双極性音楽生涯。ザッパの音楽には極がふたつある。ヴァレーズやストラヴィンスキーのような現代音楽とブルースを基調にしたロックで、前者についてはとっつきにくさからザッパ・ファンでもまともに意識しない。
先日のザッパロウィンで話すことを忘れたが、吉田秀和は50年代であったか、ヴァレースに会ってその印象を書いた。一方、ザッパを高く評価した中村とうようは吉田秀和が嫌いであったようだが、吉田はザッパのような商業的な音楽を聴かなかったはずで、音楽の世界には知識人が喜ぶものと一般大衆が気軽に楽しむ娯楽音楽というふたつの極がある。ついでに書いておくと、鶴見俊輔はコンロン・ナンカロウに会いに行き、そのことを本に書いた。それがいつのことか今すぐには調べられないが、ザッパがナンカロウの音楽に関心を抱くよりも以前のことであろう。筆者は鶴見のその本を読み、後に鶴見がある展覧会に際して講演することを知って、その講演後に面会を求め、美術館の館長の計らいで20分ほど控え室で話すことが出来た。筆者がこれまでに会った人物の中では最も知的でまた風格のある大人物で、また優しく、快活であった。鶴見がナンカロウに関心を持ったのは、スペインの市民戦争にナンカロウが参加したためだ。筆者はナンカロウが自動ピアノによる作曲について有名になっていることを話すと、鶴見は「そう言えばピアノがあった」と語ったが、鶴見は吉田のような音楽評論家ではないので、ナンカロウの創作については関心がなく、その方面の質問はしなかったようだ。それはともかく、こうした創作者との出会いが文章にされていることは歴史的にも貴重で、そこに文章の力があることを思う。以下、今日の本題。アメリカの大西さんから22日にメールがあった。その一昨日前にアレックスから300ドル以上の支援者に対する本とCD、LPの送付の告知メールがあり、22日に届いたとのことだ。早速大西さんはそれらの写真をブログに載せたので、筆者は待つ楽しみが半減しているが、届けばまた感想を書く。これまでの経験から早ければ10日ほど、遅くなれば1か月以上かかる。筆者への発送告知メールは今朝届き、またアレックスの「#95」のメールもあった。それによればマグノリア・ピクチャーズとの契約によって、映画公開の感謝祭から3か月間は、アレックスはDVDの発送が出来ず、支援者への送付は来年3月になるが、映画と違ってボーナス映像を含む。映画の批評はいろいろ出ているようだが、日本での公開の話は伝わっていない。『シチリアのザッパ』のようにヤマハが発売権を得ると、その日本盤の対訳や解説にまた筆者は携わることが出来るかもしれないので、少しは期待している。今日の画像は前回書いたシルクスクリーンによる映画『ZAPPA』の限定版のポスターで、ザッパ・ファンでなくても怪獣映画好きはほしがるだろう。
●スマホやタブレットでは見えない各年度や各カテゴリーの投稿目次画面を表示→→