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●飛び出しボーヤ、その63
らの気になるもの。そのひとつが路傍の「飛び出しボーヤ」の看板だ。寿命は5年ほどだが、車が衝突して破損することがままあり、半年持たない場合がある。



●飛び出しボーヤ、その63_d0053294_12361823.jpgその後新しく設置されればいいが、筆者の観察によればそうでないことのほうが多い。同じ場所で今度は子どもが事故に巻き込まれるかもしれず、新たに設置すべきだが、縁起が悪いと思われるのかもしれない。路傍で気になるもののひとつに、ガードレール付近の瓶に入れた小さな花束がある。これはそこで人が交通事故で死んだことを意味するが、不思議とその場所に「飛び出しボーヤ」はない。となれば、その看板は設置場所を間違えていることになるが、子どもがよく横断する場所と交通事故に巻き込まれる場所は違うのだろう。後者は本来横断してはならない場所だが、人は横断歩道まで行くのが面倒で、車がやって来る距離を目測して小走りに横断する。そういうことはままあるが、筆者は家内と違って、信号が青であっても赤に変わりそうな場合は次の青を待つ。最近家内は夕暮れの渡月橋近くの車道を、どういうわけか筆者に何も言わずにさっと走って横切り、後方からやって来た車に轢かれそうになった。家内と車はほとんど接触していて、0.1秒遅ければ、そして家内が躓いて転んでいれば轢かれて即死した。筆者はその後に家内を強く叱った。家内は車が速度を落としてくれるものと思い、車はたぶん家内の姿が見えなかったのだろう。家内は数か月に一度は同じようなことをするが、なぜそのように焦るのかが筆者にはわからない。一方、スーパーでたとえば1個100円のブロッコリーを見つけると、筆者は即座に最も大きそうなものを指すが、てっきり家内がそれを籠に入れていると思って筆者は先に進んでいると、家内の姿がない。それでブロッコリーのある場所に戻ると、家内はまだどれにしようかと迷っている。たくさん商品が積まれているほどにそうで、たまに10分ほども迷っている。商品の安さよりもその時間が無駄と筆者は言うのだが、少しでも大きいのがいいと言う。そういう時、筆者は家内が先に認知症になるのではないかと思う。筆者はどれを選ぶかという判断をいつも一瞬で行なうのに対し、優柔不断な家内は自分で決められない。それでいて車道の横断はいつもひやひやする危ないことをするので、認知症になる前に事故死する可能性が大きい。家内は小さな頃に手相占いで、「絶対に交通事故死しない」と言われ、そのことを事あるごとに自慢し、そのいわば慢心から横断歩道のない車道を平気で横切るのだろう。占いのいいところは、たとえば事故死しないと言われると、事故死しないように車の往来には気をつけるという戒めを持つところにあって、家内のように危ない行為を行なうことではないはずだ。家内を占った人は、逆に家内に交通事故死の相を見たのだろう。つまり、いいことを言われても浮かれずに気を引き締めるべきだ。
●飛び出しボーヤ、その63_d0053294_12364455.jpg
 車を運転している人は「飛び出しボーヤ」の看板に気づき、少しは緊張すると思うが、家内のように急に眼前に飛び出して来るお婆さんを見て内心どのように罵っているかと思う。自分が同じ立場であれば、「このクソ婆!」と車の中で怒鳴るはずで、そのような対象になる行為を家内がしていることを筆者は運転手に対して済まなく思う。それで「飛び出し老人」の看板が必要と思うが、人生を60年以上やって来た人が生活態度を改めることは難しい。子どもの頃なら矯正が可能で、そこに「飛び出しボーヤ」の意味もある。子どもが事故死するのはいたたまれないが、老人であれば「はい、ご苦労さんでした」で済む。そう思えば、認知症患者が認知症のためかどうか、車道を横断して車に跳ねられて死ぬことは最も手っ取り早い自殺かもしれず、まさか知らず知らずのうちに家内にその願望が芽生えているのかと思わないでもない。そう言えば、家内は昔の職場の上司の女性の娘さんが、恋人の運転する車の隣りに座っている時、車が衝突事故を起こしてその娘さんがフロントガラスを突き破って50メートル先まで飛ばされて即死した話をたまにする。その時必ず家内は言うことは、上司の家族に保険金と見舞金が合計で1億円以上支払われ、上司の一家がその後豪勢な暮らしが出来るようになったことだ。その上司は娘と折り合いが悪く、娘は親の引き止める声を無視して大金持ちの恋人と出かけてすぐに事故に遭った。親不幸の娘が死んで親や家族に経済的に裕福な環境をもたらした形だ。その事故は車と車が衝突したので、「飛び出しボーヤ」は関係がないが、車に関係する事故は人生の長い旅路の路傍でいつどういう形で飛び出すかわからない。歩行者は無謀な横断をしないように、運転手は速度を守ることと、道路に飛び出す人に気をつけなければならない。さて今春、上桂地域の手作りの「飛び出しボーヤ」は新しいものに置き換えられた。今日の最初の2枚がそうで、5月2日の撮影だ。5,6年ぶりの新調と思うが、以前のタイプと同様、市販品のデザインを模倣したもので、また以前のものよりもかわいらしくて筆者は以前のものより好む。同じタイプをもう2,3見かけているが、まだ撮影していない。今日の2枚にはどちらも黒い帽子にピンクのコートを来た家内が写っている。3枚目は5月21日の撮影で、家内と上桂に買い物に行く途中で撮った。これは10年ほど前からあり、人の形に刳り抜いていないので取り上げる気になれなかった。この付近は割合こうし看板の両側に自由に描いたものがあって、作画を子どもらに任せたのだろう。先の2枚はPTAが作っているもので、その製作が伝統化している。筆者の行動範囲はごく狭く、路傍で見かける「飛び出しボーヤ」は突飛なデザインのものはないが、それはそれで筆者のさほど飛び出たものがない個性を表現もする。
●飛び出しボーヤ、その63_d0053294_12370821.jpg

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by uuuzen | 2020-06-09 23:59 | ●新・嵐山だより(シリーズ編)
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