儲けものと思える出会いがある。ブログ・ネタのことだ。そのことを常に考えていると言ってよい。気になりながら投稿出来ていないことがたくさんあるが、それはそれであって、新たなネタを見つけることは楽しい。
そのことによって自分が今どういうことに関心を抱いているかの確認をしているというおおげさなことではない。ブログに書いていないが、大いに関心を持っている事柄はあるから、ブログが筆者を等身大で表現していることはない。あるテーマについてほとんど成り行きで思いつき、それがどこまで育つかを確認したいのだが、カンナの花に注目するようになった理由がよくわからない。ひとつ明確に覚えているのは、毎年夏休みに遊びに行った伯母の家の前に太陽にまともに照らされたオレンジ色のカンナが咲いていたことだ。そのカンナは南面していた。ほかにも花は咲いていたはずだが、大きな花のカンナは目立った。前回書かなかったが、若冲はカンナの原種と言ってよい、ダンドク(檀特)を描いているので、当時カンナが輸入されていたならば、それを描いたであろう。それは田中一村が描くような絵になったと思うが、話は逆で、一村は若冲がほとんど描くことの出来なかった南国の植物を最晩年に意欲的に描いて名を残した。それはともかく、筆者はカンナの熱帯的な雰囲気は好きで、蘇鉄が好きなのも同じ理由による。昔家内と沖縄に行った時も熱帯植物園を訪れ、沖縄だけで見られる植物を大いに喜んだが、葉のさまざまな色が美しいクロトンをあちこちで見かけ、その一鉢を買い求めて京都で育てたいと思ったが、雪が降る土地では枯れると言われて断念した。その後、ホームセンターなどでクロトンに近い観葉植物を見るが、今は品種改良が進んで育てやすくなっているのではないか。葉脈の美しさを味わうのは渋い絵画を好むことに似て、植物を育てる趣味としては多肉植物とともに高度な気がするが、実際は手間がかからず、ずぼらな人向きだ。そう言えば筆者は多肉植物にも関心を持ち、10年ほど前に多くの品種を買って育て始め、現在は半数ほどが生き残っている。それらが赤や黄色、白の花をたまに咲かせるのは、10日から2週間に一度、水しか与えていないのに、とても健気なことだ。最近ハイポネスクを与えるようになったので、より元気になって株が増えるだろう。そうなれば大きな鉢に植え替える必要があって困ると思っているので、多肉植物からすれば筆者は「あかんな」と諦めムードだろう。小さな多肉植物や部屋の中でもっぱら育てる観葉植物は、蘭に似てひっそりとした味わいがある。筆者は一時蘭を盛んに写生したが、これは高価であるし、また自分で育てることは難しいと思っていると、近年さまざまな品種の胡蝶蘭がかなり安く買えるようになって、大量生産のための培養技術が大成長したことがわかる。そうなればありがたみが減少し、筆者の蘭好みも下火になった。
クロトンの葉脈の多彩な美しさほどではないが、わが家にあるギボシは葉の周囲が白く、花期でなくても何となく洒落た雰囲気が楽しい。それに似たことが先日あった。スイカを買いに上桂に自転車で行った帰り、去年見定めていたカンナが植わる花壇の前を通って帰ろうと決めて桂川の土手を走り、その花壇に着く前、松尾橋東詰めの土手の斜面を利用した花壇にカンナがあることに気づいた。オレンジ色と黄色の二種があり、ほとんど枯れているが、見事な花の列だ。驚いたのは、強い日差しの影響もあるが、葉が黄緑色で、そこに濃い緑色の葉脈がはっきりと見えたことだ。つまり観葉植物としても楽しめる。これは儲けもので、ブログ・ネタを得た。筆者が子どもの頃に伯母の家の前で見たカンナの葉は深緑であった。たいていのカンナはそうだ。カンナもさまざまな園芸種があって、葉も楽しめるようにとの思いから、葉脈の目立つものが作られて来たのではないか。それはともかく、広い斜面に林立するカンナを見ると、とても自分の庭で育てる気にはなれない。そんなことをすればカンナが気の毒だ。カンナにしてもきっと「あかんな」と思うはずで、植物にはそれぞれお似合いの育つ場所がある。そう思うとわが家の2株の蘇鉄の鉢植えのうち、ひとつは隣家の裏庭に置いているが、葉を広げた円形状態が直径1メートルを超えているので、そろそろ直植えしてやりたいと思いつつ、その場所がない。隣家の裏庭の中心に直植えしてやるとあまりに殺風景で、大きくなって来ている楓やその他の木と調和しない。あるいは隣家の裏庭の植生を大改造し、蘇鉄とカンナ中心に熱帯庭園を目指せばいいかもしれないが、日差しが問題でそううまくは育たないだろう。話がまとまらないので、さらに脱線しておこう。カンナで思い出すのは
ビートルズが歌う「アンナ」だ。何百回も聴いたので、もう改めて聴くことはないが、このジョン・レノンがカヴァーして歌う曲は60年代前半ののんびりとした空気、当時の筆者の生活を思い出させる。駄洒落好きは当時からで、今ならこの曲を「カンナ」と題して、替え歌で歌う。♪「あ、カンナー、まだ元気に咲いてるー、遠目に目立つー、それに引き換え、オレはダメやな、どうしたらええんやろー、わからへん(あかんなー)、わからへん(あかんなー)」♪「あ、カンナー、とってもきれいやー、反っ歯もええやんー、オレはさっぱり、自信喪失、どうしたらええんやろー、あかん野郎ー」♪♪(サビ)「オレのこと、嫌ってるやろ、知ってるでー、ほんでもな、あかんがっても、あきらめられへーん、オレはなー、元気出そう思て、カンナをー探しにー、出かけるんやー、あ、カンナー、あ、カンナー、あかんオレを見てーほーしーいー」。「反っ歯」は最初は「葉っぱ」としたが、カンナという娘への恋歌とすれば、「反っ歯」が面白くていい。こうやって笑わせるところが、あかんな。やっぱ。
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