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●阪急嵐山駅前の駐輪場、その12
庸に 煩悩ありて 危害与う 気概抱けば 覆水盆に」、「盆の水 掬って戻す ウェイトレス 誰も気づかず 天井カメラ」、「お天道様 今は監視の カメラ様 時代進みて 人心荒み」、「見張る人 見張られぬでは 不公平 道徳なきは 安心もなき」



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隣家のどこにあるかだいたいは把握しているが、時になかなか出て来ない本がある。ここ数日気になっていた本があって、隣家ですぐに見つかったのでいらいらせずに済んだのはいいが、その目当ての本の隣りにガエタン・ピコンのマルロー論があってびっくりした。その本はまだ読んでおらず、たぶん20年ほど前に買った。ここ数年マルロー関係の本をフランスからもっぱら取り寄せるなどする一方、2年前に京都北山の歴彩館で芸術新潮の昭和30年代から連載が始まったマルローの「空想の美術館」を、全部ではないが、最初から5年分ほどは複写し終えた。その関連でマルロー研究の本も集めていて、ガエタン・ピコンのマルロー論を3年ほど前に入手した。20年前に同じ本を買ったことを忘れていたのだ。最近手許に2冊ある本は、1冊を特別の段ボール箱に放り込み始めた。みんな美術関連の本で、いずれ1冊ずつネット・オークションに出そうかと思いながら、その気はほとんどない。手間を考えると捨てるほうがいいだろう。とはいえ、定価5000円以上する本もままあり、また珍しい本もあるので、ほしい人の手にわたるのがいい。2冊あることを知ったガエタン・ピコンの本もその段ボール箱に入れることになるが、同じことを実行しなければならない本がまだどこにあるかを知っているのに、面倒なのでそのままにしている。同じ本を買ってしまうのは認知症の始まりか。そうとは限らない。ガエタン・ピコンの本は全く記憶になかったが、20年も経てば無理もない。彼の著作に関心がありながら、まだ機が熟さず、それで思い出したように気になって同じ本を買ってしまった。話を戻して、目当ての本が5分とかからず見つかったので気分がよかったのに、その本の隣りに20年前に買ったガエタン・ピコンの本を見つけてがっかりしたから、まあ人生は喜びと落胆が同じほど存在するのだろうと思うことにした。それにガエタン・ピコンの本が目に留まったことは、もういい加減その本を読めと言う彼ないしマルローの霊の命令と思うことにする。それはともかく、目当ての本はロジェ・カイヨワの『バベル』だ。これもたぶん20年ほど前に買い、しおりのあるページまで、つまり「日本版への序文」のみ読んだままになっていた。筆者は本を最後まで読まず、途中で気になってほかの本に手を伸ばすことが多い。というよりほとんどそうで、それで併行して読んでいる本が常に5冊以上はある。『バベル』が気になったのは、筆者のブログや考えていることなどが「バベルの塔」のようにいつまでも完成しないからで、そのたとえは最近のブログに二度書いた。
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 『バベル』がどういう内容であるかは20代半ばに知った。それは『蛸』と題するカイヨワの本で、75年6月16日に大阪梅田の紀ノ國屋書店で買った。当時23歳で、たぶん新聞の書評で知ったのだろう。訳者の塚本幹夫は『バベル』の訳者でもある。当時『蛸』にとても興奮した。またありがたかったのは、本の後半がカイヨワのそれまでの著作を1冊ずつ取り上げた塚本の解説であったことだ。これは今でもたまに読み返す。ただしその概説でわかった気になるのは駄目で、カイヨワの著作に目を通さねばならない。そして出来ることならフランス語で読むべきだが、筆者は30歳頃に一時フランス語を独学しただけで、今はもうその言語を習得する時間がない。それでもカイヨワの原書を見つければ買っている。話は脱線するが、『蛸』後半の解説の中で長年気になっている本がある。カイヨワが1954年に書いた『サン=ジョン・ペルスの作詩法』だ。これは邦訳されておらず、塚本の解説に頼るしかない。サン=ジョン・ペルスの詩の邦訳本はユルスナールの小説の翻訳で有名な多田智満子によるものがあるが、それを読んでもカイヨワが感心した理由はわからないだろう。原文の横に邦訳があれば対照出来ていいが、たぶんそうはなっていない。それでカイヨワの原書、サン=ジョン・ペルスの原書、そして邦訳本の3つを手元に置いて少しずつでも読み進むと、カイヨワがなぜサン=ジョン・ペルスの詩の完璧な形式美を称えたかがわかるはずで、その用意を始めるつもりになってまずフランスの古書店に原書を注文した。これはカイヨワの著作を全部読みたいからで、それほどに『蛸』の影響は大きかった。ただし、この本を4、50代で読んで同じ熱を持ったかどうかは疑問だ。若ければ若いほどに影響を受けやすく、また受けるのであれば限りなく良質のものがよいに決まっている。その意味で筆者は新聞の書評にしたがって『蛸』を買い、それを今でも時折繙くほどに、関心事や読書の指針はぶれて来なかったと思っている。話を戻し、『バベル』は『文学の思い上がり その社会的責任』の副題が示すように、文学論、特に小説論となっている。美術や音楽との比較もあって、いかに文学が人間にとって重要な芸術かを説くが、大半は戦中戦後のフランスのシュルレアリスムの小説を批判している。一方では性描写を含む小説だ。これは地下出版の完全なエロ小説はそれなりの即物的な役目があって否定しないが、文学の装いをまとっているのに煽情的な描写が混じるものを指す。またカイヨワは冒頭で「私は問題の危機を故意に抽象的に取り扱った……」と書くように、批判する小説の作者名をほとんど明らかにしていないが、これは本が書かれた1948年当時のフランスの読書好きにとっては自明の理で、言及するまでもなかったからだろう。それにカイヨワが書くように、そういう小説は半世紀も経たずに忘れ去られた。
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 ただし、同じような作者は常に手を変え、品を変えて登場し続ける。そのことをカイヨワは憂い、また糾弾するのだが、歴史に長く残るべき正統的文学は自ずとそうなって行くはずで、わざわざカイヨワが心配するに及ばない気はする。もっと言えば、『バベル』はあまりに真面目なカイヨワが露わになっているので、小説好きの多くはまともに読まないであろう。筆者は『蛸』を通じてカイヨワの博学さと努力を惜しまずに高みに登ろうとする気高さを感じたが、誰もが筆者とは同じではない。それでこうしてブログにカイヨワへの関心を書いたところで誰も注目しないことを知っているが、23歳の筆者に大きな影響を与えた存在として、これまでカイヨワを忘れたことはなく、たとえば去年はガスカールの本からカイヨワの最晩年の様子を知ってまた新たに考えることがある。それはさておき、『バベル』を早速読み始め、倫理という言葉が頻出することに共同体に対する責任感が如実にうかがえ、意味を必ず伴う言葉を扱う文学者は画家や音楽家以上に社会的責任が大きいことを改めて感じる。ところがその言葉が、カイヨワは知らなかったインターネットの登場によって、がらくたが大量に吐き出されることになった。カイヨワが嫌悪したようなものほどに人気を得る一方、彼らがオピニオン・リーダーのようにもてはやされ、莫大な収入を得られる時代が到来し、『バベル』が危惧することが拡大化している。『バベル』は箸にも棒にもかからないような文学は最初から相手にしていないが、ネットでは逆に文学では決してない、形式美や様式美とは無縁の言葉の集合が量産され、ひどい内容のものほど人気を得ている。これは音楽でも絵画でも同じだろう。先日常滑で8000人の観衆を集めたヒップホップの野外フェスティヴァルがあり、3000万円の補助金を国が出すというニュースがあった。なぜ補助金を出してまでコロナ感染拡大の可能性がある音楽祭をやるのか筆者には理解出来ない。音楽ならどんなものでも芸術で、公金で補助すべきというのは大間違いであって、『バベル』が糾弾する、芸術の名に値しないろくでもない小説と同じく、共同体の利益を考えず、倫理を糞くらえと思う連中が一部の人たちから人気を得る。どの道そういう音楽ないしミュージシャンはすぐに歴史のどん底に消えて行くので目くじら立てることもないという見方もあるが、タリバンと同様、彼らの子や孫ややはり将来同じようなことをする可能性はあり、その意味で『バベル』に書かれていることは、表現者にとっては耳が痛いが、熟読して肝に銘じるのがよい。今日の写真は6月14日の撮影で、この工事は「バベルの塔」とは違って完成することは決まっているが、生きている街は必ず常にどこかで工事があり、永遠に形を変えて行く。それで日本の大手ゼネコンは天に届く建築物を構想していて、「バベルの塔」は日本で現実化するだろう。
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