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●鶏冠鶏頭を育てる、その4
るべき酷暑だ。来年はもっと気温が高くなることもあり得る。異常気象と新型コロナウィルスの発生は無関係ではないだろう。人間が最大の原因と思うが、誰よりも儲けたい人たちが政治を司っているからには、まだまだ大多数の人々が生きにくい世の中になって行くだろう。



●鶏冠鶏頭を育てる、その4_d0053294_01004637.jpgあまりに暑いので仕事をする気になれず、1階の最も風通しのいい場所でごろごろしながら読書ばかりしているが、夜寝る時にはクーラーを数時間かける。これが切れると蒸し暑さに自然と目覚め、襖や窓を全開にする。風は少しは入って来るが寝苦しい。今夜「風風の湯」の常連客Fさんは、猛暑とはいえ、暦どおりにわずかに秋に近づいて来ていることがわかると言った。82歳のMさんはもう1週間か10日すれば暑さはかなりましになるはずと言うが、早く秋風が吹いてほしい。暑さで痩せて、体重は7月上旬から4キロ減って61キロ台になった。体を積極的に動かすことが嫌いで、酷暑になってからはスーパーに行く日は別として、ほとんど歩いていないのに1か月半で4キロ減った。家内に言わせると、以前のようにおやつをたくさん食べないからとのことだ。そう言えば今日は嵯峨のスーパーで半額のおはぎを見つけたが買わなかった。食欲がないのではなく、甘いものはなるべく控えようという気持ちだ。ロジェ・カイヨワが65歳で死んだのが深酒が最大の理由であったことを先日ピエール・ガスカールの本で知って、何となく酒はもう飲まなくてもいいかと思っている。ところが、今日は家内がスーパーで缶ビール6本を指さした。それに筆者はうなずき、久しぶりに買った。「風風の湯」から戻ってすぐに1本飲んだが、なければないで済ませられるので、カイヨワのように飲酒量が増えることはない。今日は家内と自転車を連ねて嵯峨のスーパーを4軒回ったが、スイカはあまり売られておらず、一玉まるっぽはなかった。半分に切ったものをひとつ見かけたが、1000円少々していた。スーパーから戻ってすぐに裏庭に出て鶏頭に水をやった。朝10時に雀に米、メダカに餌をやることが筆者の日課だが、長梅雨が終わってすぐ、鶏頭への水やりを始め、成長を見守っている。数日で大きく成長する雑草をていねいに引き抜き、成長のあまりに遅い鶏頭は涙を飲んで間引く。今日の最初と2枚目の写真は今月9日で、最初の写真は小川沿いだ。最も背丈の高いものは60センチほどになっているが、花穂はまだ鶏冠鶏頭らしくなく、尖ったままで色も浅い。2枚目の写真の鉢植えの花穂がその様子を示している。3枚目は15日の撮影で、左2本が間引いたものだ。中央の白っぽい花は小さいながら鶏冠状を呈している。間引いた理由は他のものより半分の背丈もなかったからで、成長は見込めない。抜いたものを鉢植えに植え替えたが、今日見るとすっかり萎れていた。植え替えを嫌う花であることは確かだ。
●鶏冠鶏頭を育てる、その4_d0053294_01011147.jpg
 植え替えを嫌うのはそれだけ繊細ということか。間引いたその2本は小川沿いの直植えのうち、最も擁壁に近い場所にあったものだ。そこは野良猫の通り道になっているようで、茎が地面に倒れてまた天に向かって伸びているものが2,3本ある。猫が踏み倒したのだろう。それでも鶏頭も負けていない。どうにか伸びようとして、茎をL字型に曲げている。若冲は鶏冠鶏頭の花を描く際、太い茎を輪を描くように回転させたが、実際にそのように成長するのを目撃したのだろう。筆者が育てているものはまだ茎の直径が5ミリ程度の細さだ。人間で言えば幼児だが、もう1か月すればもう少しは立派になるだろう。大きく成長すれば種子が出来るし、それを収穫すれば来年も育てられる。筆者が自転車で動き回って観察する限り、今年はどこも鶏冠鶏頭を育てておらず、写生するには自分で育てるしかない。また水やりを毎日していると成長がよくわかってかわいらしいものだ。家内は鉢植えには水をやるが、小川沿いはフェンスの扉を開けて向こうに出る必要がある。それは筆者しかやらず、また水は小川で汲んで与える。それが体をほとんど動かさない筆者のごくわずかな運動になっている。またこの小川沿いの鶏頭は筆者しか見ないもので、その秘密感がよい。こっそり植えてこっそり育て、こっそり描く。とはいえ、こうして文章にし、写真を公開しているので、秘密どころか、大声で怒鳴っているも同然か。まだ写生するには早いが、写生するとして、背後は小川だ。水面ぎりぎりの幅10センチほどのコンクリートに立ってのことで、一歩踏み外すと川に落ちる。そうなっても深さ50センチほどだが、もうひとつの悩みは蚊がとても多いことだ。水やり作業の間に必ず4,5か所は刺され、写生するには、腰に蚊取り線香をぶら下げる必要がある。先日の大ザッパ会の当日は、来場者へのおみやげを用意し、そのパッケージに何を描こうかと思いながら、裏庭で鉢植えの鶏頭を水彩で描いた。もちろん下絵なしの一発勝負だが、面白いことに最初に描いた構図をその後の9枚も踏襲した。最初に緊張して描いた絵で満足し、構図の変更の必要を感じなかったからだ。また炎天下でしゃがんで描いたこともあって、1枚当たり費やす時間は長くて3分だ。100枚も描けば手慣れもあってもっと単純化したはずだが、それは目的ではなかった。最初の1枚を描いた時に、なるべく同じものを10枚揃える気になった。花だけでは面白くないので、花の周りに赤で炎のようなゆらめきの模様を入れたが、これは炎天下で描いた気分でもあるし、鶏頭の学名が「燃焼」に由来するからでもある。筆者が初めて作った屏風作品は、炎をテーマにした。その後、炎を題材にキモノも作った。鶏頭はその延長にある画題で、燃えている思いを表現したいからだ。あるいは燃えている思いを作品化して沈静化させる、葬るためと言ってもよい。
●鶏冠鶏頭を育てる、その4_d0053294_01013585.jpg

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by uuuzen | 2020-08-17 23:59 | ●新・嵐山だより
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