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●京都NEGAPOSI(陰陽)にて、数えきれない
を開けて風を入れると花粉が舞い込み、くしゃみが出る。それでもたまには買い物に出かける必要がある。先日の火曜日はほとんど誰も見かけない桂川の土手を歩き、遠慮せずに大きなくしゃみを連発した。



鼻汁がたらーりと垂れることもあるが、そういう時に限ってティッシュがない。濡れた指先を風で揉み乾かしながら、同じ風で転がるプラスティックのビニール袋に考えを移す。プラ袋が誕生して半世紀は経つ。放射能と同じくマイクロプラスティックが地球上にくまなく行きわたり、人体に取り込まれるのは当然過ぎる。日本に何万軒かあるスーパーやコンビニで同じガーナ・チョコをちょこっと買えることや、TVに出る芸能人が日本中で知られるのも同じで、くまもんに限らず何でもどこでもくまんなく拡散する。ただし、このブログや今日取り上げる京都の女性3人組ロック・バンド「数えきれない」のようにその度合いがマイクロのものがある。それは人間が放射能やマイクロプラのように均質的ではなく、人によって好みが違うからだ。誰でもセックスは好きだろうと言う声がありそうだが、孫のような若い女を抱きたいえろうグロな爺がいれば、自慰で満足してネットで愚弄する者もいる。好みは先入観や知識不足によることが大きいが、そうであっても困らず、好みの壁を作って情報を篩にかける。誰でもそうするし、これから書くことも筆者の好みを反映する。さて、予備知識ゼロ状態でライヴに接した。金森幹夫さんは4年前に出た彼女らの初CDを所有するが、ライヴは初めてとのことだ。3人としては頻繁にライヴを行なっておらず、ネガポジは初登場だ。演奏後に金森さんから彼女らを紹介され、10分ほど談笑した。筆者の心に新たな小窓が開いて、くしゃみをせずに笑顔で接する。親近感が湧けばそれなりに書けばよく、客観性を考えない。ここまで書いて、「ハイックショーーーン、ズルズルル、こころ開ければ花粉風」と俳句風に息抜きして洟をかむが、花粉とは演奏中に彼女らを花にたとえたからでもある。筆者の眼前中央にベースの「あずみ」、左にドラムスの「やすよ」、右に12弦ギターの「むうとん」(3人とも以下敬称省略)が並び、やがて椅子に座ったが、最も話したのは「あずみ」だ。寡黙に直立不動で演奏する様子はビル・ワイマンを思わせた。3人の中では最も快活で、よく笑ってよく話し、たとえれば深紅のチューリップか。彼女は年齢を言ったが、30か40か忘れた。それはどうでもよく、50や60でも筆者は同じ態度で接した。読書は苦手だそうだが、「カラマーゾフの兄弟」を読んでいると言う。筆者はそれを途中で挫折したと明かすと大笑いされた。またブログを毎日書いていて即興の賜物と思える時があると話すと、彼女は自分の演奏にもそういうことがあると返した。金森さん曰く、彼女はアップライト・ベースを弾き、努力家、名手であることを思わせる。
 「むうとん」は寡黙でも饒舌でもなく、どこか女王的貫禄があり、彼女のミント色のギターのネックを見ながらゴクラクチョウカが似合うと思った。「むうとん」は「武藤」かと訊くと、そうだと言われた。バンド名の由来や12弦ギターを選んだ理由、エフェクターについてなど、質問にはみな答えるという気さくさを持ち合わせつつ、眼差しには静けさがあった。冷たさというのではない。たぶん帰宅時間を気にしていたのだろう。彼女は最終バスに乗り遅れると言って3人では一番早く店を出ようとし、金森さんと筆者も席を立った。時間を訊くと11時になっていた。「やすよ」は彫りの深い顔立ちで、ステージ上では西洋人に見えたが、3人では最も小柄であったのが意外で、やはりステージ上とは雰囲気が違う。変拍子の曲では合わせるのが大変と思うが、マレットで静かに叩くなど、繊細さを感じさせた。青いアリウムの花といったところで、それでドラムをそっと叩けば星型の小さな花がステージ上に散らばる。繊細さは他のふたりも同じだが、女性であるからというよりも性質だ。それに見栄えはカラフルで、サイケ指向だが、音楽性は60年代末期から70年代初期のサイケロックにほとんど該当しない。3人は北白川、北山、北大路に住まいがあり、いかにも京都らしいと言えばいいか、ごく常識的な上品さを持ち合わせていて、皮肉も言う風ではない。YOUTUBEでは色違い水玉模様の服を着るなど、衣裳戦略があったようだが、今回は黒を主体に形はまちまちであった。3人とも歌うが、最も歌うのは「むうとん」だ。おそらく大半は彼女の曲だ。また彼女のバンドと言ってよいが、対位法的な旋律をやすやすと奏でる「あずみ」の指の動きに見惚れながら、彼女の存在感の大きさも思った。ただし、その低音は筆者のパソコンのYOUTUBEではまるでだめ音(ね)で、ライヴの迫力が伝わらない。7年の間、彼女たちはおそらくほとんど同じ曲を演奏し続けて来たのだろう。そのためにとても手慣れていて、それはCDヴァージョンとはかなり違うのではないか。ライヴでは曲ごとの色合いが均質になりがちだが、その分迫力はあるはずで、次々に繰り出される変拍子やギター・ソロに瞠目した。歌はあまり聴き取れず、声に特徴はないが、繰り返される歌詞はどれも短く、そのシラブルが楽器演奏の旋律に合っていて、詞から旋律を導くのではないか。また歌詞に起承転結はなさそうで、俳句のようなごく短い言葉の連なりを10回近く繰り返す場合が目立った。その点ではミニマル的だが、音楽全体としてはそういう雰囲気はなく、チック・コリアなどのフュージョンに近い。あるいはむしろ60年代末期のキャプテン・ビーフハートだ。ギター・ソロのある場合は別として、どの曲もそう長くはなく、突如終わる点でもビーフハートに近い。ただし、彼女らはビーフハートを聴いていないだろう。
 ともかく、とても凝った音楽で、それが若い女性3人によってやすやすと奏でられ、ベイビーメタルのような意外な組み合わせの妙を感じさせる。決定的に違うのは、自分たちで好きなように作詞作曲して演奏し、アイドル路線ではなく、実力で勝負する逞しさがあることだ。東京で彼女らと同じ傾向の女性バンドがあるのかどうか知らないが、一方でレザニモヲを思い浮かべると、凝った曲を好む若い女性音楽家を輩出する革新性は、京都の伝統と思いたくなる。話を少し戻すと、金森さんは筆者のことを彼女らにザッパ本の著者と紹介した。すると「むうとん」は『ホット・ラッツ』、「あずみ」は「ホットドッグを描いたジャケットのアルバム」を聴いたと言った。筆者は「あずみ」に「ハンバーガー」の間違いではないかと指摘し、またザッパの88年ツアーに在籍したスコット・テュニスのベースがいいと伝えた。特にギター・アルバム『TRANCE FUSION」収録の「MARQUE SON‘S CHICKEN」で、この曲は同アルバムではタイトル曲となっている。ベースのみがザッパのギター・ソロ直前に動き回る様子やまたザッパのソロに絡む様子は圧巻だ。筆者は「あずみ」の演奏を聴きながらそれを思い出した。ネガポジでは7曲演奏し、最初の曲は「足音……」という言葉が繰り返されたが、この歌詞はYOUTUBEでも聴き取れない。エフェクターで歪ませたギター・ソロが長く、その点はサイケだ。2曲目は短く、ぷつりと終わった。3曲目はアルペジオのイントロで、「君が青ならぼくは赤」という歌詞があったが、「むうとん」のギターと「あずみ」のベースは青と赤であった。4曲目はユニゾンで張り切って歌い出し、変拍子が続いて短調から長調に変わるなど、ビーフハートっぽかった。5曲目もユニゾンで始まり、ギター・ソロもあった。「むうとん」は残り時間が短いので2曲は無理かと言いながら、金森さんが野次り。短い曲が2曲演奏された。6曲目はヴォーカルが目立ち、7曲目は「むうとん」はカポタストを嵌めて変拍子の曲を演奏したが、歌詞は繰り返しが多かった。この3人でなければ演奏出来ない曲ばかりで、即席に誰かが入ってジャミング出来るかとなれば、彼女らのことであるので、それは簡単であろう。ただし、そうすれば「数えきれない」の持ち味は少なくなる。短いが凝縮した曲として客体化することが彼女らの意図であるはずだ。そういう創作には熱意の高まりが必要だが、これは何かのきっかけで新たな窓が開いてそこから風が入り込むことであって、先日書いたように新たな刺激に反応することだ。ネガポジへの出演は彼女たちにそれがあったのかもしれない。毎月ライヴを重ねる一方、次作アルバムへの構想へと自らを駆り立てることで自ずと新たな出会いによる新たな窓が次々に開く。そこから花粉を撒けば黄金虫は無視しません。
●京都NEGAPOSI(陰陽)にて、数えきれない_d0053294_00022527.jpg

by uuuzen | 2019-03-08 23:59 | ●ライヴハウス瞥見記♪
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