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●西国街道、その8
興酒でもウォッカでも、酒なら何でも飲む筆者だが、家内の姉はビール専門であった。酒好きで肝臓を悪くしたのか、元から肝臓がよくない血筋なのか、70で死んでしまった。



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肝臓がよくないのは筆者の家内もだが、家内は酒は一滴も飲まないでまだ悪化の速度は緩やかであろう。だが、母親は肝臓を悪くして70代半ばで亡くなっているので、そのことを思い出すと心配だ。そう言う筆者は、父が今の筆者の年齢で死んだので、もうそんな年齢になっているかと人生の早さを思う。それはさておき、最近家内は死んだ姉や両親が夢によく出て来て気味悪がっている。筆者が家内の姉の墓参りをしようと、あまりに珍しいことを先月のお彼岸前に何度か言ったことがその理由のひとつと思う。結局墓参りの機会がなく、気になりながら、先月末日にようやく腰を上げて出かけた。1か月以上も経ってしまったが、決めたことを実行しないよりかはうんとましだ。それに出かけた当日はとても天気がよく、文字どおりの遠足になった。墓参りはついでに行くものではないと言われるが、筆者はだいたい何事もついでで、いくつかの用事を作る。義姉の墓参りが最大の目的かと言えば、西国街道を歩くことがそうであったかもしれない。あるいは西国街道歩きはついでで、墓参りが主な目的であったかもしれないが、西国街道沿いに墓があって、ちょうどつごうがよかったのだ。ところで、大雨であった8月28日は長岡京市にライヴを見に行くついでに、阪急大山崎駅からそのライヴハウスまで歩いた。その日、大山崎山荘美術館で展覧会を見た後、大山崎駅から西国街道の南にまず歩き、神社をふたつ見てから北に戻ったが、神社を撮影した写真はメディアの故障から消えてしまった。それで改めてそれらの神社の写真を撮り、その足で今度は反対方向の高槻市まで歩く予定を立てた。その途中、西国街道からほんの少し山手に義姉の墓がある。その墓の前から見下ろすと、阪急電車が遠くに見えるが、それは電車の中からその墓が見えることでもあって、家内も筆者もたまには車窓からその墓のことを思い出す。墓に参って死者が喜ぶとは筆者は信じないが、それでも死者の恩を思い出して感謝の念を抱くのはやはり大事なことと思っている。ある死者の生前のすべての行為が誉められたものではなく、またたとえば筆者との間に気まずくなった時期があったにせよ、そういうことは思い出さないようにしたほうがよい。また筆者はそういうことが出来るようになって来た。そして、そのことから今度は生きている人との間で気まずいことがあっても、あまり気にしないことも出来るようになった。嫌な気分でいることは損であるし、気にしないことはある意味では存在を無視していることで、嫌いという感情よりも冷たい。それはともかく、義姉にはとても世話になった。それらのことを思い起こすと、墓の近くを歩くからには墓参りくらいはと思う。
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 家内にそのことを言うと、乗り気ではなかった。大山崎から西国街道を歩いて行くからだが、文句を言いながらも筆者と出かけることをとても喜ぶ。ふたりで歩くことは人生の象徴と言ってよく、時間をかけてたどり着く感慨は、車で出かけることでは得られない。さて、西国街道になぜこだわる理由は、この半ばシリーズと化している最初の回に書いたが、家内の兄が娘と一緒に高槻市内から嵐山まで自転車で二度往復したことがあるとかつて聞いたからだ。筆者はとてもそんな体力はない。それで、少しずつ分けて西国街道を京都から高槻までは歩こうと決めた。先月末日は3時間弱要して大山崎駅から高槻市内の阪急百貨店まで歩いたので、もう目的は達したが、実際は京都市内と向日市内で歩いていない区間はある。また、家内の兄が自転車で走ったのは171号線や新西国街道の府道が中心だが、それらの道は車が多く、散歩に適さない。筆者は江戸時代の情緒を楽しみたいので、旧西国街道にこだわる。間違いやすい別れ道が1か所あって、それだけをしっかり記憶したが、その場所に着いた時、迷わずに済んだ。また西国街道をひたすら歩くだけでは面白くないので、神社に立ち寄り、スーパーがあれば必ず入る。そのため、全く退屈せずにいい遠足が出来た。訪れた神社の紹介とともに撮った写真を順に使いながら5,6回に分けて投稿するのがいいが、「神社の造形」のカテゴリーについては投稿ネタが大量にたまっている。それで神社ネタは後回しにし、先に街道そのものを歩いたことについて投稿する。今日は大山崎駅から水無瀬神宮を訪れるまでの間に撮った3枚の写真を載せるが、最初と2枚目の逆光具合はその日の3時間弱の散歩の様子をよく示している。午後に西南ないし西へ向かって歩き続けたので、特に高槻の中心部に近づくにつれて猛烈な光によってサングラスをかけていてもあまりの眩しさに顔をしかめ続けた。家内はサングラスがなく、帽子はひさしが短いので、前を行く筆者の姿がまともに見えなかったらしい。真夏であればとても歩けない。大山崎から水無瀬までは近く、1キロほどだ。今日の最初の写真はサントリーの工場敷地に入るJRの踏切を過ぎて100メートルほど西で、さらにそこから100メートルほど行くとスーパーがあって、そこで少し買い物をした。初めて訪れるスーパーは面白いもので、家内は大いに喜ぶ。2枚目は柳谷島本線と西国街道の交差点で、水無瀬川からは100メートルほど手前だ。右手つまり北に若山神社があるとの看板が建つが、かなり遠いようなので、立ち寄らなかった。3枚目の写真は水無瀬川を越えて100メートルほどで、樹齢300年ほどはあるように見える木が遠目にも目立つ。神社があるかと思ったがただの空き地だ。京都市内であれば邪魔とばかりにとっくの昔に切り倒され、車が1台でも多く停められるように駐車場にされている。
●西国街道、その8_d0053294_01493868.jpg

by uuuzen | 2019-11-08 23:59 | ●新・嵐山だより
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