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●神社の造形―平安神宮神苑の泰平閣
のように写実的なものではなく、長靴をひっくり返したような鴟尾が平安神宮大極殿の屋根の東西に光っている。奈良の東大寺のそれよりも目立たないが、それでも周囲に高い建物がなく、青空に輝いているのをたまに見るのは気分がよい。



●神社の造形―平安神宮神苑の泰平閣_d0053294_19055960.jpg4月15日に平安神宮の例祭に参加した時、北端東側の駐車場から神苑に入り、泰平閣を通り抜けて神苑の東出口から大極殿前に出た。その時に撮った写真がたくさんあって気になっていたが、昨日はちょうど4か月ぶりにその神苑を訪れ、また写真を1枚も撮らなかったので、季節外れではあるが、今日は4月15日に撮った泰平閣やそこから臨む栖鳳池の写真を使う。神苑の中ではこの泰平閣のある東神苑が最も解放感があって筆者は好きだ。神苑には西端から入るが、やや歩き疲れた後、泰平閣内部の通路両側の長椅子で休むことが出来る。休憩所としては泰平閣に至る少し手前に茶店がある。昨日はその前に踏み込むと、中年の女性が店に入ってほしそうな素振りを見せた。押し付けがましくなく、『もしよければどうぞ』といったしとやかな態度で、その奥床しさに応えたくなる人は少ないないだろう。だが、筆者は『またの機会に』と内心謝って歩の向きを変えた。その「またの機会」は京都に住んでいればいつでも得られるが、気になりながら10年や20年が過ぎることが多い。筆者は今年平安講社に所属し、平安神宮の神苑にいつでも同伴者一名まで無料で入れる証書をいただいた。数年前まで自治会長を4年連続して務めた時も毎年配布されたが、岡崎に出かけるのは美術館や図書館に行くことが目的で、その入苑証書を使うのは年に一度あるかないかであった。神苑を訪れたことのない人を誘うにはよいが、京都在住の人ではそういう人はほとんどいないだろう。それに筆者が岡崎に行くのはたいていひとりか家内と一緒で、また平安神宮まで足を延ばすことは稀だ。それは神苑の入苑証書を与えられるほとんど人も同じはずで、それもあって平安講社は気前よく配っているのではないか。だが、たまには神苑内を歩くのはよい。苑は1万坪あって、時計回りに巡り、東端から出る。季節によって咲く花が違い、下鴨神社の糺ノ森や府立植物園とは趣がかなり違う。日本庭園は万博公園のものが広大でよく知られるが、どことなく陰鬱で筆者はあまり好きになれない。平安神宮の神苑は明治半ばの平安遷都千百年を機に造られ、百年と四半世紀の歴史があり、平安神宮の大極殿前の広々とした空間とよく調和している。7月半ばでは花菖蒲は咲き終わり、見るべき花がないのが残念であったが、萩の花がごくわずかに咲いていた。今はまだ梅雨明け前だが、からりと晴れて猛烈な暑さが2,3週間続くと、もう秋はかすかに感じられ、その頃には萩の赤や白の細かい花を鈴なりにつける長い茎が地面に向かっていくつもの大きな弧を描き、また地面はその落下した花で染まる。
●神社の造形―平安神宮神苑の泰平閣_d0053294_19070764.jpg
 神苑の中ほどの池の中に「臥龍橋」と呼ばれる円柱形の石が蛇行状に点在する。その上をいつも歩くが、昨日はその周辺で男性が7,8人作業中で、最初は迂回した。2,3人が池の中に下半身を沈め、そのうちのひとりは魚網を持って池の中の大きな鯉をつかまえようとしていた。造園業者かもしれないが、池の中はまた別の専門業者がいるのかもしれない。それにしても大人が一匹の鯉を捕まえるために7,8人も集まって作業するのは、かなりのんびりかつ贅沢な話だ。似た話で猪や猿が人里に現われた時にTVニュースになるが、鯉は池にいてあたりまえで、放置しても大きな害はないだろう。あるいは成長し過ぎたものを捕獲し、比較的小さな鯉を繁殖させて野鳥の餌にするのだろうか。そういう自然のサイクルも考慮して、普段は誰も知らない作業の積み重ねによって神苑の整備が保たれている。ところで、鯉を捕獲した男性は普通の長靴では水や泥が衣服の内部に入るので、特別の作業服だろう。江戸時代ではそんな便利な服はなかったが、底の泥の中にガラス片などの危険なものがなかったので草履でも充分であった。今は観光客が故意にゴミを投げ込んだり、誤って何かを落としたりすることもあるはずで、底を歩くには厚底の長靴が必要だ。普段は比較的澄んでいる水中を人が歩き回れば底の泥をかき回し、水は濁って魚の姿がわかりにくくなるが、大きな鯉なら目立つ。作業員たちの話ぶりから2,3匹いるらしく、すべてを捕らえるつもりであったのかどうか知らないが、筆者が「臥龍橋」をわたっている間に歓声とともに5、60センチの金色の鯉が網で捉えられた。嵯峨の広沢池では毎年冬場に水を抜いて鯉を捕獲し、それらを販売するが、その光景をTVで見慣れていることもあって鯉は珍しくない。神苑では捕まえた鯉をどうするのか知らないが、殺すのはもったいない。さりとて誰かが自分のものとして食べるのも不公平だ。他の池に放てばいいと思うが、そこでまた鯉が増えるから、毎年適当に間引いているのだろう。「臥龍橋」をわたるのはちょっとしたスリルがあって、子どもは怖がりながらも喜ぶだろう。その意味でこの神苑はテーマ・パークのようによく出来ている。「臥龍橋」は天正年間に秀吉が三条と五条に架けた橋の脚部で、それを知ってその上を歩くのはまた格別の楽しさがある。由緒あるものを大事にして転用することは建築界ではよく行われる。泰平閣は御所からの移築とのことで、これが御所のどこにあったのか気になるが、現在の神苑では御所時代以上に人々に馴染みのある存在になったはずで、今後も長らく同じ状態を保ってほしい。昨日は外国人観光客が多く、みな必ずその橋でしばし休み、池を覗き込んで亀や鯉の姿に見惚れていた。今日の最初の写真は右半分に見知らぬ人の後ろ姿が大きく写ったので、それをカットして縦長の構図にした。松を支える木が奥の泰平閣を遮り、本来は没だ。
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 2枚目は泰平閣に至る前に右手を向いて撮った。3,4枚目は写真上隅に黒い部分がわずかに見えていて、これは泰平閣の屋根だ。4月15日は急いで歩きながら撮ったが、昨日はしばし長椅子に座ってくつろいだ。雨が降りそうな気配もあったので、泰平閣で少し休むのがいいと思った。大雨になれば泰平閣では雨宿りは難しいが、平安神宮ではまともに雨をしのげる場所がない。となれば前述した茶店となるが、これは本当に次回訪れた時に中で何かを食べてみよう。いつでも神苑に無料で入れるのであれば、おそらく誰も入苑していない大雨の日を選んで行くのもいいかもしれない。だが、長靴姿で神社に入るのは不埒であろうから、足元が困る。昔の人は草鞋ですぐに足元がずくずくになって気が滅入ったことだろうが、「金の草鞋を履いて年上の女房を探す」という言葉があるように、金属製の草鞋というイメージはあった。これが鴟尾の長靴形を連想させるが、靴は沓と書いて奈良時代からあって、高貴な人は大雨でも足を濡らさずに済んだ。そうした沓は皮か布かで作られたはずだが、布であれば運動靴の「ズック」と同じく雨でずっくずくになり、また草鞋よりも動きにくかったのではないか。「金属の草鞋」もそうで、足元が適度に重いのはいいが、重過ぎると疲れる。またそのように疲れることを厭わずに、昔は年上の女房を探すのがよいと言われたが、これは同じ年齢でも男は女よりも頼りないからだ。これは小学生や中学生を見てもわかる。女子のほうが男子よりも早く体格が大きくなり、また考えもしっかりする。ということは、同じ年齢でも女性は男性より老けやすいということで、ここに男女が平等ではない一端もある。それはともかく、男も女もさまざまで、年齢相応に肉体は変化するにもかかわらず、精神の成長がそれに伴わないことがしばしばある。40にもなれば女も男もそれなりの知性と品性を持つべきだが、そのことを自覚しない者も多い。年齢より若く見えればいいというものではないのに、今は男女ともに若く見えることが最大の望みとなっている。40になればまだ45より若く、50になればまだ還暦よりも若い、80になればまだ100歳より若いと、若さ崇拝には切りがなく、人間はつくづくグロテスクで滑稽だ。とはいえ、男女は価値観が同じような者同士が一緒になり、夫婦は長年の間に双方がますます似て行く。祇園祭では「芦刈山」が夫婦和合、縁結びの曳山となっているが、昨日四条烏丸でもらった祇園祭のパンフレットによれば、「芦刈山」の説明にこうある。「貧しさのために夫婦は離別した後、妻は都で宮仕えをし、別れた夫を探したところ、落ちぶれて芦を売る夫と再会できたという謡曲「芦刈」を題材とした山」。これは妻に教養があったための話で、女は知性と品性が最も大事ということ。そういう女性は夫婦の契りを結べば、どのようなことがあっても夫を忘れない。
●神社の造形―平安神宮神苑の泰平閣_d0053294_19080197.jpg

by uuuzen | 2019-07-16 23:59 | ●神社の造形
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