買ってまで飼おうと思わないのがペットだ。筆者は子どもの頃から自宅で動物を飼ったことがない。野良で雑種の犬や猫は近所にたくさんいたし、ネズミをよく見かけ、昆虫を見る機会も多かった。

TV番組の影響で飼い犬はコリーやシェパードが多く、スピッツも目立ったが、ウサギや鶏を飼う人もいた。また子だくさんの時代で、ペットを飼う人は今よりはるかに少なかった。家内の弟が有名な食品会社に勤務していて、ここ10年ほどはペット・フードで儲けていると聞く。それほどにペット・ブームで、各地の街中にフクロウ喫茶店が出来るなど、動物に心を癒してもらいたい人が増えた。ペットは裏切らず、人間は信頼出来ないということだろう。寒くなって来たここ10日ほどは、メダカは餌をほとんど食べ残すので、あまり与えないようになった。動きの鈍さは寒さのせいだろう。暖かい部屋で買えば活発に餌を求めるかどうかだが、そうではない気がする。メダカも季節を察知し、冬はじっとして食欲が進まないのではないか。ところで、先月18日に家内と茨木の万博公園の民族学博物館に行った。当日は無料観覧日で、自然公園やその中にある日本庭園、それに民藝館にも入れた。ただし、みんぱくは常設展示のみ無料で、持参した企画展のチケットは無駄にならなかった。それはさておき、前回万博公園を訪れたのは4月5日だ。その時、いつものように無料で見られる民藝館の売店を入るために、裏手の門から庭へと入った。そこには直径1.2メートルほどの大鉢があって、10匹ほどのメダカが勢いよく泳いでいた。その様子をしばし眺めて楽しかった。青空の下のたっぷりとした水の中で、食べられる心配なく泳ぐことは、メダカにとって幸福だろう。おそらく放置で、餌は与えられていないだろう。その鉢は夏には蓮が咲くが、虫が飛来して水の中に落ちることがあるはずで、餌となる動植物に事欠かないと思える。先月13日は民藝館に近づくにつれ、そのメダカを思い出し、また裏門から入ってその鉢をまず見た。そうして撮ったのが今日の写真だ。寒さが近づく季節で、メダカの動きはやはり鈍かった。自治会住民のOさんは、玄関前の小さな火鉢にメダカを飼っているが、無視状態で餌をやらない。真冬には水の表面に氷が張るが、その下にしっかりとメダカは生きている。鉢にはホテイアオイが生育し、水が濁り過ぎることはないようだ。筆者も同じような磁器製の火鉢を持っているので、発泡スチロールの容器ではなく、その火鉢にメダカを移そうと、10日ほど前にその火鉢をきれいに洗ったが、メダカの姿が見えにくいので使わないことにした。生きている姿を見れば安心する。それがペットを飼う人の心理の根本だろう。だが筆者がメダカを飼うのは家内が友人からもらって来たからで、それが生きている間は世話をせねばならないとの思いだ。その世話が毎日の習慣になると、苦にならない。