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●『世界遺産の建築ミニチュア展』
丹の 髭軍人の 睨む町 今はレトロの 数寄者のみ知る」、「掌に 載せて眩しき 金閣寺 400円の ガチャガチャに」、「鳥の目を 得たるドローンの 見る景色 お城はミニで 人は芥子粒」、「全国の 温泉宿の 土産品 ひとつの場所で まとめて作り」



●『世界遺産の建築ミニチュア展』_d0053294_15200452.jpg
先月末に神戸方面に出かけた際、最初に阪急の芦屋川駅で降りて山手にあるヨドコウ迎賓館に向かった。8年前の5月18日に訪れて以来二度目だ。出かけたのは先月20日頃のTVニュースで特別展が開催されていることを知ったからだ。世界遺産にある建築物のミニ模型の展示で、収集は橋爪伸也だ。この人は兄の節也とともに大阪文化に関する催しでは頻繁に名前を目にする。筆者がたまに話をする西京極の古文書商は節也を親しみを込めて呼び捨てにしている。それは大阪の美術における学統を知ってのことだ。伸也の名前を冠した展覧会は嵐山の時雨殿で2015年夏にあった。『橋爪伸也コレクション 京都モダン観光の誕生 嵯峨・嵐山の近代』で、家内とともにそれを見た。今調べると本カテゴリーに感想を書いていない。その理由は書くほどのことはなかったというのが半分だ。企画展と言うには小さなコーナーで、展示資料は筆者も何枚か所有する有名な吉田初三郎の鳥瞰図、そして愛宕山や嵯峨嵐山の古い観光案内パンフレットや絵はがきの類であった。それらはネット・オークションに気長に頼ればどれも比較的安価で集め得るし、前述の古文書商も扱っている。ただし、書籍と違ってそういう1枚ものの紙は残りにくく、よほどの収集家でも見たことのないものはたくさん眠っている。そういうものを昔は古書店巡りをして集めていたのが、今はネット・オークションではるかに効率よく、多く目にすることが出来るが、洪水のように日々新たな資料は出品され、それらを調べる時間は膨大に取られる。蛇足で書けば、最近読んだ本の中に「この初期本は大変な稀覯本である。……そうした経緯があったので、当初は少しの部数しか発行されなかったようである。」として紹介される250年ほど前の本があった。「稀覯本」というだけできわめて珍しいのに、「大変な」を付している。筆者も10年ほど探していたが、今年ネット・オークションで数千円で落札出来た。一生出会わない可能性が高い、あるいはあっても目の飛び出るような価格のはずが、毎日根気よくチェックしていると出会いがある。粘り勝ちみたいなものだ。話を戻して、100年ほど前の観光案内の印刷物もいずれ稀覯本扱いになるものがあるに違いない。絵はがきがそのいい例で、外国の有名画家がデザインしたものは1枚数十万円するものがある。それを思うと今簡単に手に入るそうしたものを収集する趣味があっていいが、膨大な量になって家に居場所がなくなる。筆者は展覧会のチラシをほとんど捨てずに持っていて、たまに調べて同じもの2枚あると1枚はゴミに出すが、それでも全部で3、40キロにはなるだろう。
●『世界遺産の建築ミニチュア展』_d0053294_15202333.jpg 本展の展示物はTVで充分にわかった気がしたし、実際に見てもそうであった。冒頭の短歌のように、有名建築物のミニチュアはガチャガチャ(以下ガチャ)でも販売される。先日嵯峨の天龍寺前の商店街で京都の有名建築物のミニチュア・シリーズを売るガチャ販売機があった。金閣寺をほしいと思ったが、400円投入してそれが出る確率は10分の1程度だ。それで諦めた。「金閣寺前」のバス停には大きなお土産店があって、そこではいくつもの種類の金閣寺の置物が売られているはずだが、先日バスでそのバス停を通りがかると、コロナで観光客がいなくなったためだろう、シャッターが下りていた。新京極のお土産店でもそういうミニチュアは買える。筆者は昔いわきのMさんに掌に載る金閣寺を贈ったことがある。するとMさんは長年それを仏壇に飾っているとのことで、そういう使い道もあるのかと思った。お土産の建築物のミニチュアが生まれたのはいつ頃だろう。たぶん19世紀の終わり頃で、最初はエッフェル塔ではないか。東京タワーが経った頃、東京から転校して来たT君と親しくなり、ある日の学校帰りに彼の家に寄ると、赤い透明なプラスティック製の東京タワーがあった。東京に住む祖母が送って来たと聞いた。高さは60センチほどでミニチュアとは言い難いが、実物に比べるとミニだ。やがて東京タワーの模型は模型店で容易に買えるようになった。昨日述べたタミヤの自動車のプラ模型のように、日本ではミニの模型文化が盛んで、それがガチャにつながっている。昭和30年代までは郷土玩具に人気があってその余波を記憶するが、筆者が10代半ばになる頃は旅行ブームに便乗した形で、各地の温泉旅館のお土産売り場に、昔ながらの郷土玩具に代わって現代風のこけしや人形、置物、ペナントなどが置かれるようになった。筆者はそれらを扱う、また半ば製造する大阪市内の卸問屋でアルバイトしたことがある。半ば製造は、注射器で樹脂胡粉をそういう商品の片隅に書く人がいて、営業マンが温泉宿から受注して来た後、その温泉地の文字を書き入れていた。つまり日本中同じ商品が出回っていて、文字だけが違う。その文字によって買った客は観光地を思い出すのだが、その観光地で製造しているのではない。その卸問屋は数年後には潰れたが、ミニチュアの置物や人形の類は今はガチャで全国販売されている。そのガチャに昔の郷土玩具のミニチュアを樹脂で製造したものもあって、かくてあらゆるもののミニチュアがガチャで売られる。そこで思うに、日本のガチャ企業が世界各地の世界遺産のお土産用に建築物のミニチュアを作ってはいないのかという関心だ。日本が観光立国を目指すならば、いっそのこと日本で世界中の世界遺産の建築物のミニチュアをシリーズ化すればどうか。デアゴスティーニ辺りがそういう企画をして販売すれば、全部集めたい思う人は世界に何万人もいるだろう。
●『世界遺産の建築ミニチュア展』_d0053294_15210369.jpg 世界遺産の写真はネットで容易に入手出来るからには、器用な人は3Dプリンターでそれを立体化することはさほど難しくない。個人が楽しむには著作権は関係ないはずで、そんな模型を作ることを趣味にする人は今後は増えるだろう。そこで問題となるのは縮小の精度だ。現物にかなり似せて縮小しても案外それらしく見えず、多少デフォルメするほうが楽しい。それが極端になると「ゆるキャラ」化し、程度をどうするかだが、それには制作者や製造会社、製造国による差がある。デアゴスティーニが製造するとして、誰かひとりにミニチュア化を任せると全体で統一が出来るが、その誰かが別のデザイナーであれば全体として全然違った雰囲気のものになる。その見栄えの差は素材や色合いも関係し、建築物のミニチュアはそれなりに奧が深い。素材や色、縮小率やデフォルメに切りがないことを考えながら本展の展示物を見ると、どれもミニチュアで共通するのみで統一感はない。それらの間にある差異は実際の建築物にあるそれとはあまり関係がなく、ミニチュアの材質や実物の忠実な縮小ではない部分に目が行く。またそこに楽しみがある。橋爪氏がどれも現地で購入して来たものかどうか知らないが、ebayに頼ればかなりは手に入るだろう。さて、ヨドコウ迎賓館は当日大勢の人で、入館までしばし待った。撮影が自由であったのかどうか、スマホで撮影している人が目立ったので、筆者も部屋の片隅に陣取る監視の若い女性の視線を気にしながら数枚撮影した。金閣寺などの日本の建築物もあったが、珍しくないので撮らなかった。2枚目の写真の上の左下隅は蛙で、ガウディのグエル公園のどこかで売られるのだろう。写真下の右下はピザの欠片に見え、赤い屋根の連なりが美しい。東欧であったか、壁で囲まれる古い都市のミニチュアで、作った人の街に対する誇りが感じられる。3枚目の上はエッフェル塔でさすがに種類は多いが、この何十倍も存在するだろう。部屋が暗いこともあって全部撮らず、INAXないしLIXILの企画展用の正方形のブックレットがあればいいのにと思っていると、展示室の最後にそれが1冊置かれていた。4000円ほどしたので買わなかった。またこういうお土産用のミニチュアを深く論じるのは、建築家の役目ではなく、模型品や観光を学問とする人の仕事だろう。それには多くの切り口があって薄い冊子では間に合わない。ヨドコウ迎賓館にはグッズ販売コーナーが常設され、本展に合わせてこの迎賓館のミニチュアが販売されていた。迎賓館の側面図を白い線で印刷する黒地の手提げ袋も販売され、それは筆者が数年前にMIHO MUSEUMでもらった、同美術館を印刷するものとデザインが同じで、美術館グッズ専門業者がいるようだ。それで欧米の美術館で記念に買っても、帰国して日本製であることを知る。大きなものはアメリカに任せ、日本はその模型のミニチュアで細々生きるか。
●『世界遺産の建築ミニチュア展』_d0053294_15213133.jpg

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by uuuzen | 2021-11-15 23:59 | ●展覧会SOON評SO ON
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