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●結婚雑感
となる力は本来誰にでも具わっているはずだが、人間社会では本能のままに生きることは誰でも可能ではない。それで、本能に忠実に生きているような人に魅力があると思う人が多い。



●結婚雑感_d0053294_13381967.jpgここで言う本能はディオニュソス的なものだが、そういう人でも社会からいろいろと制約を受けているし、社会的地位が高くなるほど、多くのしきたりに沿うことが求められる。筆者は友禅染めという仕事をひとりでこなすには、原理、整然さ、計画性などの考えや姿勢が欠かせず、表向きはアポロ的と言える。仕事しながら音楽を聴くことが長年の習慣になって来たこともあって、ディオニュソス的な感覚が内面を大きく支配している気もする。音楽がすべてディオニュソス的かと言えば、音楽家になろうとしたパウル・クレーが演奏していたのは、今で言うクラシック音楽で、即興演奏はほとんど含まなかった。その意味でクレーの絵はきわめてアポロ的で、若い頃の筆者が彼の絵に夢中になったのは当然であった。その一方、筆者はクレーと同時代のもっと激しいドイツ表現主義絵画にも魅せられ、それは今でも変わらないが、これは人間は自分が意識して表にあまり出さないようにしているものを求めるという本能ゆえかもしれない。それはさておき、人間の本能のひとつに、異性を求めることがある。昔は15、6で女性は結婚したが、女性はその頃から妊娠可能で、またほとんど社会に出ていないうぶな状態で結婚したほうが家に落ち着きやすいとの男社会的な考えが広く浸透していたからだ。それは男女平等の社会から見れば、何と女性には酷であったかと思われるようになり、女性の結婚年齢がどんどん上昇し、結婚しない、出来ない男女が増える一方となった。四半世紀ほど前のNHKの「みんなのうた」に、小学校の担任の女性が結婚して教師を辞めることを知った子どもたちが、「(お母さんが言ってたけど、結婚なんて)なんもええことあらへん」と歌う曲があった。その歌以降、本当に結婚は女性にとって何もいいことがないと思われるようになって来た気がするが、その歌詞の子どもたちは、母親たちから結婚生活の実態を聞いても、そういう本音を子どもに言えるという家族の打ち解けた様子を感じていることが伝わった。先生が結婚を機に学校を去ることを知った彼らは、さびしい思いをしながらも、女性が結婚で仕事をひとまず辞めることの現実や、結婚すれば子どもが出来て、いずれその子は自分たちと同じように育つことを知っての、先生への餞の言葉であった。それが結婚せずに4、50代のまま先生を続けると、今度はまた別の歌が必要になると子どもたちは自覚している。つまり、女性は結婚してもさほど幸福でないかもしれず、また未婚のままならもっと肩身が狭い人生ではないかということを、小学生でも知っている。
●結婚雑感_d0053294_13385120.jpg
 先月と今月、結婚式に出席した。今日は京都東山の草堂という、竹内栖鳳の住まいであった庭つきの大きな屋敷を改造した結婚式場に行った。下の妹から聞くと600万円ほどかかるらしい。料理その他からしてとてもそうは思えなかったが、1日に午前と夜に二回結婚式があって年に250日営業すると、30億円の計算であるから、ま、妥当な費用なのだろう。結婚式を挙げなくても夫婦になることは出来るが、子どもをひとり産んで育てるのにいくらかかるかという情報に触れるにつれて、結婚生活は何と高くつくものかと若者は思うだろう。自分の給料を見比べて結婚は無理とぼんやりと考え、自信喪失から結婚を揶揄するようにもなる。大阪にいた筆者の友人Nは独身のまま死んだが、50代後半の頃に筆者に言ったことがある。「ひとり暮らしはさびしい」「結婚していてもさびしさはあるよ」「いや、やっぱりひとりというのとは違うで」。Nが結婚しなかったのは、まず経済力がなかったからだ。肝炎を患っていて、生活保護を受けていた。それに若い頃に勢いで結婚していればよかったのに、中学時代からの意中の女性がいてその面影を忘れることが出来なかったらしい。彼女は確かにきれいで、学校ではとても目立ったので、大方の男子生徒の憧れであったろう。筆者もその口であったが、50歳頃の同窓会に彼女がやって来て、その時筆者は目を疑った。彼女は頼りなさげでどことなく筆者に媚びるような態度で、また若い頃の輝きはどこにもなく、10歳は老けて見え、苦労が偲ばれた。そして離婚した後、一緒に暮らしているという男性の姿が目に浮かぶようであった。そうそう、中学1年生の頃に筆者がのぼせた女性はどういうわけか成績優秀な男子にとても人気があって、美人というのではないが、とても個性的で、筆者は一時悶々と思い続けた。中2の終わり頃に筆者はその女性を含めた3人の女子生徒と、筆者を含む3人の男子生徒の計6人で誰かの家でパーティをし、初めて彼女とよく話した。その時に撮った何枚かの写真を確認せずとも、筆者はその頃の彼女の顔をまざまざと思い出すことが出来る。それほどあまり見かけないタイプの顔で、とても魅力があった。ところが、その頃を境に筆者は急速に彼女に関心を失った。恋が冷めるような幻滅はなかったのだが、夢中になるほどの何かがその女性にあるとは思えなくなった。自分でもそれが不思議で、寝ても覚めても思っていたことはいったい何だったのかと呆れた。題名は覚えていないが、フランスの有名な女優が出演した映画で同じことを描いたものがあった。映画の最後近くで、男性は飛行場かどこかでかつて熱烈に愛した女性が通りすがるのを目撃する。その時、男性はその女性がどこにでもいるような平凡そのもので、なぜ自分が激しく愛したのかを不思議に思う。
 特定の人に対する恋愛感情は消えるものだ。それでも結婚生活を続けるのは、離婚するとお互い不自由であるからだが、それは否定的な意味ばかりの共依存でもない。ただし、夫婦のどちらかがそう思えないことが多いのは、離婚が3組に1組であることからもわかる。それを前提に、結婚はするものではないと、結婚したことのない人が言うが、そういう人でも理想の異性が眼前に現われ、結婚の可能性が見えると考えを変えるに決まっている。また、結婚生活にはそれなりの金がかかることに戸惑っている若者は多いはずで、結婚式を挙げる若者はだいたい親が経済的にはしっかりしている。だが、そうでない若者は結婚式を挙げずに結婚すればよい。一方、子どもを産むかどうかの問題も、経済性と大きく関係していて、収入の多い夫婦ほど子どもが多い。筆者の甥は月収百万円と聞くが、子どもが4人いる。昔は貧乏人の子だくさんと言われたのが、今は逆転している。経済力がないのに子ども産むと、親が精神的に参って虐待しかねない。結婚に否定的な意見がネットには多いが、いつの時代も異性にモテる人は少数派だ。また自分が好きな感情を抱けない相手から好意を寄せられてもそれに沿いたいとは思えない場合がある。筆者は家内と暮らす前に、周囲が心配してある女性を紹介した。筆者は家内と暮らすことを決めていたので、それに応じたのは周囲に対するカモフラージュであった。彼女は家内より若く、また画家で、周囲の者は筆者が気に入ると思ったのだろうが、小1時間のふたりだけの会話を筆者は皆目覚えていない。すぐに彼女は筆者と結婚したいと伝えて来たが、筆者は断った。周囲がいいと思っても本人同士が合意に達しないことは多いが、会った瞬間の直感が正しいとも限らない。これは子どもをひとり持つ50代の女性に話して同意されたことだが、結婚はある程度誰としてもよいものだ。恋愛感情は冷めるとわかっていれば、結婚してから恋愛感情を育む手もある。昔の人はそうした。大好きな人としか結婚は考えられないと言っている人ほど2,3年で離婚し、周囲の目を白黒させる。若い頃の直感や大好きという思いほど、いい加減で軽いものはない。そうであれば、衝動的かつ適当に誰と結婚してもよく、人間はそのように出来ている。ただし、20代半ばまでだ。そのことを昔の人はよく知っていたので、女は15、6で結婚した。そのことを今の若者は憐れとか残酷とか言うだろうが、昔の人は今のそう言う若者を見て一笑に付すだろう。時代が経って人間が賢くなることはあり得ない。昔は昔の愚かさがあり、今は今のそれがある。15、6で結婚すれば、すぐに離婚しても子どもは産める。今は30代半ばまで独身を謳歌し、気づけばもう子どもは産めない。そして本人が理性でそのことを愚かと思っていないのであればそれほど愚かなことはない。
 子どもをつくることは大きな責任感が伴なう。適当に同棲して妊娠したから産むというのでは子どもがかわいそうだ。命とはそんなに適当なものではない。そうであるから結婚という過程がある。それは社会的に認められることだ。今はどうか知らないが、筆者が若い頃は男は結婚していなければ一人前と思われず、仕事の信頼が得られなかった。男は仕事に生きると筆者は思っているが、社会からの信頼がほしくて結婚したのでない。住む場所を確保し、ふたりで生きて行けるという基盤の見通しがついた段階で家内を呼び寄せた。その大きな責任の前で武者震いしたことを忘れないが、筆者の決心があまりに強引であったので家内は筆者のもとにやって来たし、強引であったことの責任を取るつもりで今まで暮らして来た。男のそういう強引さは女性に安心感を与えるだろう。もっとも、それは女性にもある。先日のネット記事に女性は30歳を境に年下の男性を好むとあった。女性が男性を食べさせることがあってもいいが、それでは女性に大きな負担がかかる。それに男と伍して仕事をするには、ほとんど男のように振る舞わねばならない。それほど男の競争社会は大変だ。そこから脱落する多くの男が結婚出来ず、その両親は右往左往して嫁を探そうとする。娘を持つ家も同じだろう。ネットでは婚活サイトが流行っているようで、条件を記入して機械的に選ばれる相手と見合いしてピンと来るものがあればいいが、ある程度誰と結婚してもいいという年代を過ぎた者同士の結婚は難しい。つまり婚活サイトではうまく行かない可能性が大きいだろう。ではどうするか。わが家には36歳の息子がひとりいる。周囲を見わたせば、独身の女性はあちこちにいるから、目星をつけて引き合わせさえずればどうにかなるのではないかと思いつつ、家内にそのことを相談すると、筆者が見初めた女性なら誰でもかまわないと丸投げの状態だ。筆者が結婚するのではないし、息子が相手を気に入らなければならないが、筆者が見初めた女性なら息子は納得するだろう。家内は子どもがいる離婚した女性でもいいと言っているが、確かに周囲にはそういう結婚もよくあって、昔とは確実に結婚の意識が変わって来た。息子は従兄が次々と結婚するのを見て、今後もひとり暮らしで充分とは思っていないだろう。だが、結婚相手との出会いは引き合わせなら条件がものを言うし、それはどれだけ経済的に豊かに暮らせるかだ。筆者ら夫婦のように恋愛結婚であれば条件が悪くてもお互い納得してのことで、また周囲の猛反対があっただけに却って結束が強まったが、その恋愛の機会が今の若者には少ないのか、あるいはネット情報に振り回されているだけなのか、筆者にはわからない。今日の1,2枚目は先月24日の東京での結婚式、3枚目は今日の結婚式の引き出物のひとつで、40歳の甥と27歳の女性が紹介によって出会って結婚した。
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by uuuzen | 2019-04-29 23:59 | ●新・嵐山だより
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