の嵐山花灯路、その2_d0053294_16361897.jpg今日も昨夜撮った写真を使う。花灯路は阪急嵐山駅前、中ノ島公園、そして渡月橋から北の嵯峨地区と見所が広がっている。たいていの人はポスターやチラシ、リーフレットに大きな写真として使われることの多い竹林を目指すが、そこのライトアップが幻想的で素晴らしいという見方に筆者はあまり賛同しない。昔TVで藤本義一は嵯峨の竹林は晩秋の日没寸前に歩くのが最もよいと語っていた。30数年前のことで、その時の発言をやけに覚えている。当時筆者は嵯峨の竹林をすでに歩いていた。今もそうだが、「たったこれだけ?」というその狭い地域に失望するばかりで、竹林が区画整理で道路と厳密に隔てられ、少しも雑然とした様子がないことに箱庭を見ている気になる。そんな場所を歩いて楽しいかと言えば、何事もインスタントで楽しむ今の時代には合理性を頂点まで極めている場所で、竹林の小径を歩く10分かそこらの時間を人生の醍醐味と思い込まねば損という気に誰しもなる。これは京都という街全体が箱庭である都市の一種詐欺的な見せ方の手法で、騙されているとわかっていながらそれを楽しむことが観光客の作法となっている。またそのことを理解する観光客が田舎者ではないと京都人から評価される。嵯峨の竹林の小径は確かに両側に背の高い竹がそびえ立ち、京都でも珍しい光景に違いない。その珍しさを誇張すべくライトアップするのは金閣寺を夜間に照らすことに似て、二重の珍しさを提供するという京都のしたたかな観光客誘致の思惑を示す。同じ手法を有名寺院がことごとく模倣して京都人ですら今はどこにどういうライトアップがあるのかわからない。どういう手法なのか、いかにもコンピュータ時代にふさわしく、中国の都市のビル群の壁面を連なる屏風に見立てて抽象映像を映写する夜景をTVで見ると、今は世界的に夜間をさまざまな色合いの映像で彩ることが日常化しているとこが流行している。その巨大都市のビルの壁をパソコンの画面に見立てたような日常の映像ショーに比べて、京都の花灯路はいかにも小規模な手作りの一時的行事だ。しかも歩行者が自分の足で歩いて眼前に次々と見るべきものが現われる仕組みで、そこに乏しい資金と環境保護の制約下で嵐山と嵯峨の観光地の夜を最大限見世物にするという、貧乏臭さと涙ぐましさが感じられ、世界における日本の位置の再確認も出来る。何が言いたいかと言えば、中国の未来都市的輝きに比べてあまりに質素で、そこによさを見出せばよいという、開き直りではなく、積極的に歴史を掘り起こして新たなに見せ得る素材が京都には無数にまだ眠っているということだ。
●今年で最後の嵐山花灯路、その2_d0053294_16363948.jpg
 とはいえそういう無数の歴史を示す場所は、ライトアップで観光客を呼ぶこととは隔絶して、知る人ぞ知るものとなっている。それは仕方なきところがあり、またそれでいいとも言える。たとえば上田秋成は京都を転々と住んだが、知恩院門前のとある町は現在も路地がそのまま存在し、そこに踏み入ると秋成の憂愁を感じる気分になれる。最晩年の売茶翁が住んだ町もそうで、歴史的にはごく最近までその家があった。建て替わったところで道幅はそのまま、陽射しもそのままで、売茶翁が馴染んだ町の雰囲気は今もある。同様のことは枚挙にいとまがない。筆者が嵐山に住んだのも、桂川対岸の嵯峨に冨田溪仙の家があることを意識したからでもある。加藤一雄がその溪仙宅からごくわずかな距離のところに家をかまえたことも知ると、どう言えばいいか、少しの間は歴史につながって孤独を忘れ去ることが出来る。最近知ったことだが、法輪寺に浦上玉堂の句碑があるという。今すぐに同寺に行って確認すればいいのに、いつでも行けるとばかりに近くを通っても立ち寄らない。それは今のところ玉堂の絵画にさほど関心がないからでもあるが、筆者も京都人になったのか、近くにある名所をことさら意識しなくなっている。YouTubeでは外国人が京都の見どころをよく紹介していて、彼らがお決まりのコースを経験して賛美する様子を視聴者が見て愉悦に浸るという、犬や猫の映像を楽しむことに似たそうしたこととは全く違った、京都の歴史の断片を見せる投稿があっていいと思うのに、花灯路も結局は閑散期に多くの観光客の来訪を目当てにしたもので、文化や歴史の紹介とはほとんど無関係だ。ただしそれでいいと思うのは、知る人ぞ知る場所が妙なことで注目の光を浴びるとすぐに荒れてしまう懸念があるからだ。もっとも、秋成や玉堂、売茶翁に一生無縁な人がほとんどで、知るべき人だけが知っていいものに世の中は溢れている。先に京都を箱庭と書いた。その箱の隅に汲めども尽きぬ興味深いことが大量に蓄積され、またされ続けてもいる。その蓄積される関心事に筆者の書くことがわずかでも加わればとの思いがあることを言えば、また自尊心の高さを謗られそうだが、多くの人が関心を持つことに対して個人の考えを書き留めることは、自己認識、自己確立のひとつの手段だ。それゆえ匿名による罵詈雑言を吐く人はバリバリ雑な掃き溜め人ということになるが、誰しも見たいように見、思いたいように思うもので、このブログも誤解も六解もされているだろう。変なところに話が進んで来た。今日の最初の写真のように足元を花灯路の行灯が照らす小径を先へ進もう。この写真は阪急嵐山駅前のホテル「花伝抄」脇から「風風の湯」を目指す間で撮った。普段は真っ暗なのでありがたいが、花灯路は夜8時半までで、「風風の湯」からの帰りはもう消えていて、かえって歩くのに行灯は邪魔になる。
●今年で最後の嵐山花灯路、その2_d0053294_16365282.jpg
 今日の2枚目の写真は説明の必要がない。中ノ島から見たライトアップされる渡月橋で、2枚の写真を横につないだ。左端が明るいのは3枚目の写真の活花があるからだ。渡月橋を背景にする檜舞台といったところで、昼間のほうが見栄えはよい。写真の左端に見えるように、川岸のそばに白いテントが二棟建てられている。ひとつは行灯のデザインの人気投票で、これは毎年行われている。今年は投票用紙が少ないのか、まだ6時前なのにボールペンと投票箱だけ置かれていた。もうひとつのテントはこれまでの花灯路のポスターを順に展示するブースとして利用されていて、今年で終わる花灯路の歴史を回顧するには妥当な展示だ。そのポスターのすべてを撮影したので、後日紹介する。テントはほかにもあって、中ノ島公園の中ほどにある。今年はなかったが、前面がガラスの薪ストーヴを3,4つ紹介するブースや、また昔はスターバックスのコーヒーを無料で振る舞う店もあった。ここ5年だろうか、新たに先着数十名にフェルトペンで好きな絵を描かせる「お絵かき」のテントがある。筆者はこれが目当てで昨日写真を撮るついでに出かけたが、それについては明日紹介する。今日の4枚目の写真は今年はあまり目立たなかったが、花灯路では毎年お馴染みの嵯峨美大の学生が作る紡錘型の行灯の展示だ。大小さまざまあって、今年も嵯峨野の落柿舎の前の畑にも展示されているかもしれない。骨組みは毎年使い回ししていると思うが、初めて見る人以外には、形にあまり変化がなく、面白みに欠ける。ねぷたを思わせる規模と造形と期待するのは資金面から難しいのだろう。中ノ島公園で今春行なわれた鉄の彫刻「渡月藻庵」のヤノベケンジに任せると彼の個展のようになるし、花灯路は地元のボランティアが加わる手作り感覚がやはり売り物なのだろう。ボランティアというのは、歩道上に設置される行灯の電気代はその区間の家や店が持つと聞くからだ。それはわずかな料金で済むとして、行灯の保管や設置に要する費用は後援する会社が負担し、今年で終わるとなれば行灯をどうするかの問題がある。前述のように行灯のデザイン・コンテストがあり、また設置される行灯の形もさまざまで、中にはほしいと思わせるものもある。花灯路は規模を大幅に縮小して来年もあると予想するが、その時に古い行灯を使い回しするとして、保管に経費がかかり、裏方では悩ましいことが多々あるだろう。一方、ハイテクを使った行灯ないし映写システムは日進月歩で、それを紹介する場として花灯路は機能して来たはずで、協賛がてらに社運をかけた会社もあるのではないか。晩秋の日没直前の竹林を歩くことが最高と言った藤本義一がライトアップされて混雑する竹林をどう思ったかわからないが、ワビサビだけではない魅力の京都を発信しなければ観光客は減る一方か。そして「もっと光を」というのが手っ取り早い。別の「啓蒙」もあると思うが。
●今年で最後の嵐山花灯路、その2_d0053294_16370530.jpg

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by uuuzen | 2021-12-14 23:59 | ●新・嵐山だより
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