踊るサンタの人形はクリスマスの季節にしか役立たない。ならば、踊る巫女さん人形を作ればどうか。とても日本的で外国人観光客に喜ばれるのではないか。
そう言えば十日ゑびすに訪れた昨日、四条通りから大和大路通りに入って露店を見ながら歩いていると、白い子犬が鳴く小さな人形が売られていた。似たものはよくあるので珍しくないが、それは人間がかける言葉によって反応が違うらしい。犬猫ブームなので、本物は飼えない人はそれで我慢するかもしれない。そう言えば8日に上桂の大きなスーパーに行った時、出入り口際の出店に寝姿の猫を模した人形が大小いくつか売られていた。誰が見てもかわいいと思い、立ち止まるが、サイズがネズミほどなので、本物そっくりに出来ていても違和感がある。またそのように丸まって寝る姿の猫は伏見人形にもあって、アイデアは新しくないが、新しい時代にどういうものが好まれるかがわかる点で興味深い。その一種のぬいぐるみ猫を考案した人は、伏見人形に同じ形のものがあることを知っていたかどうかだが、どちらであっても伝統の一部を継いでいるからには、古くて面白いものの中に新時代に大いに好まれるもののヒントがあると言える。つまり、人間は変わらない。さて、
今年も大晦日に年賀状の切り絵を作ったが、2,3時間かけて9割完成したというのに、下絵の
太陽の光線の等間隔であるべき幅をわずかに間違い、没にして作り直した。年1回の作業になっていて、視力の減退によって年々細かい作業をしにくくなっているが、今年は虫メガネを通してカッター・ナイフを使うことを覚えた。そうすると驚くほど細かい部分がよく見える。ハンコ屋がそのように印材を彫っていて、0.1ミリといった微細な部分を思いどおりに彫るには拡大鏡が欠かせない。筆者の切り絵はもっと大雑把なもので、裸眼で見える範囲の細かい絵柄にしているが、今年は罪悪感を抱きながら虫メガネを使った。それは自分が年々老いていることを認めたくないからだが、どうにか例年どおりの仕上がりになった。それをスキャンして年賀状に印刷し始めたのが夜の8時過ぎで、インク切れで青しか出ない。切り絵は赤茶と黄色の2色であるから、思いとは正反対の色合いだが仕方がない。また印刷し始めると、半分の面積ほど刷れたところではがきの動きが止まる。10枚ほどそのように失敗して印刷を諦めた。なぜ紙が詰まるのかと考えて、気づいたのはインクジェット用のはがきではないことだ。そのために滑りが悪く、途中で詰まってしまうのだ。どうすればいいかと考え、別の紙に刷ってそれを切り取り、はがきに貼ることにした。それで失敗した10枚も使えた。今年は60枚買ったが、喪中はがきが届いているので70枚は必要だ。昔の半分で、年々少なくなっている。いつか自分が死ねば、年賀状を交わしている人に喪中はがきが届き、その人は筆者と同じ感慨を抱く。
今年の年賀状の図案は30日の夜に思い浮かんだ。イノシシの干支となれば伏見人形などのイノシシがあるし、また
去年12月17日に書いたように、御所の蛤御門前の護王神社はイノシシで有名で、狛犬は猪となっている。そう言えば2日に初詣に出かける際、この神社のポスターを阪急嵐山駅の切符売り場で見かけた。12年に一度の亥年なのでお参りを願う宣伝だ。それはともかく、筆者はイノシシとなれば、十日ゑびすに行った際にほとんど必ず立ち寄る建仁寺塔頭禅居庵の摩利支天を思い出した。その境内には数対のイノシシの狛犬がある。それを最初に見かけたのは、家内によれば前回の亥年ではないかとのことだが、実際はもっと前で、このブログを始める前か始めた直後だ。なぜそれがわかるかと言えば、当時筆者ははがき大のスケッチブックを持ち歩いていて、摩利支天を南側の道路の向い側から鉛筆で描いたことがあるからだ。大きな提灯があるその南門のたたずまいは堂々としていて、描く気を起させた。だが、ゑびす神社で参拝を済まして訪れるのは、今日の最初の写真のように大和大路通り沿いの西門だ。またそこから入る人の方が圧倒的に多い。2枚目の写真はイノシシと朝日を描いた絵馬で、12年に一度の絵柄かどうか、今年は目を引いた。3枚目は数年前に気づいて写真を撮ってブログに載せた小さな地蔵の石像2体がまだそのままにあることと、くじがたくさんくくりつけられた様子が面白いので撮った。6日に筆者は家内と一緒に母の病院に見舞いに行き、その帰りの夕暮れに八坂神社にお参りをした。そこで今年を占うくじを買ってもよかったが、十日ゑびすに出かけた際、摩利支天で買うつもりでいた。何度も買えばどれが本当に当たるのかわからない。占いは信じないが、神社へのささやかな寄付と思えばよい。買ったくじについては明日書くとして、年賀状の図案に使ったコマイノシシはネット写真を参考にした。昨日はその実物をそっと撫で回し、また思ったよりも小さいことを実感したが、その写真は明日載せる。それはともかく、元旦に届いた年賀状の中に出版社からのものがあり、そこに「今年は勝負します」とあった。筆者は年賀状を届いた年賀状を見ながら元旦に書いたが、裏面の切り絵図案の下に何を書こうかと思い、その「今年は勝負します」をいただくことにした。というのは、摩利支天はインドの神様で、陽炎の化身とされ、日本では戦国武将が信仰したが、陽炎は実体がなく、捕らえられて傷つけられることがないからだ。つまり、勝負の神様だ。また日天の眷属で、イノシシに乗って日天より先走りしている。それで摩利支天堂にはコマイノシシがたくさんある。切り絵は以前よく使った太陽を日天のつもりで正面上部に描いた。また肝心の摩利支天は禅居庵のものではなく、フランスにあるインドっぽいものを描いた。