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●『ORCHESTRAL FAVORITES 40TH ANNIVERSARY』その1
造原価のうちCDのプレス代が占める割合がどれほどなのかは知らないが、CD4枚組の『HALLOWEEN 73』が1万円ほどとなると、3枚組の『ORCHESTRAL FAVORITES』が2600円ほどというのはかなり安い。



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これは前者がザッパの仮面つきの大型ボックス入りでしかも人気のある時期の演奏、後者は題名が示すようにザッパのCDでも渋い部類のオーケストラものなので、安くしないことには売れ行きが悪いと考えたからであろう。ファンとすれば豪華なパッケージはどうでもいい気がするが、それも含めていろいろな変化球としての新譜が届くのは楽しいので、『HALLOWEEN73』が1万円でも仕方ないと筆者は思っていて、アマゾンで予約が始まった9日に注文した。これが届くのは11月4日から7日の間の予定だ。今日から3,4回に分けて書く本作は予定日の12日に届かず、その旨のメールがアマゾンからあって、また1か月は待たされるかと思っていると、1日遅れで今日届いた。四つ折りの紙ジャケットで、それぞれの挿入部にはブックレットと3枚のCDが収められている。ブックレットは32ページで、ジョー・トラヴァースの後にテリー・ボージオが書いている。写真がかなり多いが、どれも白黒で、カラー・フィルムでは撮影しなかったのであろう。それが少々時代を感じさせる。これまでのゲイリー・パンターの派手な色合いの漫画イラストを見慣れた者からすれば、カラー写真を使ってほしかったが、上半身裸のザッパやオーケストラ団員の写真ではカラーであっても派手さは期待出来ないかもしれない。ともかく、この1975年9月の演奏はこれまで写真が発表されず、それがふんだんに使われている点がまず大いに意義がある。こうした未発表写真もアレックス・ウィンターのプロジェクトによって発掘ないし整理されたはずだが、それ以前にザッパ自身が音源だけではなく、写真も豊富に撮影していたことに感心する。それはアルバム・ジャケットに使うつもりもあってのことで、ゲイリー・パンターのイラストはワーナー・ブラザーズが勝手に用意したもので、ザッパは許可しなかったものとされている。ではザッパがアルバム・ジャケットの版下を用意したとして、それが今回のステージ上のザッパの写真となったかと言えば、その可能性は大きい。というのは、ブックレットのちょうど中央のページにこのコンサートで撮影された写真のベタ焼きが印刷されていて、本作のジャケット写真のみが赤鉛筆で囲まれ、中央に「3」と思しき数字が記されている。これはザッパが最も気に入っていた写真と考えてよく、実際本作のブックレットに使われるザッパ写真では最もよい。とはいえ、この写真はゲイリー・パンターがデザインして描いたジャケット上部の文字とはあまり調和しておらず、この写真を使っていたならば別の文字デザインを採用したはずだ。
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 そこが悩ましいところで、本作が最初に発売されたパンターによるジャケットをすっかり没にはせず、文字デザインに大いに関心のあったパンターのその才能の発露はそのまま使い、イラストだけをザッパ写真に変えたのは、オリジナル・ジャケットのオーラを消してしまうことは不可能であるからだ。またあえてそれを実行すると、オリジナル・アルバムとは全く別の内容のアルバムと思われかねない。その意味で本作の半ば新しいジャケットは、収録される音楽の内容も表わしている。3枚のCDのうち、最初の1枚はオリジナル・アルバムに9月18日演奏のボーナス・トラックを1曲追加した内容で、2、3枚目も同じ日の演奏となっている。ブックレットにはオリジナル・アルバムは9月17から19日の演奏と記され、この3日間にリハーサルを除いて少なくても3回は演奏したことになるが、本作に17と19日の演奏は収録されない。これはテープがないのか、出来がよくなかったのか、事情はわからない。17日はリハーサルであったとしても19日は18日と同じように本番を演奏し、録音もしたのではないか。ブックレットを今斜め読みしたが、そのことについてはジョーもテリーも触れていない。ジョーはわからないのは世代的に当然で、またテリーは44年前のことで覚えていないだろう。またオリジナル・アルバムでは「デューク・オブ・プルーンズ」にザッパのギターが後にスタジオで重ねられていて、ザッパはオーケストラ用に作曲した大曲、たとえば「ペドロズ・ダウリー」のような曲はそのままレコード化するとしても、後で音を追加するなどの加工を施して発表することを最初から念頭に置いていたかもしれない。その代表かつ唯一の例が本作では「デューク・オブ・プルーンズ」だが、今回ディスク1のボーナス・トラック「ストリクトリー・ジェンティール」は3年後の5月にトミー・マースがキーボードを重ねている。これが全然違う曲に聴こえて面白い。どう違うかと言えば、ザッパが関与せずに、どこかの楽団がカヴァー演奏したような雰囲気だ。だが実際はザッパがトミーに音を追加させたのであって、生前のザッパは発表しなかったが、どう響きが違うかを聴きたかったヴァージョンだ。またそれは今回ボーナス・トラックとなったことでそう言えるのであって、このヴァージョンを他人の名義によるアルバムで聴くと、カヴァー演奏としか思えないはずだ。これはザッパのオーケストラ曲はザッパがその演奏を実際に聴いたとしても、ザッパ作品であることのみが確かであることを意味する。それは大作曲家のクラシック音楽を今聴くことでは普通であって、ザッパがオーケストラ曲を書いたのはそういう普遍性を知っていたからと言える。ザッパがギター・ソロを駆使する曲は他者では代替不可能だが、管弦楽曲の場合はそうではなく、その独自の楽しみがある。本作の題名はそのことを言っている。
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by uuuzen | 2019-09-13 23:59 | ●ザッパ新譜紹介など
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