「
眉ひそめ 文句言わぬは 京都人 華麗に無視は インド人」、「鏡見て 飛び出る眉毛 切る手間を 思い出しても 気にせぬ蟄居」、「三日月を 見れば思うや クロワサン 餃子も太きが いいと言う嫁」、「蘇鉄あり 何を植えれば 店の顔 ある日植えらる リュウゼツランや」

この蘇鉄シリーズの
「その1」は4月5日に投稿した。JR嵯峨嵐山駅前の南方の商店街を嵐電の線路の少し手前で西に折れると、30メートルほどのところに大正時代に建ったような木造の趣のある建物があり、その玄関脇の西側にある蘇鉄をその時に紹介した。絵画的に手入れが行き届き、前を通りがかる時には必ず見るが、今日の最初の写真は11月3日に撮った。「その1」から半年でなお立派に葉が繁茂し、また傍らのヒヤシンスは取り除かれ、土に礫が敷き詰められた。ところで、この木造の建物は長らく郵便局であったのが、斜め向かいの駐車、駐輪場つきの新築に移転し、古い木造は保存して店舗に再利用されることになった。貸し衣装屋が入っていたと思うが、コロナ禍が始まってからか、空き店舗になった。いい場所なのでいずれ新たな店が入ると思っていると、先月初めに洒落たスイーツの店がオープンした。そのことよりも筆者は、蘇鉄の植え込みと同じ楕円形が玄関の東側にもあるのに、そこに石がひとつだけ置かれて枯山水の様相を呈していたことが気になっていた。そこにも蘇鉄を植えれば玄関を中心に左右対称になって目立つが、新たなテナントが店の顔としてそのいわば空白の楕円形をどうするかの決着を案外早く見ることになった。今日の2枚目がそのビフォー・アフターだ。上は4月17日、下は11月3日に撮った。10月末頃、その新装となる店舗前に20代の植木業者が2,3人トラックでやって来て、ひとりはしゃがみ込んでリュウゼツランを植え込んでいた。新しい店主はその楕円枠に石のみ置くのでは洋菓子の雰囲気に似合わないと考え、それで何かを植えようとした。蘇鉄なら左右対称でいいかもしれないが、同じくらいに育った蘇鉄はかなり高価だろう。筆者の想像ではたぶん2,30万円はする。それに植え込みの手間を含むと1.5倍の価格になるだろう。そこでもっと別の丈夫な常緑の植物がないかと相談し、リュウゼツランにしたと想像する。ユッカやドラセナでもいいと思うが、前者は白い花が咲いて落ちるので手間が面倒だ。植え込みは南向きで、陽当たりがいいのでリュウゼツランなら放置しても枯れることはないだろう。大阪のホテルなどの玄関脇にリュウゼツランがあるのを見かけたことがある。貫禄のある植物で目障りでもない。蘇鉄とリュウゼツランでは左右対称にはならないが、常緑の点ではそうで、洋菓子の店には似合う。さすが植木屋で、場所と予算に応じてぴたりのものを植樹した。蘇鉄よりもリュウゼツランははるかに見る機会が少なく、その意味ではこの新装のスイーツ店の看板になる。

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