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●「七夕に バタバタするや バッタもん」
服屋から百貨店になったのは経営的に正解だろう。呉服が売れない時代になっても百種以上の商品があれば売り上げを心配する必要がない。聞くところによると、百貨店は売り場所を貸している割合が年々増加し、売れない商品を置くテナントが撤退しても百貨店は困らない。



それでも新コロ禍で買い物客が激減し、撤退したテナントの後に新しい借り手がない場合が出て来るだろう。そうなれば百貨店も安泰ではない。先日河原町に出たところ、四条河原町交差点南東角の丸井が5月末で撤退した張り紙があった。10年間の営業だ。また以前の阪急百貨店に戻るのかどうかだが、私鉄も客が激減で、百貨店に戻しても順調に経営出来る可能性は低いのではないか。京都市内の一等地にある巨大ビルの売り上げが減って閉店となるところに近年の百貨店の不人気ぶりが見える。そんなことを「風風の湯」で82歳のMさんに話すと、大きな企業なので心配はないと言う。「風風の湯」にしても7月に入っての客は1日で2、30人の少なさだが、いくつもホテルを経営する会社が母体なので、客が心配することはないと続けて言われた。他人の懐を心配するより自分のことを考えたほうがいいということだ。さて、今日の投稿は昨日するつもりでいた。七夕に因んで書こうと思っていたからだが、改めて考えてどうでもいいように思え、昨日は別のことを書いた。どうでもいいのに今日取り上げるのは、やはり書いておきたいからで、それは気にしているからだ。それはまず、先日書いたバッハの『ゴルトベルク変奏曲』のグレン・グールドの演奏についてだ。筆者はグールドのファンではないが、CDを持っている。ここ1か月はショパンを聴き続けて来たが、バッハ風の曲があることに気づき、またシューマンもバッハを称えていて、バッハが聴きたくなってここ10日ほどは仕事をしながら聴いている。最もよく聴くのは『ゴルトベルク変奏曲』だ。これはだいたいLP1枚分にちょうど収まるが、繰り返しが多いのか、60分ほどの場合もあるようだ。筆者がこの曲を最初に聴いたのは、70年代半ばのことで、カール・リヒターのハプシコード演奏だ。何でも最初に経験したことが強い思い出になる。それで筆者は後年グールドのピアノ演奏の同曲を聴いてもあまり感動しなかった。どうも彼の風貌が苦手で、芸術家なのだろうが、自己陶酔が強過ぎてバッハよりも彼の個性が前に感じられる。これではバッハは喜ばないだろう。楽譜をどう解釈しようが勝手という意見があるが、個性を主張したいのであれば即興演奏家か作曲家になればよい。グールドの同曲は時々彼のハミングが聞こえる。リヒターの演奏もわずかにそれが入っていて、興に乗って思わずメロディを口ずさむのはわかる。それでもグールドの演奏はその声が目立ち過ぎる。とはいえ、曲によってはさすがに迫力満点で、多くのファンを持つ理由は充分わかる。
●「七夕に バタバタするや バッタもん」_d0053294_12550650.jpg
 話は変わる。昨日今日と高槻にいる家内に妹からメールが20以上も来た。いずれもツイッターの投稿のようにごく短く、しかも絵文字が文字の半分以上もあって、とても読みにくく、意味もわかりにくいが、半分ほどは返事を出した。同じように超短文かつ絵文字入りで、文字の大きさは32ピクセルの最大にした。そのいくつかを家内に見せると大笑いしていたが、義妹は電話をかけて来て、大山さんは酒に酔っていたのかと家内に訊いた。筆者はその言葉が意外で、酔っているのは一気に多くのメールを送って来る義妹だと電話口のそばて呟いた。ほとんど冗談でメールを返したのだが、あまりにふざけた文章で、酔ってのことに思われた。それはともかく、義妹と『ゴルトベルク変奏曲』をつなぐ話がある。筆者が京都で呉服会社の子会社の染色部門、つまり帯やキモノを染める業務に携わっていた時、仕事から帰った自分の部屋には冷蔵庫もクーラーもなかった。当時実家暮らしであった家内と密かに交際していて、義妹はそのことを知っていたが、電話では高くつくこともあって、筆者は自分の声をカセットテープに録音し、それを家内の友人に送って家内に聴かせていた。あるカセットでは、リヒターの『ゴルトベルク変奏曲』を部屋で鳴らしながら自分の話を吹き込んだ。その時、近くに住む従姉から魔法瓶いっぱいに詰め込んでもらった冷蔵庫の氷を1個ずつ頬張りながら暑さを凌いだ。「今ガリガリという音はもらって来た冷蔵庫の氷……」といった言葉を吹き込んだのだが、義妹はその筆者の言葉を聞いて、「かわいそう」と言いながら涙を流したそうだ。給料は安く、しかも斜陽産業であった呉服業界で、筆者が家内と暮らすことは何年先になるかわからなかった。筆者は技術を身につけることに必死で、平日は深夜まで創作に励み、日曜日は必ず岡崎の美術館に行って展覧会を見た。そういう筆者であるので、物作りする人の態度には厳しい。趣味ならまだしも、人から金をもらう行為は、一般人では絶対に真似の出来ない高度な技術が欠かせず、また美意識を常に磨くことを心がけているのでなければ詐欺と思っている。ところが、芸術家を自称する者にはほとんど詐欺スレスレの場合が多く、また不思議とそういう調子者が人気を得る。話を戻して、義妹は前述のエピソードを覚えていないだろう。それにバッハやショパンのバッタもんのクラシックCDを最近何枚か買って来て楽しんでいるようだが、『ゴルトベルク変奏曲』やグールドについての知識はない。家内も似たものだ。筆者は家内を知る以前から現在までせっせと自分の好きな音楽を聴き、本を買い続けていて、たまに筆者が読みたいのに時間がない小説を家内に先に読ませるが、読後に家内が感心すると、筆者はそれで満足して読まない。最近家内は『レ・ミゼラブル』を読みたいと言ったが、探すとそれがなく、代わりに『風とともに去りぬ』を勧めた。
 今日は気になってリヒターの『ゴルトベルク変奏曲』のLPを引っ張り出して聴いた。74年発売のロンドン・レーベルの廉価盤だ。気になる箇所があれこれあったが、専門的になるので書かない。当時筆者は展覧会や本、それにレコード代と、文化的関心への投資は惜しまなかったが、貯金もしっかりとしていた。とはいえ、薄給であるので何かを削る必要があり、衣服は何年も同じものを着ていた。筆者には家内と一緒に暮らし、またやがてフリーランスになった時に必要な仕事場つきの家を買う目的があって、そのとおりに事を運んで来たが、まずは家内と暮らすには住まいが必要だ。家内にはいつか結婚しようと言っていたが、家内は筆者が勝手にひとりで物事を決めていることに変な人と思っていたらしい。ともかく、いろいろあって家内は家族の理解が得られず、家内を家出させることを画策した。もちろん筆者がふたりで生活出来る住まいを確保したからだ。家内が実家を出たのは78年の七夕で、今年で42年経つ。『ゴルトベルク変奏曲』をBGMにしてカセットに吹き込んだのは76,7年と思う。結婚記念日をいつにするか家内と決めていないが、実質的には七夕がそうだ。とはいえ、特に何も祝わない。昨日家内はとても機嫌が悪かったが、食事時に筆者が、家内が家出した七夕であることを言うと、急に笑顔になった。半ば本音が混じるのか、家内は筆者と一緒になったことは大きな間違いであったとたまに言うが、筆者が割合頑健で、泣き言を全く言わずにいつも冗談ばかり言うことに、それなりの幸福感を見出しているようだ。『ゴルトベルク変奏曲』はリヒターやグールド以外に2名のハプシコードのCDを持っていて、それらをここ10日は毎日5,6回聴いている。最初と最後は同じアリアで、その間にその変奏が30曲ある。順に度数が増えるカノンとなっていて、当然かもしれないが、終盤に行くほどに曲は複雑かつ素晴らしい。筆者が最も好きなのは第26変奏で、ほとんどの小節は16分音符ばかりのとても早いメロディと、その間を縫う和音的な、1小節当たり3,4つの音から成る。素早いメロディと朗々と歌うようなメロディの高さが交差する、つまり左手が右手を越える箇所があるが、筆者はいつもその後者のメロディに聞き耳を立て、ハプシコードとピアノの演奏で聴き比べながら、そのメロディを取り出して少しアレンジすれば立派なロックやフォークの曲になることを想像している。論理的構成がとても強固で、太陽系の天体を思わせるが、SF映画やシンセサイザー音楽以上に宇宙的で、七夕頃に聴くのはなかなかよい。雨続きで月が見えないのでなおさらだ。ともかく、筆者なりの強固な論理に支えられた美しい作品を作りたいと思うことしきりだが、42年前も同じことを考えていた。バッタもんと思われたくはないが、こればっかりは……。
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by uuuzen | 2020-07-08 23:59 | ●新・嵐山だより
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