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●更地とまっさらな明日
棋とチェスの最大の違いは、前者では相手の駒を自分のものとして使えることだ。チェスでは双方の駒の色が違う。相手の駒を自分のものとして使えることは、現実に当てはめれば敵が味方に寝返るか、死者が蘇ることと言える。



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その前者は現実的だが、後者はそうではない。またチェスでは勝負が進むにつれて駒が減って行くので、きわめて現実的なゲームだ。駒の向きを変えるだけで敵が味方になる将棋は何となくいかにも日本的で、昨日まで右翼であった人が左翼に変化することを思い起こさせる。思想的に節操がなく、いい加減ということだ。人の思いなどどうにでも変わるというのは真面目な人からすれば侮辱に思えるが、実際は誰でも一夜にして思いが変化することを生涯に何度かは経験する。富士正晴の本に、大学生の頃の富士ら若者に対して師匠の詩人の竹内勝太郎が言った、「女性に幻想を抱いてはいけない」というような表現があった。20歳そこそこでは女性を穢れのない存在と思いがちだが、実際はそうではないと戒めたのだ。富士は竹内を奈良にいた志賀直哉から紹介してもらったのだが、芸妓を娶っていた。芸妓は男を相手にするのが仕事であるから、竹内は妻から女性の男性観を聞き、また女性の本質を理解していたのだろう。ともかく、竹内は若い学生に、男よりも女のほうがはるかに現実的、打算的で、そのことを心のどこかで覚えておかねば、女性との交際でひどい目に遭うと忠告したかったのだ。女性が男性よりも打算的になるのは、筆者は生物としては当然と思っている。そこで口説き文句で女をその気にさせるのが男の能力だ。これは嘘をつくというのではない。若者はほとんどが前途未定で、将来を夢想している。その実現していない夢は交際する女性にとっては不安材料だが、結婚すれば男が頑張ってくれるだろうという賭けを常にしている。その際、信じるのはおおむね相手の言葉しかない。ただし、五感を働かせて男の口のうまさを吟味する必要があるのに、早々に肉体関係を結ぶとたいてい目が曇り、一方の男は結婚の意欲がひとまず滞るだろう。もっとも、男女とも若い頃は結婚など意識せず、好きと言ってくれる相手とは何人でも関係を結ぶことは普通にあるが、数年ごとに相手を変えながら一生新鮮な思いで生きて行くのはやはり非現実的で、どこかで手を打たねばならないと思っているだろう。決心して、あるいは結婚して数年も経たない間に思いが冷めればやり直せばよい。後悔すれば負けと思う強い意志があれば、新たな人物といくらでも出会えるものだ。将棋のように勝ち取った駒は自分のものとして使えると思えばよく、年月が経つにつれて運は枯渇して行くのではなく、経験の豊富さが魅力になる。またそう考える自己暗示が必要だ。それは男の場合は口のうまさと関係するが、口先だけかどうかを知るには五感を使えないSNSでは全く無理だ。
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 長年あった建物が更地になることはよくある。街には常に更地があり、建築中の家がある。先月6日の夕暮れに梅津のムーギョのあった更地の写真を撮りながら、ブログに投稿する機会を失った。またほとんど夜で、更地の広さがわからない。気になりながら今月1日にトモイチに家内と買い物に行くついでにその更地の写真を撮ろうとしたが、ほとんど1か月経ったこともあり、「千代の古道」に面した側には塀が出来て、向こうが見えない。それでその道から北に少し入って、全体を見渡せる場所まで移動した。最初と2枚目の写真は横につながり、3枚目は少し場所を変えて全体を収めた。ムーギョ以外にかつて市場があった場所も更地になったが、この状態はたぶん100年ぶりかもっと久しぶりだろう。この更地を囲む住宅の住民はそのように思って珍しい眺めを味わっているだろうが、すぐに次の施設の建設が始まるから、この広々とした眺めは記録しておく価値がある。もっとも、グーグルのストリート・ヴューでもっとわかりやすく記録されるが、それはそれだ。このムーギョのあった場所は筆者が京都に出て来た当時から馴染みで、家内もムーギョになる以前のスーパーで一時期働いたことがある。筆者の京都時代の出発点になった場所と言ってよい。そんな長年の馴染みの建物が消えてさびしいかと言えば、そう思えばそうだが、新しい建物が楽しみとも言える。実際、新しい建物が出来るとすぐにあたりまえの眺めになって、以前の様子を思い出さなくなる。人間はそのようにつごうよく出来ている。去った人をくよくよ懐かしがらず、これから出会える人を待てばよい。そう思っていれば必ず新しい、よき出会いがある。そう考えることはドライで冷たいかと言えば、うじうじするのは抹茶だけで充分で、またその抹茶もごくたまに飲むから感動が大きい。つまり、過去はたまに思い出せばよい。筆者はここ1週間ほど、ある女性の話をほとんど毎日家内にしている。家内も知る女性だ。このようなことは家内と暮らして以来おそらく初めてのことだ。1日に数回彼女の名前を口にすることがあるほどで、家内は呆れ返り、「好きなの?」と率直に訊く。すかさず正直に「うん!」と答えると、家内はほんの少しは嫉妬の表情を浮かべるが、それでも気になることはどうしようもなく、他者に好意を抱くことはどのような場合であってもいいことだ。それに筆者がより朗らかで元気になっていることを家内は口に出して喜ぶから、いいことづくめではないか。相手の女性はおそらく、いや確実に筆者のことを男と思っていないが、そのことはどうでもよい。筆者の更地の心に出現したこの斬新で恰好いい建物にたとえられる彼女にも脆い箇所があるだろう。そのことを想像すると悲しくなるが、そうであるからこそ彼女の明るい明日に向かって将棋の「歩兵」の駒程度の支えになりたいと思っている。もちろん求められれば。
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by uuuzen | 2019-11-25 23:59 | ●新・嵐山だより
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