橋を越えなければスーパーに行けないと思っていると、上桂方面はそうではない。ただし、梅津や嵯峨よりも遠い。自転車ならさほどでもないが、歩けば買い物の時間を含めると往復2時間はかかる。

自転車は3台あるが、2台が乗っている間にタイヤからチューブがはみ出て動けなくなる。その原因がわからず、最近は乗っていないが、暑さがましになって来たので運動のためを思って歩く。ただし、家内とふたりでも各自が両手に重い買い物袋となって、帰り道は長く感じる。距離が長いと行くのが億劫だが、それよりも道のりの環境が気になる。梅津のスーパーは四条通り沿いに2軒あって、その大通り沿いの歩道を歩くのが最近は好まない。工場地帯でもあって空気が悪いからだ。それは家内の肺にはこたえる。それで最近はもっぱら嵯峨に行くが、細い道に車が頻繁に通り、それがストレスになっている。つまり、梅津も嵯峨も同じようなものなのだが、梅津でいいのは薔薇の花が咲く喫茶店があることと、そのすぐ近くの松尾橋バス停には歩道際に春になれば白いスミレが咲くことだ。もちろん咲かない季節のほうが圧倒的に長いが、それでも筆者はいつも地面を見て雑草の多さを確認し、それがあまりに繁茂すると、しゃがみ込んで引き抜く。それがどの程度効果的かはわからないが、毎年白スミレはたくさん咲く。その様子がとても健気で、その開花を確認することは筆者の例年の大きな楽しみになっている。その白スミレは完全な野生で、種子を得て鉢で育てることは出来ないだろう。実際そのような商品を見たことがない。この人の手に負えない野生性が実に魅力的で、人間にたとえればどういう存在かと思う。女性なら過酷な環境をものともせずに慎ましく生きる田舎育ちといったところだが、そういう女性はもう日本では想像することが不可能だ。そう思うのでなおさら筆者はその白スミレが愛おしいが、男なら白薔薇だ。それで裏庭でVIRGOの品種を鉢植えで育てている。最近そこに栄養剤の入ったアンプルを1本差し込んだ。それが効いたのか、枝がするすると伸びてその先に蕾がついて今月15日に開花した。
4か月ぶりのことで今日はその写真を載せるが、その花ひとつのみでもう花を咲かせそうな枝はない。土にもっと養分を与えるとどんどん成長するだろうが、野生同然の状態にしておきたい。それに大きく成長してもそれを許容する場所が裏庭にはない。また近所やスーパーへの途上にさまざまな色の堂々たる薔薇がたくさんあって、鑑賞は充分それで満足している。わが家のVIRGOは筆者と家内だけが楽しむもので、暮らしぶりに応じて花は小さく、咲く数も少なく、あまりにも慎ましい。日光があまり当たらないせいもあるが、その点も筆者とそっくりだ。今後も咲いた花はすべて写真に撮って「健気に咲き続ける白薔薇VIRGO」と題し、健気に投稿し続けるつもりでいる。