「
怒りが奴の心だったか。なるほど、それで身を切られると屁や糞の臭いがするのだな。忌々しい奴の心め。怒りには怒りで応えてくれようぞ」「バッサリとちょん切ってしまいやした」
「そうかそうか、自分を許すがいいぞ、いいことをしたのだからな。悔いる必要はない。自己肯定せい」「へぇっ、ハドリアヌス皇帝様」「それでな、自分を許した後はShake your bobyってことよ」「あっしにはわかりませぬが」「自分を揺するってことよ」「身震いですか」「アホ、体を動かすのじゃ。つまり踊れってことよ。今年は盆踊りもないからな。そこで裸になって踊ってみな」「いや、ハドリアヌス皇帝様、いかにあっしが奴隷って身分でも、大事な物は見せられません」「せっかく怒りにまかせて屁糞葛を根元から切り取った後ではないか、ついでにお前の屁と糞まみれのパンツも脱いで洗いながら踊ればよかろう」「奴隷でも誇りがありま」「何、埃? ならばなおさら汚れておるのお」「ハドリアヌス皇帝様も人が悪りいや」「何、何、許した後は揺するのは順序としては当然、それで奴隷であっても心の中は皇帝じゃ」「音楽がほしいですな」「贅沢をいう奴じゃな。お前の心は『怒』ってことか」「あしら最下層の奴隷がハドリアヌス皇帝様のような気分になれるって贅沢は考えただけでもバチ当たりなこってす」「それを奴隷根性というのだ。天井からいつも剣がぶら下がっているも同然の玉座に座りたいか?」「身震いします」「そうよ、同じShake your bobyでも裸踊りがいいではないか」「へぇっ」「これで決まり、音楽は
『Take Your Cloths off When You Dance』という20世紀の一風変わった曲をかけてやろう」「へぇっ」「お前、パンツと屁糞葛を一緒にしてはいかん。パンツは洗ってまた履くのだぞ」「へぇっ、もう曲が始まりましたんで、洗いながら踊りま」「そうよ、その調子」「ハドリアヌス皇帝様も人が悪りいや。パンツの糞は1分半では落ちまへん、くそっ」「ははは、ついに怒りの感情が湧いたな、さすがお前は『奴』で奴隷だな」「奴隷でも名前くらいありま」「そう怒るな、渾名をつけてやろう、『ヘクソアラベスク』ってのはどうだ、アラビアから来た奴隷だからな」「へぇっ」「その屁を思わせる返事はもうよい」……といったどうでもいい屁糞話がアラベスクのように続く。今日の写真は先月14日の撮影で、知らぬ間に屁糞葛が唐草模様のように紫陽花にまとわりついていた。2週間ほど後、根元からバッサリ切ったが、裏庭の山芋の葉にも混じっていると家内が言うので適当に切ると、それはやはり山芋の葉であった。紛らわしい。2枚目の写真は家内の東京の親友からの絵はがきで、以前届いた時に一瞥して高村智恵子の切り絵が紫陽花かと思ったが、先ほど確認するとそうではなかった。くそっ。「爺、怒りはいけないよ」「へぇっ、アリアドネ様」
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