人気ブログランキング | 話題のタグを見る

●当分の間、去年の空白日に投稿します。最新の投稿は右欄メニュー最上部「最新投稿を表示する」かここをクリックしてください。

●京都大宮高辻 BlueEyesにて、バスクのスポーツ
の一斑を見て全容を推し量ることは慎むべきであることは承知している。それでたまたま見たライヴ演奏についてこうして原稿用紙9枚を費やして御託を並べるのは筆者にはそれなりに苦行でもあり、見てすぐに感想が書けない場合がある。



●京都大宮高辻 BlueEyesにて、バスクのスポーツ_d0053294_00231422.jpg
たいていはミュージシャンに書いたものを見せずに投稿するが、実際に会うなどしてそれなりに親しいと思っている間柄であれば、投稿前に書いたものを見せる。そこで明らかな間違いのみの訂正で投稿許可が出ればいいが、そうでない場合がある。それでミュージシャンとは親しくなることはよくないと思い始めている。親しいと言っても談笑する程度で、深い付き合いではないが、それでも忖度が生まれやすい。親しい間柄でなくても、忖度気味に書く場合があるが、それを突き詰めれば、ぱっと見の人柄や演奏に好感を抱いたかどうかによるのであって、こうした感想文は煎じ詰めると筆者の好悪が反映する。さて、9日の演奏で三番目に登場したのは「バスクのスポーツ」という東京のバンドで、そのことを今日の最初の写真の中央に写る松本和樹さんが説明した。初めての京都での演奏と思うが、昨日YouTubeを見ると2012年に武美大でのおそらく学園祭での野外ライヴが投稿されていて、キャリアは10年近くになるのだろう。それだけ活動し続けると演奏がこなれるのは当然で、2012年に比べて格段にシャープでソリッドな演奏を9日は聴かせた。まず瞠目させられたのは、最初に登場したIVORY TOWERとはとても対照的なギタリストの風貌だ。YouTubeにはスキンヘッドやモヒカン刈りの姿もあり、顔はボクサーの亀田興毅に似ている。メロディを奏でるメンバーとして相棒格のキーボード奏者はヒップホップ・ミュージシャンの雰囲気だが、それこそ全豹一斑であって、彼は以前は全然違う髪型と服装だ。何が言いたいかと言えば、見栄えと音楽の落差だ。それがまず第一印象だが、YouTubeをあれこれ見ると、なるほどと思う点にいろいろ気づいた。それはバンド名にも表われている。彼らの「バスク」は「vasque」と綴るが、スペインとフランスの国境にあるバスクは「basque」のはずだ。「vasque」なら「ヴァスク」がいいが、日本では「v」と「b」は区別しない場合が多い。それで、このバンドの「バスク」が何を意味するかわからないが、靴のメーカーに「vasque」があるようで、それをメンバーが愛用しているのかと勝手なことを考える。また「バスク」よりも「スポーツ」が珍しい。彼らは音楽をスポーツ、競技のように捉えているのだろうか。そう考えると音楽性が何となくわかる気もする。そしてそのスポーツで想起するのは「シンクロナイズド・スウィミング」の「シンクロナイズド」で、4人が完璧と言ってよい見事な切れ味の統一された演奏を披露する。
●京都大宮高辻 BlueEyesにて、バスクのスポーツ_d0053294_00240823.jpg IVORY TOWERのギタリストを羽生結弦にたとえ、このバンドのギタリストがボクサーに似ていると言っても、それは彼を謗ることにはならない。競技者にストイックさは欠かせず、死ぬかもしれないボクシングは自己を追い詰めることにかけては限界にあるだろう。さてここで大昔の話をしておく。筆者が中学2年生の時、ビートルズのシングル盤を、同じクラスの成績は中の下の普段あまり話さなかった男子に貸した。1か月ほど後、わが家までレコードを返しに来た時、何とエレキ・ギターと小型アンプを持参した。そしてギターを弾いて見せたが、彼によれば音楽を聴くより演奏するほうがはるかに楽しく、また演奏は簡単と言うのだ。その時、筆者は学校の成績に関係なく、楽器演奏の才能があることを知った。学校にひとりはそういう人物がいるだろう。となれば多くの、天才とまでは言わないが、演奏が巧みな人物はいつの時代でも一定数いる。「バスクのスポーツ」のギタリストを見て筆者が次に思ったのはそのことだ。彼の学校の成績が悪かったというつもりは毛頭なく、演奏の才能は優等生に見えるかどうかは関係ないということだ。それで彼らの演奏は、YouTubeには女性ヴォーカルとの共演もあるが、4人によるインスト曲ばかりで、ルーパーや過剰なエフェクターを使わずに、コンピュータのように精確で、またコンピュータ音楽とは正反対にある熱気を旨とする。その熱気はライヴでこそ伝わりやすいが、コンピュータ時代であるからこそ、人間の磨き抜いた手技を見せようという矜持が彼らにはあるのではないか。全員汗まみれになっていると想像させるほどに猛速度で演奏するが、ルーパーを使っているかのような複数の主題の繰り返しが執拗に続く。それは伴奏としてのリフで、そこに即興演奏が載るかと言えば、あまりそうではなく、ユニゾンでその複雑な主題を奏でる場面が多い。つまり曖昧な意味での即興がなく、彼らの曲は全部楽譜に書かれているのではないだろうか。猛速度のメロディの繰り返しがルーパーではないことを聴き手は知っているので、どれほど練習を重ねてそういう演奏が出来るのかと、シンクロナイズド・スウィミングをほれぼれと見るのと同じ天晴の気分にさせられる。音楽にゆったりとしたくつろぎを求める人には理解しにくいだろうが、プログレは本来技術の粋を特徴とし、完璧のその度合いを感じることにくつろぎを覚えるものだ。これはヘヴィメタにも言える。筆者には違いがわからないヘヴィメタでも、それが好きな息子はどれも全然違うと言う。同じようでいてみな個性があり、その細部を感じ取るところに醍醐味があるのだそうだ。それはプログレでも同じだろう。もっとも、プログレはヘヴィメタよりはるかに曖昧な呼称で、現在活動中の一風変わっているミュージシャンはプログレに分類されやすい。
●京都大宮高辻 BlueEyesにて、バスクのスポーツ_d0053294_00233142.jpg 豹の一斑を見て、それが他のどの動物と似ているかを考える手もある。筆者の乏しい知識を動員すれば、キーボードの音色や弾むリズムとメロディによるのだが、ジェスロ・タルの音楽にはふんだんにある素早い旋律の挿入句を模範にし、それを主題に持って来ている気がする。長年活動しているジェスロ・タルは10数年前にネット時代に呼応してコンピュータ的な要素を用いた。流行に乗り遅れないためにはそういう実験、冒険も必要だ。タルにすればコンピュータ時代になっても自分たちの個性の根幹は微塵も揺るがないという自信があってのことだが、バスクのスポーツのYouTubeには、パソコンに打ち込んで作ったらしき音楽があって、その面白い映像を伴なった機械的な音楽は、彼らのライヴを一方で聴いて知っているだけに、無機質とは感じられない不思議さがある。それはザッパのシンクラヴィア曲と、それを編曲して人間が演奏したヴァージョンとの差を思わせるが、コンピュータか人間のどちらが楽しいかと言えば、当然後者で、バスクのスポーツはそのことを自覚しつつ、自分たちの音楽はコンピュータでも味わえるほどに中身は充実し、音の構成に自信があるということなのだろう。ザッパついでに書くと、バスクのスポーツはザッパの「ブラック・ページ」や「パープル・ラグーン」の主題をどう思っているだろうか。それらの曲は競技で言えば、ハードルの位置が出鱈目に設置されている障害物競走にたとえてよく、休止符の間の取り方が難しい。速弾きは多くの練習を要するが、音を奏でてはならない「間」が予想外のところにある曲を速弾きすることをザッパはメンバーに強要した。最初から最後までえんえんと同じリズムが続くディスコのような単調な音楽を風刺してのことで、一小節に音がたくさん詰まっているゆえに難曲とは言えない。バスクのスポーツの演奏を聴きながら、メンバーの意気が見事に一致していることを感じながら筆者は一方で耳慣れたディスコ音楽をふと思い出しもした。また筆者は近年はもうジェスロ・タルの音楽を全く聴かない。それらは70年代の遠い過去に完成され、聴き尽くしたと感じるからだ。そのタルの孫世代に相当するバスクのスポーツは、たとえばタルらしき複雑な旋律をやすやすと速弾きしながら、演奏の楽しみを満喫している。その彼らの恍惚感に聴き手が浸ることが出来れば彼らの音楽は猛烈に楽しいだろう。世間のスポーツ好きは、見事な競技や演技を見ることに楽しみを覚え、自ら体を動かすことがない場合がある。音楽はスポーツと重なるところが大だが、今ではTVゲームもスポーツとされて、観衆が存在する。そうしたゲーマーも演奏者も、ストイックに練習を重ねなければ目立つことは無理だ。バスクのスポーツはストイックであるはずで、そうでなければ今の演奏はない。ストイックであることは格好よさであって、それに惚れ込むファンがいる。
by uuuzen | 2019-11-22 23:59 | ●ライヴハウス瞥見記♪
●京都大宮高辻 BlueEye... >> << ●京都大宮高辻 BlueEye...

 最新投稿を表示する
 本ブログを検索する
 旧きについ言ったー
 時々ドキドキよき予告

S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30
以前の記事/カテゴリー/リンク
記事ランキング
画像一覧
ブログジャンル
ブログパーツ
最新のコメント
言ったでしょう?母親の面..
by インカの道 at 16:43
最新のトラックバック
ファン
ブログトップ
 
  UUUZEN ― FLOGGING BLOGGING GO-GOING  ? Copyright 2025 Kohjitsu Ohyama. All Rights Reserved.
  👽💬💌?🏼🌞💞🌜ーーーーー💩😍😡🤣🤪😱🤮 💔??🌋🏳🆘😈 👻🕷👴?💉🛌💐 🕵🔪🔫🔥📿🙏?