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●「美しき 大きな羊 二頭立ち 遠き日日 食みて吐き出す」
の中に もなか落として 『もうないよ』 嘆く吾子見て 下手な句詠みて」、「藻を刈れば 儲かるの洒落 真なり 刈ってくたびれ それも儲けや」、「毛を刈りて 儲ける床屋 憎むのは 頭坊主の 僧丸儲け」、「毛を刈りて 儲ける床屋 悔しがる ロングヘアーの 男増える世」



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「美」が「羊」と「大」が組み合わさっていることを知れば、痩せていない女は価値がないと思い込む風潮の強い現在の日本では意外に思う人が多いだろうが、大きな羊はそれだけ刈り取るべき毛の量が多く、また肉の量もそうなので、利益が大きい、儲かるという観点から「美」の基準を決めていた古代中国の事情を想像する。それはともかく、今年の春、あまりに毛の多い羊がオーストラリアで捕獲されたニュースがあった。2,3年野生として生きていたようで、毛は30数キロあった。これがどのくらい多いのかは羊の写真を見れば手っ取り早いが、その姿は美しいとは言えず、野生ゆえに全身が汚れ、しかも毛はあちこち絡まり、また縮れて、人間のホームレス状態だ。そう言えば先日80年代の京都河原町の繁華街を放浪していた有名なホームレスの「ジュリー」の記事をネットで読んだ。彼を河原町に出るたびに見かけた筆者は、その頭髪が伸びて固まった状態が、野生になった羊の毛の伸び放題にそっくりであったことを思い出す。同記事ではその「ジュリー」を美化するコメントが並ぶ中、ある人が「臭かった」と否定的な意見を書き込んでいて、洗わない毛の異常な繁茂は決して「美」ではない現実を指摘していた。とはいえ、そういう欠点があっても大きな羊が美しいというのは理解出来る。それはさておき、今月18日は昨日の大阪高裁の大蘇鉄を見た後、西に歩いた。堂島川の右岸沿いを国立国際美術館まで行くことにしたのだが、いつもなら中之島を歩くのに、その日は道を南にわたるのが面倒で、また後日書くが、別の理由もあって直進することにした。今日の写真はその結果見つけた二頭が並ぶ羊の彫刻だ。筆者はこれが四角いビルの四方の角、地上から2、30メートルのところにあった時代、頭上の阪神高速から見下ろしたことがある。60年代の末頃だ。見下ろすというより、ほとんど目の高さと変わらなかったかもしれない。先日新宿のとあるビルの角に大きな液晶スクリーンが設置され、そこに巨大な猫が映し出されたことが話題になり、早速そのビルの模型を作って本物の猫を同じようにビルの隅に置いて撮った写真を投稿した人の紹介記事も読んだが、そのアイデアの原型がこの堂島の商社ビルの羊と言ってよい。ともかく、走る車の窓からこの彫刻を見た時はぎょっとした。そして美しいと思った。日本のビルは合理性を追求するあまり、無粋な箱というデザインが主流になっているが、そうした中、このビルは彫刻を守護神のように四隅に置くだけで堂島中之島界隈では特に目立っていた。
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 60年代末、知り合いの紹介で筆者は大阪市内のプラスティック工場にアルバイトにしばらく行った。その前は確かガソリン・スタンドでアルバイトしたが、どちらの職場でも筆者は5,6歳年長者にとてもかわいがられ、車で出かける用事があればそれに乗せてもらった。そうしてプラスティック工場勤務の頃は打ち合わせや製品配達で大阪市内や遠くの名古屋まで運転助手の形で同乗して出かけた。もちろん助手を務めるのではなく、ただ座席に座っているだけだ。そうした外勤のある夏の日、天満橋の小さな下請けのプラスティック工場に出かけ、その際阪神高速を利用し、今日の写真の羊の彫刻を車窓から見た。その後筆者は長年このビルが現在どうなっているのかが気になり、10年ほど前にネットで調べたことがある。この投稿のためにグーグルのストリート・ヴューを確認すると、2009年10月までは筆者が見た60年代末期と同じ状態であった。18日、堂島川沿いを西に向けて歩いていて、突如植え込みの中に白い羊の像に遭遇した時にはふたたびぎょっとした。しかも昔と違ってビルの高台の角という手の届かない、また羊にとっても逃げ場のない危うい場所ではなく、地面にいる。筆者は即座に60年代末期に阪神高速から見た像であることを確信したが、脇にある説明板には当時の写真があり、思いが正しいことがわかった。中之島はよく歩くのに堂島川右岸は長年歩いたことがなかった。2009年10月以前に一度か二度は歩いた記憶があるが、見上げなければこの羊は目に入らない。それで気づかなかったのだろう。ビルは建て替えられ、計8頭の羊は地面に下ろされて展示されることになった。この粋な計らいは嬉しい。とっくに消えてなくなったと思っていたものが、以前より増してはっきりと眼前に姿を現わすことはよくある。たとえばビートルズの古い録音の音がより迫力を増して商品化されることだが、モノとは違って劣化の度合いがはるかに大きい人間の場合は考えようによっては残酷なことがある。話を戻すと、阪神高速をどこで下りたのか記憶にないが、JR天満駅の東南の一画に目指すプラスティック工場があった。玄関を入ってすぐに小型の射出機が一台あり、そこのふたりの筆者と同世代の20歳少し前の、双子のように見える娘が揃って出迎えた。夏休みのことで、彼女らは体にぴったりとした揃いのベージュ色の半袖のワンピースを着ていた。無言の彼女らの4つの目は筆者をまじまじ見つめ、女馴れしない筆者は彼女らの堂々とした体つきにひるみながらも、彼女らが新人の筆者を物珍し気に見ていることを受けて立ちすくんだ。用事はすぐに終わり、またトラックに戻った筆者が振り返ると、迎え出た時と同じように彼女らは直立不動で筆者らを見送っていた。彼女らは若いのであたりまえかもしれないが、美しく、なぜこんな家内工場にいるのかと思った。50年前のことだ。
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by uuuzen | 2021-07-22 23:59 | ●新・嵐山だより
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