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●「東海道五十三次」の国際文通週間切手シリーズ完結、その2
の子は蛙、鳶は鷹を生まない。凡人は凡人を自覚してあまり子どもに期待しないことだが、数歳の子どもにいろいろな習い事をさせて才能を伸ばそうとする親は増えているのだろう。



●「東海道五十三次」の国際文通週間切手シリーズ完結、その2_d0053294_01075593.jpg将棋や碁、フィギアスケートなど、10歳ほどの子が優秀な記録を作り、天才ともてはやされる。筆者は塾というものに通ったことがなく、参考書すらほとんど買ったことがない。経済力がなくて幼稚園にも行かせてもらえなかったので、小学校に入る前の学校での学習診断では、ほとんど愚鈍と思われる知識しか検査員の先生に披露出来なかった。思い出せば数歳の頃からいつもひとりで家の中でぼんやりしていて、孤独はあたりまえであった。それがいいのかどうかわからないが、2,3歳の子どもがスマホを操作する様子をその親が嬉しそうな顔で自慢しているのを見ると、子どもを虐待するなと思う。人間を促成栽培していいことばかりと信じている親からは同じような子どもしか育たない。蛙の子は蛙で、たとえば学校の成績がビリから数えたほうが早かった従姉の娘が保険の外交員をしながら子どもに英語塾に通わせている話を聞くと、無駄な努力と思うが、いずれ本当に無駄であったとわかることにおいて無駄ではないので意見はしない。勉強する子どもは親がするなと言ってもする。それは蛙の子は蛙を生むとは限らないことを意味するが、そうであるから馬鹿な親は子どもの教育に大金を投じようとする。ただし、鳶が鷹を生むようなことは万にひとつもなく、ほとんどの場合、子どもを見れば親がわかる。最近筆者はますます母親の風貌に似て来たとよく言われる。男子は母親に似ると言われるからそれはあたりまえなのだろう。筆者の顔は当然ながら父親にもそっくりで、双方のいいところも悪いところも受け継いでいる。悪いところは自覚しているつもりで、これまでその性質が露わになることを自制して来ているが、時折子どもの頃にしばしば感じたある種の衝動にかられそうになる。そんな時は自分の内面をじっと覗く。それはごく小さな一点でありながら、とても大きな広がりを持っているように思え、自分の性質が形成されるうえで生じた一種の瑕疵だ。そこまで客観視出来ているので問題はなさそうだが、理性が常に内面の暴走を押しとどめられるとは限らない。それはさておき、ごく小さな面積の切手が多大な情報源であることを10歳頃に感じ取った筆者は、切手の小窓を通してデザインを学んだ。ほとんど無自覚であっただけに決定的で、現在の筆者の美意識に大いに影響を及ぼしているが、母が父にしばしば送っていた手紙に貼られた8円のカモシカや10円の法隆寺壁画の観音像を図案とする通常切手が出発点になっている。筆者が小学校の低学年で早くもインクとペンを手にしていたことも母の影響だが、母はそのことを考えたこともないはずだ。蛙の子は蛙ではあるが、わざわざ教えなくても親の行動は子どもに影響を与える。
●「東海道五十三次」の国際文通週間切手シリーズ完結、その2_d0053294_01082827.jpg 切手によって興味を持ったことに印刷がある。今はあまり発売されないが、60年代までは凹版による単色のものが目立った。グラビアと違ってインクが盛り上がっていて、触るとざらつき感がある。なぜ種々の印刷技術があるのか。それはそれぞれに個性があるからで、凹版はパソコンのインクジェットでは再現出来ない。微視的なそういう差は問題ないと考える人には芸術は不要だ。寿司職人になるのに長年の経験は不要で、3か月あれば充分と、ネットで盛んに意見を発する有名人がいるが、彼が芸術の話をしているのを見たことがない。これは昔書いたが、筆者が所有するシュマイサーの銅版画をある子どもに見せた時、カラーコピーすれば本物と同じで、高い金を出して買う必要がないと言った。その時筆者は版画の表面に見えるインクのわずかな盛り上がりについて語ったが、彼はその味わいを理解しなかった。その後彼は医者になったが、芸術のわからない医者はいる。芸術が心を豊かにすることを知らず、ごくごくわずかな線の歪みにこだわる画家や書家がいることに想像が及ばない。縦横2センチ程度の面積の切手の図案を描く人、それを版に起こす凹版の職人、多くの人の技術によって切手が生まれる。お札も同じだ。だが切手はネット時代になって需要が激減し、お札もいずれは消えるだろう。手仕事をただ面倒なことと捉える人が社会を支配して行くと、いずれ脳の退化がきわまる。すでにその兆しはある。手と脳は直結している。脳を鍛えるには手指を巧みに動かし続けることだ。広重の「東海道五十三次」は手仕事の極致で、それが現代では写真製版によって極小サイズで印刷出来るようになったが、そこにも別の手仕事が存在している。そういうことを切手が教えてくれたが、効率の悪い手仕事はかろうじて芸術の世界だけに残るだろう。それは、芸術は効率ではないからで、若者が言うコスパの考えに馴染まない。それで銅版画は写真を撮ってパソコンで印刷すれば同じものが出来ると考えるが、元となる銅版画は手で作らねばならない。あるいはそれも不要と考えるのだろう。そして論文もネットで見つけた文章をつぎはぎしてもよいという感覚が幅を利かせて行き、その本人の顔も無個性で、彼がいつ死んでも誰も何とも思わない。個性が歓迎されるのは、それが流行して金儲けになる間だけであって、それ以外はあっては邪魔なものだ。学校では個性を育まれるようだが、一方で型に嵌めることが目的で、学校に馴染まない子どもがたくさん出て来るのは当然とも思える。だが、無軌道を自由と吐き違え、威勢は人一倍であるのに創造性の片鱗もない子どもがいて、彼らの中からは、コスパがよく、要領のよい生き方をして有名になる者が出て来る。その生き方が創造であると彼は言うだろうが、要は金儲けの才能があるだけのことで、地道に作品を作る芸術家を嘲笑するだろう。
●「東海道五十三次」の国際文通週間切手シリーズ完結、その2_d0053294_01091433.jpg 切手によって培った感性と言えばおおげさかもしれないが、切手に印刷される額面の数字にも筆者はとても敏感になり、10代半ばで写植のコンテストに数百枚の文字を指定用紙に黒インクで手描きして応募したことがある。文字の意匠も絵画も同時に筆者の関心事となり、一方で文章を書くことが好きであったが、それから半世紀、自分が変わっていないことを思う。針の孔のような小さな箇所を通して将来が決まって行く。またそういうことは幼少時に必要で、心が飢えている必要がある。今月上旬、母の一時帰宅で母の家に行き、いつものように筆者は本を読んでいた。妹の小学4年生の孫娘がやって来て筆者の本に関心を持って言った。「わたしが大人になって読むからそれまで置いててな。」筆者はその言葉を覚えているが、彼女はすぐに忘れたであろう。今後本好きになるかどうかは両親を見ればいいが、ふたりとも本は読まない。かと言って娘が読書好きにならないとは限らないが、蛙の子は蛙で、また彼女はあまりにも種々の習い事をして、筆者とは全く正反対の子ども時代を送っている。未知の事柄に飢え、そして働くようになって給料のかなりの部分を本代や知識欲を満たすことに使うというのでない限り、だいたいは凡人になる。さて、筆者は国際文通週間の切手を貼って外国に手紙を出したことがない。40歳頃に数年間、ドイツ人と文通したが、その頃でも国際文通週間の切手は使わなかった。毎年発売されるその切手で同週間の間、どれほどの手紙が日本から外国に出され、その江戸時代の日本の景色を描いた絵から日本に興味を持つ外国人の子どもがどれほどいるだろうか。今は切手に頼らずともスマホで「東海道五十三次」の画像は見られるが、切手は原画に別の追加デザインがなされていて、そのわずかな差を子どもは敏感に悟る。そういう繊細な子から独自の美意識を育む者が育つだろう。誰でも美しいものは好きだが、美しいと思うものはまちまちで、異なる美意識を持つ者同士は馬が合わない場合がある。世代の差によって美意識を育んだ対象が異なるだろうが、一方に古典があって、お互いそれをある程度踏まえていると話は通じる。ところが、その古典の範囲は広くて深く、最前線の表現を目指しながら、古典を吸収し続けることはそう簡単なことではない。国際文通週間切手は、日本美術の古典的名作をわずかながらでも紹介し続けているが、画集が豊富な時代で切手によって名画を知る子どもはほとんどいないだろう。また、たとえば「五十三次」の「日本橋」が、宝永堂版の二種のうち、人物が少ない図であることに気づくと、ほかの宿場町も調べてみる気になると思うが、切手をルーペで凝視するほうが実物を手にする現実感があると諭しても、スマホのほうが早いと言うだろう。ところで、北斎の「富嶽三十六景」シリーズはわずかしか採用されておらず、第2次の発売が始まらないものか。
by uuuzen | 2019-12-28 23:59 | ●新・嵐山だより
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