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●この世は、バイバイかも、倍々かも
の小さな白い花がメダカを飼っている発泡スチロールの容器の片隅に咲いた。その水槽は裏庭に置いていて、毎朝雀に古米を与える時にパン屑を少し水面に撒く。その時に花に気づいた。



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水面に咲く小さな白花となれば梅花藻かと思うが、これは清流に咲き、めったに見られない。メダカを飼う際、裏庭向こうの小川で適当に採った藻を水槽に放り込んだ。咲いたのはその藻の花だ。ネットで調べて「カナダモ」という名前がわかった。つまり、梅花藻はさよならバイバイで、珍しくない花だ。この花が咲くのは今年初めてではない。去年は台所に置いている、自治会のFさんからもらったガラスの水槽の中で一花咲いた。日差しの加減か、発泡スチロールでは別の藻も繁茂し、たまにその多さが気になって割り箸で取り除く。トロロコンブのような極細の毛の絡まりが糊状になったもので、捨てるのがもったいない気がして、そばに置いている松の盆栽の土の表面に貼りつける。それはいつの間にか土と一体化し、たぶん松の栄養になっている。これら2個の水槽のメダカは、それぞれ3匹ずつで、冬場の3,4か月は動きが少ないので餌を与えなかった。その間は藻を食べていたのだろう。ガラス水槽では半年ほど前は卵から孵った稚魚が2匹いたのに、1匹が目立って大きくなり、1匹が消え、そして大きかった3匹の1匹も見えない。冬場は毎日確認しなかったので、浮いた死体がわからなかったのだろう。ガラス水槽は不思議なことに水は数か月経っても濁らず、藻だけが大繁殖する。3週間ほど前、密林状の藻の大半を取り除き、小川に返したが、卵が付着していたかもしれない。ガラス水槽のメダカは側面からメダカが鑑賞出来るので、餌を与えた後にしばし観察するが、発泡スチロール水槽は半分は蓋で覆い、また水面からしか観察出来ないので、無関心になる。同じメダカであるのに、姿がよく見える場合は親しみが湧き、そうでない場合は関心も薄い。「去る者は日々に疎し」で、人間にも同じことが言える。とはいえ、裏庭のメダカは去っておらず、筆者が目をかけないだけで、ガラスの水槽を用意してそこに入れ替えてやればいいだけの話だ。さて、発泡スチロールの片隅に花がひとつだけ咲いたのは7日だ。すぐに写真を撮ったが、明後日に花は5つに増えていた。倍々以上だ。この調子で増えると花だらけになるが、もちろん藻は2,3本しか入っておらず、また前述のように水面の半分は覆いをしているし、光がより当たる条件のよい場所となれば、花が咲いているわずかな隅しかない。自然は正直なものだ。条件が整わねば花は咲かない。そう考えると、種々の条件から未婚や子どものない人、あるいはバイバイする夫婦がいたり、倍々で子どもを産んだり、盛んに盛って婚外セックスする人がいたりすることもあたりまえだ。人はみんな世の中の片隅に住んで花を咲かせようとしている。
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by uuuzen | 2020-06-12 23:59 | ●新・嵐山だより
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