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●大阪阿倍野ROCK TOWNにて、Marco Pacassoni Duo
って心地よいのは酒と音楽だが、酒に比較的強い筆者はめったに酔わない。音楽はと言えば、常に何か夢中になっている曲が必要で、それは長くて2週間ほどで、また別の曲を気に入っている。



これは移り気ということで好ましくないかと言えば、相手の音楽は誰にどう好きになってもらってもわからないので、聴き手の勝手だ。それでもライヴにやって来る客数や客の熱い反応に音楽家は励まされるだろう。その意味で言えば、今日取り上げる先日2日に大阪阿倍野のQ‘sモールにあるホールで見たヴィブラフォン(以下ヴァイブ)奏者のマルコ・パカッソーニとピアノのエンツォ・ボッチェーロのデュオによるライヴは、無料であったにもかかわらず、宣伝が行き届かなかったのか、会場の座席は半分ほどであった。このライヴを先月23日、Annie’s Cafeで話をした藤永さんから教えられた。ザッパの曲をカヴァーするとのことで、早速調べると4枚アルバムを出している。最新のものが去年6月に出たマルコ・パカッソーニ・グループ名義の『FRANK & RUTH』で、ジャケットはザッパとマリンバ奏者のルース・アンダーウッドのイラストだ。アマゾンで注文しようかと思ったが、会場で売られているかもしれず、まずは演奏を聴くことにした。だが、売られていたのはそれぞれ1500円の2種で、筆者は買わなかった。ともかく、早速メール予約したが、数日経っても返事がない。別のアドレスから送信し直すなど、計5回連絡してもなしのつぶてで、藤永さんに筆者と家内の2名分の追加メールを送ってもらった。メールが届かなかったのは不思議だが、同じ思いをした人がいたのではないか。またこのライヴはイタリア文化会館の後援で、大阪のみの演奏であったらしく、なおさら満席になってほしかった。せっかくイタリアから来日しながら、1時間少々の演奏では宣伝効果は小さい。とはいえ、熱心なファンがやって来た。演奏の前に藤永さんから紹介された東京から駆けつけた今井さんだ。筆者は4年前の12月下旬、東京渋谷のクワトロで少し話をしたが、その際客席に彼がいて、ザッパの曲を縦笛で少し吹いた。彼はパカッソーニらの演奏後、彼らが出入口ホールにやって来た時に歩み寄り、縦笛やフルートでザッパの「ブラック・ページ」などを易々と吹き、彼らを驚嘆させた。そしてパカッソーニは彼に楽譜を送ると言っていた。今井さんはLPの『FRANK & RUTH』を持参していて、ぜひとも彼らの演奏を生で聴き、また面識を得たかったのであろう。このライヴにはEulalieさんもやって来て、筆者らと同じく最前列に座って聴いたが、今井さんとパカッソーニらとの談笑をそばで聴きながら思うところが多々あったであろう。彼女と藤永さんの出会いは先月23日のAnnie‘sであるから、面識を得るとツイッターでつながり、とんとん拍子に事が進む。
●大阪阿倍野ROCK TOWNにて、Marco Pacassoni Duo_d0053294_00150979.jpg
 昨日知ったが、YOUTUBEに『FRANK & RUTH』から9曲投稿されている。これは同アルバムの全曲かもしれない。最初が「Blessed Relief」で、これは今回のライヴでも最初に演奏され、またザッパ曲はこの1曲のみであったのが物足りない。9曲は曲によってドラムスやベース、またギターが加わり、男性や女性のヴォーカルもあって、どの曲もラウンジにふさわしいジャズの仕上がりだ。ザッパはそういうジャズを70年代半ばに『SLEEP DIRT』で実践していて、『FRANK & RUTH』にある『SLEEP DIRT』のタイトル曲を含む「Sleep,Pink and Black」(ブラック・ナプキンズ組曲)は、ザッパ通をうならせる編曲だ。膨大なザッパ作品からカヴァー・アルバムを1枚作るとして、その選曲から音楽家の好みがわかるが、ヴァイブが活躍出来る曲となると、主旋律をその楽器で演奏すればいいから、制約はほとんどないだろう。ただし、「ブラック・ナプキンズ組曲」はアコースティック・ギターやエレキ・ギターが主旋律を演奏していて、ヴァイブはほとんど添え物だ。そのため、これまでのカヴァー・バンドの演奏とあまり変わらず、またそうなればザッパの原曲を聴いたほうがよいと思うファンが多いだろう。原曲のアレンジをどこまで再現するかでザッパらしさの程度が変化するが、ザッパの曲を数多く、また深く知るほどに自由な編曲が難しい場合と、原曲から遠い冒険をする場合とがあるはずだが、『FRANK & RUTH』の選曲はかなり気まぐれを感じさせ、マルコのザッパ遍歴はまだ年数が浅いのではないか。また「PEACHES EN REGALIA」では中間部のエレキ・ギターのソロが原曲との差を感じさせるが、ザッパのギター・ソロと比較し、そのソロがないほうがいいと思ってしまうので、ザッパ曲のカヴァー演奏には痛し痒しのところがある。「ブラック・ページ」はザッパのぎくしゃくしたメロディの代表曲で、ヴァイブのソロで聴かせるが、実際のラウンジで演奏すると客は驚いて酒を飲むのをしばし中断するのではないか。アルバム・タイトルの「Ruth」に重きを置いた曲としては「For Ruth」がある。これはザッパ曲の個性を模したマルコのオリジナルで、ルースの感想を聴きたいところだ。また彼女とマルコの共演が実現する可能性もあるかもしれない。ヴァイブとマリンバとではどちらの演奏がより難しいのか知らないが、知識に乏しい者にはどちらの音色もコミカルな雰囲気を感じさせる。それがカリフォルニアやイタリアの明るい陽光を伝えるのにはちょうどよく、ザッパ曲がイタリア人のヴァイブ奏者によって演奏されることの妥当性を納得させる。ようやくと言えば語弊があるが、ザッパの曲がイタリア人によって演奏され、またそれが世界的に知られることで、改めてザッパのイタリア的なところが明確化するだろう。
 マルコはテクニシャンで、これはプロとして当然だが、4作目にザッパを取り上げたのは難解な曲をこなせるほどに技術力が高まったとの自信がついたからでもあろう。ただし彼はそれを前面に押し出すことが目的ではなく、誰もが楽しめる演奏を心がけているように見える。それがラウンジ風で、客を選ぶ前衛をほとんど意識していない。ザッパに倣って言えばエンタテインメントで、それは1時間強の演奏で充分堪能出来た。ザッパに始まって最後はチック・コリアの名曲「スペイン」で、客は何度も途中で手拍子をした。ジャズのヴァイブ奏者として筆者はゲイリー・バートンしか知らないが、紹介文によればイタリア中東部のペザロ市にあるロッシーニ音楽院とボストンのバークリー音楽院を卒業し、またゲイリー・バートン彼に学んでいる。ジャズの本場アメリカで活動するのではなく、拠点はイタリアで、その点で世界的な名声を獲得しにくいと思うが、これは名曲を書くかどうかにもよるだろう。またネット時代になってどこに住むかはあまり意味がないかもしれない。それにジャズでも珍しい部類に入るヴァイブとなれば、存在は覚えてもらいやすい。これはそれだけヴァイブの演奏が難しいためと思うが、マルコの演奏を間近で見ると、左右2本ずつ握ったマレットを時には反対の木部の先端で奏で、また2本で演奏するなど、ピアノとは違う腕全体の広範囲かつ目まぐるしい動き、つまり大きなエネルギーを要することを思った。彼はまたヴァイブのそばに置いた小太鼓を手で叩く場面もあって、ヴァイブが打楽器に近いことを感じさせたが、実際彼は打楽器の講師として各地の大学で教えている。「パカッソーニ」は「パーカッション」を連想させるが、字面を見れば「ピカソ」と似ていて、一旦それに気づくと名前を忘れない。それはともかく、Sleepもザッパに通じていて、『FRANK & RUTH』の売れ行き次第では第2作を録音するかもしれない。ピアニストのエンツォはマルコよりかなり年上に見えたが、彼とは10年以上共演している。最初の3枚のアルバムは4人編成で、カヴァー曲は含まないのだろう。今回もオリジナル曲がいくつか演奏されたが、一度限りではどういう曲か覚えられない。アンコールでは1曲だけ演奏され、その曲についてライヴ終了後、マルコに質問している若い男性がいた。スマホでその原曲が表示され、イタリアの女性歌手による古い曲であることがわかった。カンツォーネにはイタリア人だけがよく知る名曲が豊富にあるのだろう。何しろオペラの国であるので、歌には事欠かない。ザッパもそういう国の血を引いていたので、マルコがザッパ・カヴァーはごく自然なことで、またザッパの曲がジャズとみなされていることを示す。それはザッパが望むところであったろう。マルコはザッパナーレには出演しないのだろうか。あるいは再来日すれば今井さんと共演するかもしれない。
by uuuzen | 2019-07-06 23:59 | ●ライヴハウス瞥見記♪
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