人気ブログランキング | 話題のタグを見る

●京都木屋町UrBANGUILD(アーバンギルド)にて、senoo ricky
ったらかしになっているさまざまな資料やメモと相似形で記憶がごちゃ混ぜになっている場合がよくあるが、何かを鑑賞した時の感想を書く場合、何をどう整理して表現すれば他者に実体がよく伝わるかを考えてしばし思考が止まる。



●京都木屋町UrBANGUILD(アーバンギルド)にて、senoo ricky_d0053294_01122281.jpg
今日と明日は昨夜金森幹夫さんに誘われて京都木屋町のUrBANGUILD(アーバンギルド)というライヴハウスで見たふたりの演奏について書く。同じ人のライヴに何度か接したり、CDを聴いたりするとまた思いは違って来るが、演奏曲目を記さず、予備知識なしで一度聴いたことに対して思いついたままをだらだら記す。こうした感想文は音楽家と書き手における関心のある音楽と知識の範囲がどれだけ被っているのかによって内容が左右されるのは当然として、ライヴハウスで演奏する人たちの情報に乏しい筆者には全く的外れなことを書いてしまう可能性が大きい。それは、筆者が半世紀以上洋楽を聴き続けて来たゆえの知識があっても、やはり世代差も大いに関係する。簡単に言えば、いつの時代でも若い人たちが歓迎している文化を、高齢者が同じように楽しめるかということを考えればよい。そこには筆者のように人生が残り少ない場合、聴きたい音楽は山ほどあっても、好きな音楽を優先するという事情がある。これはかなり昔のことだが、ラジオのDJから新しいCDをたくさん詰め込んだ段ボール箱を送ってもらったことがある。レコード会社がラジオ局に持ち込む見本盤だ。DJはそういう新しい音楽を貪欲に聴いて知識を蓄えるべきだが、それが物理的に不可能なほどに多種のCDが発売される。そうなると、金のない頃は喜んでもらった無料CDでも、見るのも嫌ということになる。放送局で流し続ける音楽は、DJの好きなものばかりではない。そして自宅で好きな音楽を聴くかとなれば、その体力も気力も残っていないだろう。DJではない音楽ファンはそうではないが、今はカラオケに行くかYOUTUBEで音楽を楽しむので、CDはあまり売れない。そしてライヴハウスに行って聴いたことのない音楽家の曲に触れようとする人はもっと少ない。思うにこうして書く感想を読む人はさらにごくわずかだが、ま、何もないよりましかという思いはしている。さて、「senoo ricky」という芸名は、「セヌー・リッキー」ではなく、「せのお(たぶん妹尾)・リッキー」で、「リッキー」は「力也」かもしれない。横文字にしているのは洋楽をよく聴くからか。芸名のセンスからだいたい音楽性がわかるかと言えば、筆者には見当がつかないが、本名を漢字で記さないのは、堅物という意味での真面目なシンガーソングライターではなく、遊び心があるだろう。また本名を晒したくない事情もあるかもしれない。また「senoo ricky」には都会的な雰囲気がある。YOUTUBEでは彼の演奏が少し見られるが、先ほどUrBANGUILDでの対話をざっと見た。
 彼は洛西ニュータウンの生まれ育ちという。ニュータウンは日本中どこでも同じような雰囲気があるのではないか。割合同じような経済状態、世代の人が住み、路地の翳りを欠いた均質性が本質としてある。悪く言えば文化的ではない。京都市内の西の外れにあって、嵐山や嵯峨ですら洛中人からは嘲笑の対象であるからして、京都とは呼べない地域だ。ところが面白いことに、そういう地域からも音楽を目指す人が出て来る。あたりまえと言えばそうだが、陰影に富む文化の蓄積度が大きい洛中からでは新しい文化は生まれにくく、却って辺境の地から新しい風が吹く。これは芸術の歴史ではひとつの常識でもある。それに、20世紀に入って音楽は電波を通じてどこへでも届くようになり、洛中でも洛外でも情報は等しく受容される。日本中どこに住んでいても、今は熱意さえあれば田舎の人は東京人に負けない情報や知識が得られる。そのため、どこで生まれ育ったかは関係がないと言えるが、一方ではやはりどの土地の出身であるかは感性に影響を与えるから、ニュータウン育ちはそれなりの特徴、個性を持っているだろう。それがいいとかわるいとかの問題で捉えると、同じニュータウン育ちには歓迎されやすく、そうでない地域の人からはそうは思われにくいということになるだろう。ま、そこまでリッキーさんの音楽を深く聴き込む人があればいいが、ともかくニュータウン育ちということは彼の作品の本質を知る手がかりになるかもしれない。筆者がニュータウンで思うのは新世代だ。例のサカキバラ事件の犯人はニュータウン育ちだ。陰影の乏しい新しい街を象徴するような不気味な事件であったが、リッキーさんの音楽ものっぺりとして捉えどころのないものかと言えば、これは難しい問題だ。彼は40歳前後と思うが、ライヴハウスを中心に長く活動を続けており、また共演も多く、陰影豊かな生き方をして来ている。ニュータウン育ちの反骨と言ってもよい。つまり、サカキバラ事件の犯人とは真逆のヴェクトルだ。とはいえ、それは昔から陰影に富む地域で生まれ育った人とは違うヴェクトルでもあるだろう。何が言いたいかと言えば、ニュータウンが全国に溢れた時代に生まれ育った彼は、陰影に富む、つまり長年の伝統のある地域からの出身者とは違って、新時代をより代表しやすいということだ。つまり強みがあると自覚すればよい。もう少し言えば、サカキバラ事件の犯人とは違う意味で目立つ活動が出来得る。またそうでなければニュータウンは将来文化的には何も生まなかった不毛の地という評価になりかねない。もちろんリッキーさんがニュータウン育ちを標榜してその文化に旗を振ろうとしているのではないが、京都という非常に複雑な街にあって、洛西ニュータウン育ちは何らかの負い目を背負っているはずで、それを吉に転ずる活動を彼は思っているのではないか。
 彼は眼鏡をかけ、図太さが露わな風貌をしている。そしてギターを弾きながら歌うが、ドラムスも担当する。ドラムスは決まったバンド専属ではなく、多くのミュージシャンと共演している。そして彼自身も日本のフォーク・ソング以外に音楽の関心の幅が広いようだ。そのため、自作曲はある特定の尊敬する音楽家の影響を強く受けたというものではない。その意味ではニュータウン的に無個性と思われそうだが、ほとんど太い地声そのままで歌い、それでいて土臭さとは無縁でどこか洒落ている。それもニュータウンらしいと言えるかもしれないが、悪い意味ではなくい。2曲目だったか、ふとポール・マッカートニーを連想させたが、センスのよさはビンビンと伝わる。またそれが格好をつけた軽薄なものではなく、生活に密着している強さ、逞しさがある。京都らしいと言えばいいかもしれない。彼は今はニュータウンに住んでいないと思うが、その影響が音楽に出て来ているのだろう。日本のフォークは昔は四畳半の陰気さにたとえられたことがあるが、彼の曲にはそれがない。その点もある意味ではニュータウン的だが、1990年代的と言ってもいい。もっとも、筆者はその年代の日本の音楽をほとんど知らないが、何となくそう感じる。最初の曲はギター演奏のみで、ヨーロッパの東欧のどの国であったか、そこを旅した時の思い出だ。これが絵画的で、何となくその街の雰囲気が伝わってとてもよかった。もちろん暗さや寒さではなく、明るい感じだ。歌つきの曲は筆者はいつも耳をそばだてはするが、日本語であっても一度だけではなかなか聴き取りにくく、意味がよくわからない。その点では弦花さんの歌詞はこれまで聴いたシンガーソングライターの中では最もよくわかったが、これが歌詞の内容によるのか、発声によるのかとなればどちらもだろう。そしてシンガーソングライターが歌詞と曲のどちらを重視するかとなれば、当然どちらもと言うはずだが、リッキーさんは歌詞のない曲があることからして、曲が優先ではないだろうか。つまり、歌詞よりメロディを思索する時間のほうが長いのではないか。だが、これは彼の曲の歌詞が面白くないという意味ではない。一種の駄洒落的な曲名があるなど、独特の表現を心がけていることは伝わる。またギターはストロークをあまり使わず、ていねいに一音ずつを、しかも彩豊かに発する。これは京都らしくはんなりとしてどこか上品で、工芸的、職人的な奏法と言える。また、長年音楽家として活動するにはこつこつとやるしかないという姿勢が垣間見え、そこに頼もしさを感じさせる。多くのミュージシャンのバックでドラムスを叩くこともそうで、音楽に携わってしぶとく生き抜いて来た、これからも生きるという落ち着き、また絶えざる勉強という態度も感じさせる。CDを聴くともっと興味深いことがわかるかもしれない。
by uuuzen | 2019-03-19 23:59 | ●ライヴハウス瞥見記♪
●ぼったくりの松ぼっくり、その後4 >> << ●京都木屋町UrBANGUIL...

 最 新 の 投 稿
 本ブログを検索する
 旧きについ言ったー
 時々ドキドキよき予告

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
以前の記事/カテゴリー/リンク
記事ランキング
画像一覧
ブログジャンル
ブログパーツ
最新のコメント
言ったでしょう?母親の面..
by インカの道 at 16:43
最新のトラックバック
ファン
ブログトップ
 
  UUUZEN ― FLOGGING BLOGGING GO-GOING  ? Copyright 2024 Kohjitsu Ohyama. All Rights Reserved.
  👽💬💌?🏼🌞💞🌜ーーーーー💩😍😡🤣🤪😱🤮 💔??🌋🏳🆘😈 👻🕷👴?💉🛌💐 🕵🔪🔫🔥📿🙏?