九日の宵ゑびすがいいかと思っていたが、今年は今日になった。午前中に高槻に住む家内の妹が京都高島屋7階で開催中の天皇陛下の無料展覧会を見たいというので電話があった。

家内は今日は筆者の母の病院見舞いに行くかもしれないので一緒に行くことを断ったが、1階に下りてその話を聞いた筆者は、6日に見舞いに行ったばかりで、今日は別に行かなくてもいいので、義妹を誘えばと言った。電話するとすでにいない。京都が駄目なら大阪に出ると家内は聞いていたので、たぶんもう家にいないと言う。15分ほどしてもう一度電話することを勧めると、義妹は家にいた。それで四条河原町の高島屋で待ち合わせをして家内と出かけた。展覧会は6日に外出した時、家内が見ようと言ったが、筆者は興味がないと言ってそのまま帰った。だが、今日見たその展覧会はなかなか興味深かった。そのため、いずれ感想を書くかもしれない。それはさておき、展覧会の後は十日ゑびすに行くと義妹伝えてあったので、3人で出かけた。これまで何度かブログに書いて来たのでもう書き足すことはないが、写真を2枚だけ撮ったのでそれを載せつつ、適当に書く。十日ゑびすと言えば沢辺さんを思い出す。四条通りから大和大路通りに入って5分ほど歩くと、通りに面して十日ゑびすの期間中のみガレージ・セールをしている家がある。そこに沢辺さんが毎年ガラクタを並べている。以前の沢辺さんは手作りの帽子も売っていて、筆者はふたつ注文して作ってもらったことがある。そして今年は筆者と家内がそれを被って訪れた。沢辺さんに帽子はもう作っていないのかと訊くと、そうだと言う。その代わり、手元のいろんな布地を使ってバッグを作っている。それが10個ほどあって、安いものは2500円、高いものはその倍程度の値札がついていた。義妹は大きな額が気に入り、重たいのにそれを買った。そして筆者がそれを持ったが、筆者は何も買わなかった。新品のアクリルのはがき立てが10個ほどあったが、縦横18センチあればほしかったのに、幅はちょうど15センチで、一辺15センチの色紙で作っている切り絵を入れると幅がいっぱいになる。もうひとつ気になったのは、小型の三脚で、新品同様が1000円であった。今すぐ必要ではないが、ネット・オークションで買うと送料でそれだけはする。沢辺さんとは去年は話をしなかったので、ちょうど2年ぶりだが、もう7、8回は会っているので顔を見ればお互いすぐにわかる。それに後で家内と話したが、沢辺さんは不思議と年を取っていない。一緒に品物を売っているもうひとりの女性もそうだ。筆者はまだ沢辺さんに言っていないことを思い出した。1年ほど前、西京区役所のすぐ近くで沢辺さんの畳店を見かけたのだ。それがご主人が経営する店かと訊くと、いとこの店とのことだ。

沢辺さんの家は建仁寺のすぐ近くなので、寺からの注文があるのだろう。そう言えばゑびす神社に着くまでの間、別の畳屋が2軒ある。西京区役所の近くには大きな寺はないが、桂一帯の住宅地から受注しているのだろう。とはいえ、近年建つ家に畳の部屋はとても少ないか皆無ではないか。20分ほど話をして沢辺さんのガレージを後にすると、家内は2階の畳を入れ替えようと言う。同じ言葉を毎年聞くが、襖も破れたままにしていることは先日書いた。それに畳を入れるとして、左京区のとある知り合いに頼むつもりでいる。そこもそれなりに有名な店のようで、また若い主が骨董を扱っていて、話が合う。とはいえ、畳を入れ替えるのは大きな祝い事があればのことだ。それに、フローリングにしてある隣家の2階を畳の部屋に戻すことも考えているが、家内はそれはそのままでいいと言う。それはともかく、今日出かけた最大の理由は建仁寺の塔頭の禅居庵に行くためだ。そしてその横断幕がゑびす神社の鳥居前に近づいた時に向こうに見えた。それが今日の最初の写真で、向こうからやって来る人の顔が左右に大きく入ったので、写真中央をトリミングして縦長に加工した。ゑびす神社の境内は割合空いていた。夜になると多いのかもしれない。猛烈な寒さではないのに人の出が少ないことはやはり不況か。筆者は毎年この神社の何が楽しみで訪れるかと言えば、今日の2枚目の写真のように、本殿南の社務所内で客が買う笹の束を前に巫女が神楽に合わせてくるくる舞いをすることだ。今年もその様子を撮ったが、舞う女性は毎年変わるのだろう。それに一番の稼ぎ時の十日ゑびすには、アルバイトも雇うだろう。先ほどNHKのTVニュースでこの神社の巫女舞いの様子が映った。やはりこの神社の一番の見物のようだ。だが、筆者は笹を買ったことはない。商いをしている自覚がないからでもある。それでは商売繁盛のこの神社を訪れる意味がないが、雰囲気を楽しむのが好きなのだ。大和大路通りから本殿までの参道は30メートルほどで、その両脇に屋台が並んでいるが、北側のとある屋台の向日にゑべっさんの古い石像がある。新しい像もあるはずだが、今日は確認出来なかった。屋台の向こう側に行きたいのに、それがほとんど無理なほどに屋台が遮っていた。それで石像だけは屋台の隙間からどうにか確認出来た。それには1円、5円、10円の硬貨がたくさん貼りつけられたり、膝に置かれたりしていた。義妹は商売の神様であるからには拝んでおくと言った。義妹の夫は筆者と同じ67歳だ。2、3年前に癌が見つかり、抗癌剤を打ちながら寿司屋を経営している。義妹はとても心配しているが、今日は久しぶりに京都に出て来たこともあってとても陽気になっていた。身内とはいえ、会える時に会っておかなければ、残りの人生で何度会えるかわからない。一期一会を今年はさらに気にかけよう。