●『WE‘RE ONLY IN IT FOR THE MONEY』モノラル盤、その1
とカビが似たようなものと言えば苔をコケにして悪いか。苔はコケであるからそれも仕方ないと思うが、違う漢字をあてる。



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長年開かない本はカビ臭い場合があるが、インクの香りがする場合もあることを最近知った。50年ほど昔の洋書だが、前の所有者はほとんど開かなかったらしい。カビ臭くないのはフランスにずっとあったからだろう。苔やカビがよく生えるのは湿度の高い日本特有のことではないか。さて、今日から3日間は先月28日に届いたザッパのアルバム『WE‘RE ONLY……』のモノラル盤について書く。まだ聴いていないので今日は音以外の話をするが、この新譜は去年11月3日の「レコード・ストア・デイ」に世界で4000枚限定で発売された。前回の『LUMPY GRAVY』と同じく、筆者がebayで買ったものにはその刻印がない。これが不思議だが、4000枚以上売れたので追加の分には番号を記していないのかと想像している。ビートルズの『サージェント・ペパー』のアルバム・ジャケットをパロディにした雷の夜の人物集合写真は、これまで見開きジャケットの裏表を逆にして発売されて来たが、今回LPとしては初めてシュリンクした状態でパロディであるとわかるように人物集合写真が表側になった。この措置は正しく言えばRYKOから出た『LUMPY GRAVY』とのカップリングで1枚のCDとなった時が初めてだが、その時はアルバムの題名が刷り込まれていた。LPで初めて『サージェント・ペパー』のパロディであることがわかるようになった発売は2年前のステレオ盤で、それを筆者は買っていない。その時はピクチャー・ディスクで、今回も同じ写真を使ったピクチャー盤となっている。ステレオ盤があればモノラルは必要ないかと言えば、ザッパはビートルズの場合と同じく、ステレオ盤用の音源をそのままモノラルにはしなかったので、熱心なファンはどちらも買うだろう。一方、10年前に3枚組CD『LUMPY MONEY』が発売され、そこにモノラル音源が収録されるので、今回のLPはよほど熱心なファンしか関心がないと思うが、筆者はこのブログのためもあって買った。それに『LUMPY MONEY』のモノラル録音と違って、去年新たにバーニー・グランドマンがマスタリングをしている。それがなくてもLPであるからにはCDとは音がいささか違うだろう。これは昨日のTVで見たが、LPの人気が高まっていて、日本のプレス工場では防塵服を着てプレス作業を行ない、そうして製造したレコード盤は埃が混じっていないため、プレイヤーで鳴らすとチリチリとした音が聞こえないという。これはCDの特長をLPにもほしいという考えに沿った新たな製造方法だろうが、長く聴き続けると針で盤が削れて雑音は入るはずで、レコード会社にすれば売るための新しい何かがほしかったのだろう。
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 『サージェント・ペパー』は2年前に発売50周年記念としていろいろと新しい盤が出た。その中で少し気になっているのは、ミキシングを変えた盤だ。他人がそれをしてポール・マッカートニーが許可したというのであれば、ポールが亡くなると文句を言う者は誰もいないとばかりにレコード会社はさらに突飛なことを考えるだろう。ザッパの今回のモノラル盤も商売臭が漂うが、ザッパが遺した音源をそのまま使っているのでまだビートルズ商法ほどではない。それに筆者が今回楽しみにしたのは、相変わらず『サージェント・ペパー』のパロディが生きているからだ。それはピクチャー・ディスクとして選ばれた2枚の写真で、そのまま『サージェント・ペパー』のピクチャー・ディスクを模倣している。今でもビートルズ人気に比べてザッパのそれはごくささやかなものだが、一昨日筆者は若い女性が「フランク・ザッパ」という名前でツイッターをしていることを偶然知った。『サージェント・ペパー』は知っているが、『WE‘RE ONLY……』の今回のジャケット写真を知らない人は、そこにどのような音楽が詰まっているかと、怖いもの見たさを感じてほしい。もっとも、怖いものであるから、わざわざ買って聴きはしない場合がほとんどであろうし、またビートルズ最高と思っている人には理解不能な内容だ。そう言えば会場か忘れたが、金森幹夫さんが武田理沙さんを招いての一連のツアーで筆者にザッパの魅力を質問した若い男性がいた。筆者が苦手な質問で、適当に思いつくまま答えたが、彼は何もわからなかったに違いない。またわかる必要もない。世の中に理解出来ないことがあるのは当然で、ザッパの音楽をじっくり聴かずして、筆者から魅力を聞いてわかった気になるのはよくない。1970年代前半、筆者はザッパの音楽を数回聴いてよさがわからなかった。せっかく買ったLPなので元を取らねば損という気持ちが当時大きかったので、繰り返し聴いてようやく味がわかった。今はそういう根気のある若者は少なく、それでサビから始まって最後までサビだらけの曲が歓迎される。感動を強いるそうしたサビサビの曲はあまりに即物的で筆者にはとても退屈だが、若者はそれがあたりまえと思い、そういう音楽とは異質な音楽を否定するだろう。本人がそれでいいと思って気分よく聴いているのであるから他人がとやかく言うことではないが、筆者がひとつ言いたいのは、筆者がビートルズを聴き始めた頃、周囲の誰もそれをいいとは言わず、不良の音楽であるとして盛んに非難されたことだ。ザッパを聴き始めた時も筆者の周りには、エリック・クラプトンに心酔はしても、ザッパに関心を抱く音楽ファンはいなかった。その理屈で言えば、今ほとんど誰も聴いていない音楽の中から秀逸なものを見出したい。それは大多数に反旗を翻すことで勇気がいるが、今はそういう半期を翻す者を徹底して叩く嫌な時代だ。
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by uuuzen | 2019-01-01 23:41 | ●新・嵐山だより(特別編)


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