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●京都NEGAPOSI(陰陽)にて、Eulalie
米以上にアジア各国からの観光客が多い日本だが、今の音楽を知るためにライヴハウスを訪れる観光客はまだ珍しいだろう。ライヴハウスが協力し合って情報を提供すれば、京都にやって来た観光客は夜にライヴハウスに繰り出すことが多くなるかもしれない。



●京都NEGAPOSI(陰陽)にて、Eulalie_d0053294_01343271.jpg午後6時になれば嵐山では飲食店が閉まるからだ。そして、たとえば居酒屋を兼ねる西院のネガポジなら平日は無料でライヴを楽しみながら食事が出来る。さて、今日から4日間は17日にネガポジで見たライヴについて書く。最初に演奏したのは、Eulalie(ユーラリー)という今年京都市立芸大を卒業した女性だ。最近彼女とひょんなことから出会い、早速ライヴに駆けつけた。エレキ・ギターを弾きながら歌うのは珍しく、また彼女のツイッターのプロフィール写真は数多くのエフェクターを捉え、多彩な音色に関心があることがわかる。初のMUSIC VIDEOをつい先日ツイッターで紹介したが、その音楽性とネガポジでの演奏はかなり違い、現在の彼女は自己の多面性を演奏のたびに少しずつ見せている段階であろう。その多面性はまだ固まっておらず、時と場所に応じて即興的に表出されると言ったほうがいいかもしれない。ところで、演奏の前に彼女は自分の演奏を録画するためにⅰPadをテーブルに据えようとしたがうまく舞台を捉えられず、そばにいた筆者が両手で掲げ持って録画することにした。ところが、彼女が本格的に演奏を始めてすぐ、右端中央のボタンに触れてしまい、録画は中断された。そのことを口にすると、一瞬彼女は声を上げて筆者を見たが、そばにいたニュージーランド人の青年が操作し直してくれた。また掲げ直したのはいいが、画面上部のカウンターが0表示のままで、予期したとおりに録画出来ず、せっかく役割を引き受けたのにドジを踏んだ。謝っても後の祭りで、また画面を通して彼女を眺め続け、画面を揺らさないように心がけたので、演奏は雰囲気しか覚えていない。まず彼女は繰り返しが多い歌詞を歌い続けた。ミニマル的とはいえ、その記憶力に感心した。曲名と歌詞を送信してもらったが、「合わせ鏡のハウリング」と「天井のうた」という題名で、2曲で20分ほどだ。3コードに近い伴奏に独り言的な歌を重ね、暗い印象だが、エレキ・ギターであるのでフォーク的な印象とは違って派手さがある。面黒楼卍さんの演奏を思い出したが、どこか怨念や呪詛が籠る彼女の演奏と違って、漠然とした現在と未来に対する不安のようなものを反映していた。それは20代半ばでまだ就職していないからでもあろうか。鏡は女性が毎日意識するものであり、また天井は彼女の部屋が屋根裏にあることからの着想のはずで、身近なものから題材を得ると同時に、完全に殻から抜け出ていないところも感じさせる。だが、彼女はとても快活かつ行動的で、引きこもりするタイプではない。
 京都市芸大にはクラシック音楽科はあるが、精華大にあるポップ・カルチャーを専門に教える学部はない。そのため、彼女がライヴ活動をするのは奇異に思えるが、同芸大の美術専攻科にはギタリストやバンド活動をする女性がいて、美術と音楽の垣根が曖昧化している。どちらにも才能を見せる人は珍しくなく、数年先に崇仁地区に移転する京都市芸大ではポップ・カルチャーを教える計画はないのだろうか。若者の欲求に応えたくても教える人材が乏しいかもしれず、また音楽は音大任せでよく、造形とは違うとの考えが教授陣には支配的なのであろう。それはさておき、彼女がライヴ活動を続けて行くとして、芸大で学んだプロダクト・デザインがどのように影響を及ぼすかを考えると、音楽を商品として捉えてそれに斬新さを与える着想や戦略に富むことが考えられる。近未来に流行る音楽を見通す才能にはあらゆる音楽を聴くことが必要だが、自分の好みがあるし、今のところ単独での活動が中心であるので、ひとりでどういう演奏が可能かという制約下で、Eulalieというプロダクトをどのようにデザインして行くかを試行錯誤していると言ってよい。またエフェクター好み、つまりギターの音色の変化を好むことは、鏡を見つめて化粧し、自己の顔の変貌を楽しむ女性らしさの反映とみなせるだろう。そこには自分の素顔が基礎にあるが、ステージではそれは見せたくないものだ。その意味で人前での演奏は非現実だが、女性にとって素顔が現実で化粧した顔が非現実とは言えず、どちらも、あるいは後者をいわばオフィシャルとして自認している。そこが男とは大きく違うが、化粧によってある程度はどのようにも自分の顔を作り変え得る事実は、本当の自分とは何かを見失うことになりかねないと揶揄すれば、女性はそんなに柔ではない。世間でどう映るかという自分の商品価値をよく自覚し、またそれを高めるにはどうすべきかを絶えず模索していて、「飾る」ことにかけては女が世界をリードして来たし、今後もそうだろう。では、エフェクターや歌詞の繰り返しは装飾であり、それを剥ぎ取ったところに重要な本質があるかとなれば、女性の素顔が本質で化粧した顔がそうではないとは言えないことと同じく、装飾を本質そのものと見ることが出来る。だが、筆者は彼女の素顔や普段の態度を知っているし、それをステージでの演奏ぶりと照らすと、その差に驚きながら、ステージ上の彼女が、こうすれば商品の人気が出るという策略を巡らせているばかりではなく、素顔の奥にある悩める本心のようなものが見え透いているように感じ、またそこに商品と芸術のはざまでもがく表現者の姿が露わにもなっている。つまり、ステージでは素顔を晒さないが、素顔の奥の本音が見えている。その本音は変化しないものかとなれば、経験によって変わるだろう。特に女性の場合はそうだ。そのことで思い出すことがある。
●京都NEGAPOSI(陰陽)にて、Eulalie_d0053294_01351239.jpg 彼女と同じ大学を出て油絵を描いている50代の主婦が、何年か前に筆者に、「20代半ばはまだ子ども」と言った。子どもと大人の差は経験の豊富さの差で、20代半ばでは大人の社会のことに疎いという意味だ。その主婦は結婚して子どもを産んだが、女性は子どもを産んで大人になるとの考えを否定する若者は多いだろう。それで、子どもの文化が大人のそれとは別に存在すると言い切ると話はややこしくなるので、美術と音楽は違うと言っておくが、画家とは違って、ライヴハウスでの演奏はその表現する音楽が演奏者の見栄えと切り離せない。筆者の見るところ、ライヴハウスで活動する女性は、音楽にもよるが3,40代までで、彼女たちはいわゆるセックス・アピールを自覚しているだろう。もちろん音楽性が最優先だが、見栄えがいいことに越したことはなく、そこを彼女たちがどう受け入れ、あるいは反発しているかは案外大きな問題に思える。特に日本の女性は自分の価値は若い頃だけのものと思っているところがあって、それでAKBなどのアイドル商法も盛んだが、そういう風潮に異を唱えて音楽性優先で勝負しようと考えても、若ければそれも利用したいのは人情だ。Eulalieさんもそうだろう。数年前までTVでよく見かけた若い女性ふたりの漫才師は、片方が特に老人男性に見える化粧を施していた。それは女性らしく美しく見せようとすることに対する反旗であったのかどうか知らないが、素顔になっても一般人に知られない利点はあった。また若い美貌は衰えやすいので、彼女らの化粧と衣裳は戦略として秀逸であった。その態度をライヴハウスで演奏する音楽家が注目していないことはないと思うが、音楽を聴く客は、若い女性にお笑いよりも美貌を求めがちで、そのことをEulalieさんも認識し、またその期待に沿おうとしていることは伝わった。それは素顔で普段着の彼女とは大違いと言える一方、彼女はステージに立って演奏し、歌っている間が人生最高の時間と思い、また自分が今後どのように変化して行くかを楽しみにもしているだろう。そういう客観性が彼女には具わっている。それは他者の目を知っていることであり、またそれだけに正直に作品行為に挑むはずで、素顔であれ、化粧している顔であれ、ステージでは彼女しか表現し得ない個性の表出を求めながら大人の世界に踏み込んで行く。彼女の音楽が今後どのように時代を先取りして行くか、あるいはその考えを捨ててひたすら独自性にこだわるのか、その萌芽はギターを時に激しくかき鳴らしなが、物憂げに歌う彼女の17日の演奏に認めていいが、その青春っぽさは、「かわいい」文化が持てはやされる中、今後どう変化して行くのだろうか。今日の最初の写真は筆者の撮影、2枚目はニュージーランドの青年が撮ったものをトリミングしたが、黒ずくめの姿は演奏と釣り合っていた。同青年は猫のようだと言った。至言であろう。
by uuuzen | 2019-05-20 23:59 | ●ライヴハウス瞥見記♪
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