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●『ZAPPA IN NEW YORK 40TH ANNIVERSARY DELUXE EDITION』その1
は菌類で、茸も菌も植物を意味する草がんむりがつく漢字だが、植物でも動物でもないとされる。分類が不可能と言ってよい曲を含むザッパの音楽はどこかキノコ的だが、マッシュルーム・カットのビートルズとは違うザッパのもじゃもじゃ頭にはどういう茸の名前が似合うだろう。



●『ZAPPA IN NEW YORK 40TH ANNIVERSARY DELUXE EDITION』その1_d0053294_23283464.jpg
雑草はあっても雑茸は聞かず、また雑茸は雑菌を連想させ、筆者は次にオシップ・ザッキンの彫刻を思い浮かべるが、ザッキンの彫刻はザッパらしいとは言えない。それはさておき、40年放置すれば、風通しの悪さからたいていは黴という菌類が生えるが、ザッパが収蔵庫に保管していた録音テープはすべてデジタル保存が完了し、ゲイルが生きていた時代とは違って続々と豪華なCDセットが発売されるようになり、ザッパ・ファンにとっては相変わらず新譜が待ち遠しい日々が続いている。昨日書いたように、ザッパの代表作はファンによって考えが違うが、今日から数回に分けて書く『ザッパ・イン・ニューヨーク』の豪華盤は、オリジナル発売の2枚組LPを十全に補完する内容で、ザッパが最も輝かしかった時代を伝える。これは2枚組のLP『ザッパ・イン・ニューヨーク』が最高傑作という意味ではなく、76年12月がそうだと言いたいのだが、その理由を今日から少しずつ書いて行く。また、2枚組LPはワーナーの検閲によってテリー・ボジオが歌う大曲「パンキーズ・ウィップス」が削られ、やや迫力が欠ける内容として世に出たが、ザッパはその無念さを払拭する意味もあって、CD化に際して、改変した同曲以外に「アイム・ザ・スライム」と「パウンド・フォー・ブラウン」、そして「拷問は止まず」の3曲を追加した。つまり、2枚組LPそのままのCD化はこれまでない状態であったのが、今回の5枚組のディスク1はその2枚組LPのCD化に当てられた。そして、ややこしいことに、ザッパが編集した2枚組CDに収録された上記4曲は同じ形で今回の発売にも収められたかと言えばそうではない。これはザッパが同じ曲でもいくつかのヴァージョンを作ったからで、それらの全貌はジョー・トラヴァースやアーメットにしかわからず、今回も76年12月のニューヨークでの演奏がすべて網羅されたのではない。これを「小出し」商法と言えばそういう面もあろうが、重複するほとんど同じ演奏を収録していたずらにCD枚数を増やし、商品価格を上げることは考えもので、CD5枚という量は妥当であろう。それはともかく、2月かかりにアマゾンに注文した本作は今月かかりになって入荷不能のメールが届き、筆者はすぐにアメリカのアマゾンで商品を見つけて注文したが、予想より早く12日間要して今日届いた。送料込みの80ドルで、日本のアマゾンの予約価格より安い。ただし、運送用段ボール箱はアマゾン・プライムのガムテープで封印され、自動的にアマゾン・プライムの会員になっているかもしれないことが心配だ。
●『ZAPPA IN NEW YORK 40TH ANNIVERSARY DELUXE EDITION』その1_d0053294_23285172.jpg 本作の題名は当初『LIVE IN NEW YORK』とされたが、その表示は商品にはない。オリジナル・アルバムのようにオーヴァーダビングを施さないので『LIVE IN……』の題名はふさわしいと思うが、「ZAPPA」が入るほうがわかりやすい。また、本作はマンホールの蓋を模した缶入りで、これは収納に困るとの意見がある。それを言えば『HALLOWEEN 77』の仮面つきボックス・セットや来月発売予定の『HALLOWEEN 73』もそうで、これはザッパに限らず、6,70年代のビッグ・ネームによく見られることで、従来のCDサイズに収まらないようになって来ている。金のある高齢かつ往年のファン向けの商品で、またザッパが生前に発売したアルバムを全部所有する人が買うものだ。マンホールの缶を模した理由はわからないが、それを収める外箱は、灰色でタイヤ痕が印刷される凝り具合で、ニューヨークの街を車でホテルから演奏会場へと移動したザッパを想起させる。筆者はこの円形の缶を最初にネットで見た時、ジョニ・ミッチェルがかつて布製の同じ円形の容器にCDを1枚収めて『BOTH SIDES NOW』発売したことを思い出した。それを今取り出すと、1999年2月の商品であることを知り、もう20年が経ったことが信じられない。編集物を除けば2007年の『シャイン』が最新作で、その後ジョニは病に倒れて入院中で、もう新作は作れないだろう。それはともかく、『BOTH SIDES NOW』はザッパの曲「OUTSIDE NOW」の題名にヒントを与えたかもしれず、ザッパは6,70年代はそれなりにジョニの作品に注目していたのではないだろうか。それで本作の円形缶もジョニの円形箱の模倣だと言いたいのではないが、新しいアイデアと思えるものは必ず先駆がある。因みにジョニのその円形箱と本作の円形缶の大きさは直径がぴたり同じで、また価格もほぼ同じだが、それを思えばジョニの同作はCD1枚の商品であるのにかなり高価であった。それにCDがトレイの爪から外れやすく、買った時からCDは傷だらけであった。この円形箱は帽子の箱を模したものだろうが、帽子を収めるにしては小さ過ぎ、またCD棚に収まらないので置き場所に困る。そのためかどうか中古では半額で手に入り、そのうち本作もそうなるだろう。ところで、昨日まで感想を書いた『オーケストラル・フェイヴァリッツ』の40周年記念盤は、ザッパ髭の吹き出し内部に「113」のカタログ番号が振られ、本作は「112」となっている。この番号は100を超えてからは半ば出鱈目になり、ザッパ・ファンでもほとんどどうでもいいものと思うようになっているが、そこには年2回の「レコード・ストアの日」に発売されるアナログ盤の扱いが多少絡み、近年のザッパの新譜はややこしくなっている。
●『ZAPPA IN NEW YORK 40TH ANNIVERSARY DELUXE EDITION』その1_d0053294_23295447.jpg さて、5枚のCDをまだ全部聴いておらず、ブックレットの文章もほとんど読んでいないので、本作の感想が何回に分けて投稿出来るか予想がつかないが、先ほど載せるべき写真を全部加工した。その全部を使うとなれば「その6」までは続ける必要があるが、そこまで書く内容があるかどうかは心もとない。それはともかく、円形缶を開けるとその中央にCDやそれと同じ大きさのブックレットが収まる窪みがあるが、ブックレットの縦寸法と同じ複製のチケットが1枚挟まれている。これは裏面を見れば文字が読めないほど細かいので、実物より縮小しているのではないか。原寸で複製すれば缶中央の四角い窪みに収めるにはふたつに折る必要がある。それは忍びないのでブックレットの縦と同じ寸法にし、ブックレットの栞に使えるようにしたと想像する。実際この複製チケットはそのように使うのに便利で、またそのようにすれば失うことがない。このチケットは本作が収録されたニューヨークのパラディアムでのもので、ザッパは1976年12月26から29日までの4日間演奏した。その間に37歳を迎えたが、現在の音楽家で37歳にして本作と同程度の仕事が出来る才能は日本ではいないだろう。当時筆者は25歳で、また2枚組LPが発売されたのはその2年後のことであったが、20代から見る30代はえらく大人に見えたのに、60代から見る30代は自分の子ども世代で、その若さが眩しい。そう思いながら本作を手に取ると、この40年を「光陰矢のごとし」とつくづく感じつつ、一方で作家は頑張りが効く若い間に大いに創造に勤しむべきと若者に伝えたい気持ちになる。その意味で本作はザッパを知らない音楽ファンにぜひとも聴いてほしいが、昔から筆者が思っているのは、作家は自分に必要なものは誰に教えられるまでもなく、自ら見出して行くことだ。またそうでなければ本当に糧とはなりにくい。少年のザッパがヴァレーズのLPを買ったのは、レコード店でそのジャケットを見、またそれを聴かせてもらったことによる。その自力で発見したという思いは自分の眼力や才能を信じるという自己信頼につながる。話を複製チケットに戻すと、これは12月27日のもので、座席は107、列はE、セクションは中央で、価格は8.5ドルとなっている。今では信じられない安さで、こういう価格を基準にミュージシャンたちがしのぎを削っていたが、このクリスマス時期の4日に及ぶコンサートはザッパを含んで12名による演奏で、その豪華な音からもザッパの代表的コンサートとしてよいが、大きな会場を満席にしなければギャラの支払いに困ったはずで、それだけになおザッパは真剣であったに違いない。そしてその賭けに見事に勝利はしたが、ワーナー・ブラザーズとの関係がおかしくなり、『ザッパ・イン・ニューヨーク』の発売は演奏から13か月後になり、しかも曲が削られた。
●『ZAPPA IN NEW YORK 40TH ANNIVERSARY DELUXE EDITION』その1_d0053294_23302215.jpg

by uuuzen | 2019-09-18 23:30 | ●ザッパ新譜紹介など
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