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●『ザッパロウィン 20mini』のザッパニモヲ
きに流れるのが人間として、ザッパは徹底してメンバーに練習させることで普通なら演奏が難しい曲を安易にこなせられるようにした。またそれは自分が演奏出来ることが前提としてあったので、サディストでもマゾヒストでもあったと言ってよい。



ザッパの曲は演奏すると楽しいということを聞いたことがあるが、それは独特のしかも素早く演奏しなければならないメロディを習得すると、癖となって馴染むからだろう。面白い早口言葉みたいなもので、「バカのひとつ覚え」を思えばよい。ただし、ザッパの場合、当然その「ひとつ覚え」がひとつでは留まらない。しかも2時間以上のステージを切れ目なしに演奏する苛酷さで、バカでは務まるはずがない。となればその音楽を聴く者もバカでは理解出来ないが、「バカのひとつ覚え」として耳にこびりつくメロディのひとつやふたつはたいていの人は覚えるのではないか。ザッパの曲にはそうした「バカのひとつ覚え」的な印象深い箇所は満ち溢れているが、ザッパ・ファンであってもあまり聴き馴れない曲はある。先日の『デジタル・ダウンロード、その4』に書いた78年8月の「モーの休暇」は、演奏の最後にザッパの喜ぶ声が聞こえる。難曲がザッパの満足行くように演奏されたからで、楽譜どおりに演奏出来る才能をザッパは求めていた。同曲の全容をザッパは5年後の『ロンドン交響楽団』というとても地味で真面目なアルバムで発表しただけであったが、同曲のそれこそ「バカのひとつ覚え」的に印象深い主題は79年の『ジョーのガレージ』の「女ロボットの濡れたTシャツ」で奏でられていた。「モーの休暇」のモーはザッパの長年のマネージャーを指すが、彼が休日に若い女のTシャツに酒をぶっかけてどんちゃん騒ぎをする遊びに興ずるとザッパが設定したと捉えると、込み入った皮肉のほどがわかるが、「濡れたTシャツ」の発表時にはそこに「モーの休暇」の主題が演奏されていることは誰にもわからなかった。「濡れたTシャツ」はわかりやすく、「モーの休暇」は肩が凝りそうなほどに堅苦しさが過多だが、同じ主題を共有することがわかると、『ロンドン交響楽団』を聴くことに馴れ始め、ザッパ像の理解も進む。さて、今月7日は京都の大宮高辻で二回目の『ザッパロウィン』が開催された。コロナ禍で去年のようにザッパニモヲ以外のバンドを呼べず、時間の穴埋め的にまず筆者が1時間ほど話した。ザッパの音楽に詳しい人でなければ退屈な話であったはずだが、ヴァレーズのことを中心に話はあちこち飛んだ。そうそう、73年に一時期在籍したリッキー・ランセロッティを黒人と言い、金森幹夫さんからミスを指摘するメールが届いたが、ザッパが81年のツアーに際してヘヴィ・メタルの甲高いヴォーカルが歌える白人のボブ・マーティンを雇い、黒人張りの強力な声を常に求めていたという思いのことがあってのことで、舌足らずであった。
●『ザッパロウィン 20mini』のザッパニモヲ_d0053294_17491294.jpg
 去年と違ってザッパロウィンのみの演奏で、ライヴ名に「mini」がつけられた。しかもコロナ禍で、さあやさんは去年の50人の3分の1の客数を予想したが、22名であった。筆者はマスクを一度も外さず、客もそうで、コロナ感染の心配はありながら、マスク着用はむしろマナーとして定着している。名古屋からは4人来られ、去年出演した遠藤豆千代さんの遺影写真が客席からステージを見守った。去年同様、筆者は最前列の下手に陣取り、その右手に写真家の須原さんが坐り込んでステージの写真を撮り続け、その様子はツイッターで紹介された。また演奏の様子は撮影されてYouTubeに投稿されているので、筆者がここに書くことはあまりないが、今日の冒頭の「易」がらみで書いておきたいことがある。ザッパニモヲのメンバーは去年と同じ6人で、レパートリーも去年とほぼ同じと思っていたので、筆者は9月中旬にレザニモヲの963さんに1曲リクエストした。「パープル・ラグーン」で、ザッパはこの曲を76年秋のツアーではステージの最初にテーマ曲として演奏した。去年は「マフィン・マン」を要望し、それが実現したので、今年はハードルを一段上げた形になった。963さんは難曲ゆえに演奏出来るかどうかわからないと返事を寄越したが、テンポを落とした演奏ながら、当日開場前の5時過ぎに会場に着いた筆者はその曲が演奏されるのを目撃した。さあやさんによれば、仕事の残業があるなど、満足にスタジオで全員揃った練習が出来なかったようだが、去年の経験を元に勘はすぐに戻ったのだろう。そこはさすがと言うべきで、またザッパの曲を演奏して楽しいという思いがあるからだ。「パープル・ラグーン」はネットに楽譜があったというが、楽譜を見ても演奏が難しいことは同じだ。練習期間がさほどなかったにもかかわらず、ドラムスの間の取り方はとてもよかった。ザッパらしい曲の代表と言ってよいこういう曲を披露することでなお自信がつき、一段高いところに進めるのではないか。それに他の新曲を加える余裕が生まれる。そうした曲として、ギタリストが高い声で歌う「ラヴ・オブ・マイ・ライフ」やアンコールの「ブラック・ナプキンズ」は特に印象深かった。また「アンクル・ミート」をさあやさんが奏でる一方、ギターが「イースターの西瓜」の主題をボトル・ネック奏法で即興的に演奏するというジャム・セッション風の曲はザッパの曲をただ模倣するのではなく、その精神を学んで応用したもので、メンバーのザッパに対する知識の増加に伴なって、ザッパの曲にはない持ち味が今後ますます生まれる可能性が期待出来る。さあやさんは去年に続いて「ブラック・ページ#2」を演奏したが、去年より上達していた。そこで期待されるのは、81年のザッパがこの曲を取り上げたように、速度を上げ、しかもレゲエ調で、出来ればギター・ソロを含めたヴァージョンだ。
●『ザッパロウィン 20mini』のザッパニモヲ_d0053294_17494005.jpg 聴き手は勝手なもので難題を出すが、ザッパ曲とでは仕方なきところがある。ザッパのどういう曲を好むかでカヴァー・バンドはレパートリーを大きく違えるが、さあやさんは「ティマーシュ・ドウィーン」を演奏したいと言った。彼女が「パープル・ラグーン」を提示した時、他のメンバーは「これをやるの?」と訝ったそうだが、「ティマーシュ・ドウィーン」が演奏出来るようになると、ザッパのほとんどの難曲はこなせるようになるのではないか。そこにさあやさんの若さを思う。彼女は30を過ぎたばかりで、ギタリストやヴォーカリストのジョーさんも同じくらい、ベースは20代半ばというから、何事も貪欲に吸収してこなせる世代だ。筆者はドイツのザッパナーレにザッパニモヲが出演することを夢想するが、それには技術的なことよりも経済問題が大きいだろう。そこをクラウドファウンディングなどでクリアすれば、新たな経験や人たちとの出会いからレザニモヲの活動もさらに勢いづき、作品が豊かになることは間違いない。今回「パープル・ラグーン」をレパートリーに加えたことは、「易きに流れる」ことを拒否した姿勢で、それを加速化させられる限りはそうすべきだ。若い頃は無理が利く。その無理が後年に大きな糧をもたらす。そのことはザッパが証明している。英語の諺に「チャンスの神は前髪しかない」がある。振り返ってその機会の神をつかもうと思っても、後ろ頭は禿げているという意味だ。眼前に迫る機会に即座に反応し、収穫を得ることは即興演奏と同じで、それは須原さんの写真にも言える。思った時には動いているべきだ。ザッパニモヲはそうであってほしい。そのためにカヴァーすべき、また練習を重ねるべきザッパ曲はいくらでもある。演奏が終わり、ほとんどの人がいなくなってから、筆者はジョーさんとしばし話した。彼は当日の前夜とその前夜にもほかのバンドで歌ったというが、客は1桁の数であった。原因はいろいろあるが、コロナ禍と若者が金欠であることを除いて、やっている音楽が多くのファンを獲得しにくいことだ。そこで彼が言うのは、マスメディアが作り上げる人気者と、かつて有名であったが今はさっぱり売れない者も含めて客を集められないミュージシャンという二極化で、その間がほとんどない。これはごく少数の大金持ちと大多数の貧乏人という現在の日本やアメリカの構造に似ている。また彼の話で興味深かったことは、ミュージシャンの男はいいが、女は年齢を考えたほうがいいという、意外にもまともな考えだ。男は野垂れ死にしてもさほど珍しくなく、また動物として本来そうだが、女はそうではない。美貌はすぐに衰えるし、それまでに身の振り方を考えたほうがよい。それはあまりにも常識的な考えで、メタル・バンドで歌っている彼にはふさわしくないようではあるが、そういう常識を持ち合わせている大人であるから、ザッパの曲も好きなのだろう。
●『ザッパロウィン 20mini』のザッパニモヲ_d0053294_17500966.jpg

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by uuuzen | 2020-11-16 23:59 | ●ライヴハウス瞥見記♪
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