●渡月橋下流側欄干修復、その9
都して東京に何もかも行ってしまってから150年経ち、文化庁だけは京都に戻って来るようになった。京都に国宝が最も多いかと言えば、これは東京で、文化庁の京都移転は関西の文化の中心という見方による。



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京都の中心がどこかと言えば、祇園祭りの山鉾巡行がある範囲と捉えてよい。筆者の住む嵐山は西の果てで、西山が間近に迫っているため、今の季節は日暮れが早い。それが嵯峨の有栖川近くでは西日がより長く差す。そのことを今日は実感した。散歩をかねて3時過ぎに嵯峨のスーパーに買い物に出かけ、帰宅したのは4時半だが、帰り道で渡月橋をわたっていると、下流側の上空に大きな虹が見え始めた。橋をわたり切る直前にさらに鮮明な半円形になったが、その時間は数十秒で、大勢のひとがスマホを空に向けて撮影していた。阪急嵐山駅前近くに着くと、虹の末端部のみ微かに見えた。出かける前、カメラを持って行こうかと迷いながら、3階にあることを知っていたので手ぶらで出かけた。撮るものがないと思った時に限って目につくものがある。今日はその虹のほかに撮影したかったものが2,3あった。それは虹の真下の桂川だ。帰り道ではもう作業は終わっていたが、往路では筆者はしばし橋の上で立ち止まり、大型ショベル・カーが勢いよく川底の大きな玉石を移動させている様子を見下ろした。重機のアーム部分にはキリンになぞらえたかわいいイラストが描かれていた。それが珍しく、またその重機の周囲にたくさんの白鷺がいたことも目を引いた。帰り道でも同じように渡月橋の欄干に手をつきながらその鷺の数を何度も数えたが、15羽いた。そこにもっと大きな五位鷺が1羽混じっていたが、中ノ島公園を歩いていると2羽が筆者の真上を飛んで行った。白鷺は重機がかき回す水溜まりの魚を狙っているようで、重機が移動するたびに鷺は迷惑そうに数メートル移動し、また重機のそばを離れようとはしない。水の流れが急なところよりも、澱んでいる場所の方が魚を見つけやすいのだろう。渡月橋のすぐ下流で重機が動き回っていたのは、台風24号による川床の被害の修復だ。丸太を方形に組んだ中に大きな玉石を嵌め込んでいた蛇篭がかなり損傷を受けた。それに今は水位が下がっているため、また水の流れが川の北側に寄っていることもあって、南側はなおさら川床が目立つ。その様子を1か月ほど前に撮影しておいたが、使わないと思って消した。同じ頃に撮った「ぼったくりの松ぼっくり」の3枚目の写真にはその川床が少し見えている。わかりにくいが、玉石を敷いた区画がそのすぐ下流側とで大きな段差が出来ていて、写真ではそれが橋脚の基礎に接して黒い横筋に見えている。その段差はかなり無残な印象を与え、それで筆者は撮影はしたものの、ブログに使いたくないと思った。
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 「ぼったくりの松ぼっくり」についてはその後気になっているが、今日は確かめた。すると、松ぼっくりの破片すらなかった。隣家にはスーパーの袋からはみでるほど松ぼっくりを拾って置いてあるので、前に書いたように観光客が途絶えた真冬にこっそりと長方形に並べるつもりでいる。さて、昨夜は「風風の湯」に行き、相変わらず客がとても少なかったが、サウナ室で81歳のMさんとのふたりだけになった時、「最近姿を見かけないとみんなで噂していたんだけど、久しぶりだね」と言われた。先週金曜日の夜は嵯峨のOさんを間にして筆者とMさんの3人だけでサウナ室で汗をかいたが、その時はほとんどMさんと話さなかったので、Mさんは気になっていたことを昨夜筆者に言ったのだ。筆者は「1週間ほど最終電車で帰っていましたから…」と理由を言ったが、「風風の湯」は午後すぐに利用していた。その時間帯に入るのは初めてのことで、同じ湯舟が違って見えた。また常連客とわかる人を数人見たが、サウナ室で一緒であったふたりはいかにも夜の商売をしているという雰囲気で、夕方に出勤するのだろう。時間帯が違うと出会う人が違い、たまにはそういう経験もいい。そのことでひとつ思い出した。3週間ほど前、家内と大阪の住之江に行った。用事めいたことを作ったのだが、梅田から地下鉄の御堂筋線に乗って扉際に立つと、斜め向かいに座る若い女性の視線を感じた。30代半ばであろう。やや困惑したような顔つきながら、筆者の方に顔を何度も向ける。立っていたのは筆者だけだ。いいように解釈すれば筆者は彼女のかつての恋人に似ていたのかもしれないが、悪いように思えばセクハラした上司にそっくりであったかもしれない。そういう場合、男は必ず自惚れ、そして「自分に気があるのか?」と思うものだが、彼女がもしもそうであったら、筆者はたちまち宙を羽ばたいてしまいそうなほどの魅力的な女性であるから、また同じ時間帯に御堂筋線に乗ろうかと思ったほどだ。ジーンズに白のスニーカーを履き、細身で長身、黒髪が長く、60年代末期つまり若い頃の女優のオリヴィア・ハッセーの顔立ちを少し思わせたが、絵を描いているような物静かで控えめな感じがした。筆者は美女を一度見るとその顔を何年も覚えているが、彼女は見たことのないような個性的な顔と雰囲気で、そのオーラに一瞬で釘づけにされた。客が多ければ家内に伝えたが、その時はそのようなことをすれば彼女はただちにそのことに気づいた。筆者らは大国町で乗り換えるために下車すると、彼女を載せた電車は動き始め、彼女の姿が一瞬見えた。だが、もう永遠に会うことはない。同じことをボードレールは書いた。人間が溢れ返る都会ではそういう出会いの可能性は大きい。そしてその一度見ただけであれば、別れも同様に多いことになるが、出会った印象は何年も残る。
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 筆者の姿がしばらく「風風の湯」で見えなかったことを常連の間で噂していたことを81歳のMさんから知ったが、3か月も姿を見なければ死んだと思われる。それは見方によれば真実だ。姿が見えなくてもどこかで生活していると思えばいいが、その体で言えば、死んだ人でもどこかで生きていると思えばいいし、実際誰しもそのように考えることはある。となれば、生と死の差は、自分が触れられるほどの近くに相手がいるかどうかだ。そうでなければその相手は一時死んでいるとも言える。触れられるほどの近くにいる実感を、記憶として反芻することは可能だが、その空想と現実にはやはり差がある。それを強く思う人は、たとえば先日報じられた、ある男優に接近し過ぎて迷惑をかける女性ファンだ。空想では我慢出来ず、現実として憧れる対象の体温がほしいと思う。それでセクハラやそれに似た行為が毎日どこかで生じるが、それは振り向いてほしい相手ではないからで、双方の思いが一瞬で響き合うことは少ない。それで前述の地下鉄で見かけた女性が筆者を盗み見しながら、なぜもじもじとどこか困惑したようであったのかと気になるが、筆者は男であるから、彼女と親しく話すことが出来ればきっと楽しいだろうなと思う。だがそれは空想であり、現実となる可能性が皆無であることを知った諦念を最初から抱いている。そういう気楽さは年齢を重ねて増すかと言えば、ある程度正しいが、老人がセクハラで訴えられることが多く、人によりけりとしても安心は出来ない。版画家の門坂流さんが男女の激しい情愛を「磁石がくっつくみたい」と表現していた。と、ここまで書いて門坂さんのことをネット検索すると、4年前に65歳で亡くなっているではないか。筆者が最後に会ったのは京都三条寺町の画廊で、6、7年前か。その後なぜ京都で個展がないのかとたまに思い出していたが、それが開催されなかった理由がわかった。初めて出会った場所は平安画廊だ。筆者が扉を開けて画廊奥に進み、画廊主の中島さんそのソファに勧められて座った後、門坂さんは筆者のことを「一瞬で只者ではないことがわかりました」と言ってくれた。それから話は大いに盛り上がり、平安画廊が閉鎖された後、前述の別の画廊で個展が開かれた時も話が弾んだ。胃癌で亡くなったことは、銅版画では最も根を詰め、また緊張するエングレイヴィングの技術で制作していたことから何となくわかる気がする。とはいえ、山登りもよくし、その話もいろいろと聞いたので、運動不足ではなかったであろう。81歳のMさんは先日奥さんを連れて小倉山から清滝方面を歩き、奥さんは若い頃の山登りを思い出したそうだ。一昨日Mさんは子どもの頃、海で20や30キロを泳いだと言ったが、「今の都会育ちは山登りも水泳もほとんど出来ない」とつけ加え、筆者は耳が痛かった。今日の写真は10月6日の撮影。
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by uuuzen | 2018-11-14 23:59 | ●駅前の変化


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