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●『ORCHESTRAL FAVORITES 40TH ANNIVERSARY』その3
理されたものが正式に発売されたアルバムとしか思えないのが、たとえば日本に住む筆者のようなザッパ・ファンで、新作アルバムこそが心待ちにするザッパによる新たな料理であった。



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だがザッパは頻繁にコンサートを開き、それを見ることが困難ではなかった欧米のファンにとってはアルバムとは別の生々しい料理を楽しむことが出来たし、またザッパはコンサートとレコードは違うものと考えていた。そしてどちらも料理ではあるが、コンサートはアルバムという料理の素材と考えた。となると、アルバムはコンサートよりも複雑な味がすることとなるが、実際そのとおりだ。ザッパのアルバムはあまりにも凝った料理で、素材がどのように調理されているかわからない場合が多い。それが顕著なのは『オーケストラル・フェイヴァリッツ』、『スタジオ・タン』そして『スリープ・ダート』と言ってよいが、これら3作に『ザッパ・イン・ニューヨーク』を加えてさらに料理した『レザー』を加えてもよい。これらのアルバムには純然たる管弦楽曲とは別に、部分的に管弦楽による演奏が含まれている曲がある。その箇所がどこでどのようにして収録されたかはアルバムにクレジットされておらず、またコンサートの演奏を使ったのか、スタジオで演奏者を集めて録音したのかも不明だが、それらがわかったところで、当時の演奏者たちは自分が演奏したとはにわかにはわからないだろう。それはザッパが音をさまざまに加工しているからで、料理で言えば、野菜や肉は良質のものを求めるが、その個々の本来の味を際立たせるより、ひとつの個性的な料理としての味を求める態度だ。それはともかく、本作は『オーケストラル・フェイヴァリッツ』や『スタジオ・タン』の管弦楽部分の生の素材を明らかにしてくれると同時に、管弦楽団にエレクトリック性つまりロックを持ち込むという、いわばデビュー・アルバム当時からの試みが踏襲されていることが興味深い。『200モーテルズ』で大規模に試みられた管弦楽団とロック・バンドの共演だが、本作ではその後の作品を元に同じことをしている。その代表はディスク2の最後の曲「ロロ」だ。ここではズビン・メータ/ロス・フィルとマザーズの共演で演奏された「パウンド・フォー・ブラウン」にあったのと同じ響きがある。簡単に言えば融合ではなく「つぎはぎ」で、楽譜に忠実な演奏と即興演奏の同居だ。「ロロ」は最初の1分少々は管弦楽団による演奏で、その後突如マザーズと言っていいロック演奏が3分ほど続き、その最後に近い箇所でわずかに管弦楽団が伴奏を始め、やがてまた楽譜に忠実な管弦楽の演奏となる。中間部のロックはザッパのファズの音色のギターを中心に、テリー・ボジオのドラムス、デイヴ・パーラートのエレキ・ベース、それにイアン・アンダーウッドのキーボードによる。
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 この4人のザッパを除く3人は、37人の楽団のうちでは気心の知れたメンバーで、今日の写真で黄色の矢印で示すように、ステージではザッパが最後尾中央に陣取り、その左右に3人が座った。大きなパラソルの下の囲いの中にテリーが、またその向かって右隣りにデイヴの姿がわずかに見える。イアンは71年頃の演奏でもあまり目立たず、ザッパがテリーや一時的な在籍であったデイヴに代わってパトリック・オハーンを重視するようになる75,6年はさらにその感が強くなるが、本作でイアンがいるのは73、4年を引きずっている感があり、またそのことは本作のレパートリーにも表われている。ディスク2の最初「ボーガス・ポンプ」は本作ではディスク3の「グレガリー・ぺカリーの冒険」と並んで10数分の大作だが、前者は「見せかけの壮麗さ」という意味の題名で、これはハリウッド映画の張りぼてのセットを思えばよく、またその様子をザッパは映画『200モーテルズ』で存分に駆使して見せたが、自身の管弦楽曲も「見せかけの壮麗」にしかなりようがないという諧謔の思いを込めているだろう。もっとも、それは古典音楽の教養に関してはヨーロッパにはるかに遅れを取っているアメリカでは仕方のないところで、「見せかけの壮麗」をそのまま音楽で表現するところに、「真実味」がこもるとは思っていたであろう。その真実味とはアメリカならではのもので、またショーと大きく関係するものだ。ともかく、『200モーテルズ』では映画やアルバムの中でばらばらに使われた管弦楽曲をひとつの組曲としたものが「ボーガス・ポンプ」で、これは「200モーテルズ組曲」と題してよい過去の引きずり及び清算を意味する曲であり、最初に演奏されたのはザッパの概念継続の精神からは妥当だ。またそのことは「グレガリー」が新曲で、しかも同曲が『スタジオ・タン』では装いを大いに変えて発表されることにも言える。そして本作で書き下ろしされた管弦楽団用の新曲は「ボーガス・ポンプ」と「グレガリー」を除けば「ペドロの持参金」と「芸術の海軍飛行?」で、「グレガリー」以外の3曲がアルバム『オーケストラル・フェイヴァリッツ』に収録されたのは、ザッパにとって本作のコンサートを開いた意味がある、つまり元を取った気がしていたであろう。それに「芸術の海軍飛行?」は本作のコンサートから5か月後の日本公演の冒頭で使われ、2分ほどの短い曲ながら、ザッパのお気に入りであったと言ってよい。また『200モーテルズ』に使用されながら、「200モーテルズ組曲」すなわち「ボーガス・ポンプ」に使われず、本作では独立した曲となった「ストリクトリー・ジェンティール」は、ザッパにとって「見せかけの壮麗」ではなく、その曲の歌詞も相まってザッパの優しい本心を表わすものであったと言ってよく、本作の後もしばしばコンサート最後の料理として演奏される。
●『ORCHESTRAL FAVORITES 40TH ANNIVERSARY』その3_d0053294_00134154.jpg

by uuuzen | 2019-09-16 23:59 | ●ザッパ新譜紹介など
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