●音楽の作り手と聴き手とJASRAC
可を得るには金を払えというのはわかるが、自分の曲を演奏するのに日本音楽著作権協会つまりJASRACに支払う必要があるという意味がわからない。



先日、金森幹夫さんからJASRACについての話題が出た。それが気になっていて、今日は筆者の素朴な思いを少し書く。確か今年になって子どもの音楽教室からもJASRACが著作権料を徴収するというニュースがあった。JASRACは一般社団法人で、役所ではない。一般社団法人はふたりいれば誰でも設立出来る。となれば、JASARACに対抗する同じような一般社団法人がたくさん登場してもよさそうだが、そういう話は聞かない。また出来たとしても歴史のあるJASARACにかなわないのだろうか。ともかく、著作権は作者にある。それをJASRACが、作者とその音楽の使い手との間に割り込んで著作権使用料を徴収し、その金額を作家に配分するというのは、ありがたいと思う作家が大半であるかもしれないが、JASARACの社員を食わせるために自分たちは音楽を作っているのではないと思う人も多いのではないか。そこでJASRACの社員の給料を調べると、30代半ばで一般サラリーマンの平均年収より300万円多く、700万台の半ばだ。それほどの年収のある音楽家はごくわずかであろう。JASRACはうまい儲け口を恒久的に見つけたのであった。それでヤクザのようだと言われる。徴収して配分するには人の手が必要なので、その間に入る人の生活が大事という考えは、役所特有のものだ。「風風の湯」の常連の81歳のMさんは、赤い羽の共同募金には否定的だ。それは宮家を東京の高級ホテルに招いて盛大に式典を挙げるなど、民間から募った募金を食い物にしていることが許せないからだと言う。それもJASRACと同じ構図で、広く薄く金を集めた者が、それを分配する代わりにおこぼれに預かろうとする。まことに卑しい考えと言えなくもなく、本来募金はそのままそれを届けたい相手に全額支給すべきで、それが今盛んに言われている仮想通貨の仕組みであるブロック・チェインを使えば実現するとのことだ。そうなれば共同募金の偉いさん方はおこぼれがもらえなくなるが、おそらくブロック・チェインの仕組みに入り込んでもっと巧妙に吸い取るだろう。だが、どのようなことも功罪があると考えれば、そういう一種の寄生連中の存在は仕方がない。だが、JASRACの社員の給料が一般よりも高いのはおかしい。社団法人は蓄財が許されないので、それで年収を取れるだけ取ろうという考えかもしれない。ともかく、筆者はJASRACのことを思うと、まずその取り立てる人たちの給料を思う。集めて分配するにしても、その基準はどうかという問題もあり、音楽家から非難の声が沸き起こっているのであれば、さて文化の発展にどれほど寄与しているのかが疑問だ。
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 作詞や作曲をした者がその報酬を受ける方法は、昔は楽譜を売るか、人前で演奏するしかなかった。人に教える教授料も加えてよい。ところが録音が発明され、レコードという商品がそこに加わった。レコードを買った人がそれをたとえば自分が営業する店に流すと、著作権料を支払わねばならない。そのことはわかるが、一方ではネットではYOUTUBEで無数の音楽や映像が流れ、それらは無料で見られるから、大きな矛盾がある。ただし、YOUTUBEの違法性は完全に白黒の決着がつけられず、著作権を侵害して投稿する者が悪く、また指摘があれば違法な投稿は削除されるようになっている。とは人手が足りないこともあって、削除してもすぐにまた投稿され、野放し状態は今後も続くはずだ。また、アメリカの音楽著作権団体がYOUTUBEを訴え、広告収入を確保してそれを作詞、作曲家、演奏家に支払うという方法で合意したと思うが、すべての違法投稿が広告つきではない。日本ではJASRACがYOUTUBEを訴えているかと言えば、国境の壁があってこれはアダルト・サイトの問題と同じだ。そのように、ネット社会になっていろんな矛盾が出て来ているのに、人海戦術によってJASRACが著作権の使用料を徴収するのは、時代にそぐわない。それでロボットがいつか代行すると思うが、そのロボットをJASRACが管理し、いつまでも作家をだしに生きる連中はいなくならない。小さな音楽教室から徴収するのは零細企業いじめという指摘がされるが、JASRACは教育の観点からいいことかどうかを考える心の余裕がないのか。これは消費税と同じく、貧乏人も金持ちも一律であるから平等という考えに酷似しているが、収入の少ない者ほど消費税は生活に圧迫感があって、全員に平等とは言えない。こう書けば、貧乏人は自己責任でそうなっているだけで、努力が足りないと発言するのが必ずいる。ところで、JASARACの社員は、音楽を愛し、音楽家の生活を支えるという気持ちは正直なところほとんどなく、音楽家になれなかった者か、あるいは役所勤めに失敗したような者だと想像する。そういう冴えない連中は文化を理解せず、文化人に寄生して生きて来た。役人はみなそうだ。科挙に通って宮中に参内した中国の役人は、引退後は本を書いて死ぬことを理想とした。もっとも、そうでないろくでなしが何千、何万倍も多かったので、王朝は頻繁に交代したが、そのことから今の日本を思うと、東大卒の役人や議員がみなろくでなしで、詩どころか文化の重要性がわからず、自分の金儲けのネタとしか思っていない。自然災害によるのではなく、日本は崩壊が始まっている。それは役人や議員のせいだけではない。音楽界、芸能界は手変え、品変え、アイドル商法で子どもたちから金を巻き上げることに巧みで、まともな大人が聴く音楽が埋もれる。
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 四半世紀ぶりだろうか、先日梅田のALWAYSで会ったE君だが、その前に電話で話した際、音楽は60年代が一番よいということを口にした。筆者はそれに同意したが、音楽がその後つまらなくなったとして、その理由は何か。またつまらなくなったと言えるか。筆者はそれなりにその後の新しい音楽を聴いているし、より新しい音楽から60年代を眺めると、いいにはいいが、古いと感じる。今は今の音楽があり、その玉石混交の中から玉を見つけたい。もちろんその玉はほとんど石に近いが、それを磨くのは本人と周囲の人間の力、つまりファンだ。それには出会いという運が必要だ。筆者はたまたま1972年に田中正美というDJがFM放送で流したジョンとヨーコとザッパの共演を聴いてザッパに関心を持った。その出会いがなければザッパの音楽を深く知らないままであった。今の音楽にそういう幸運が生じればと思うが、年齢を重ねて頭が固くなっているので、新しいものを受けつけにくい場合がある。今を生きているのであれば、今の文化に関心を抱くのがよい。だが、そういう熱心な老人は稀だ。文化が必要と思いつつ、文化は周囲に溢れ過ぎ、たとえば筆者は10回生まれ変わっても読めないほどの本に囲まれているし、買ったまま何年も聴いていないCDが山積みされている。運があって買った本やCDでも、さらなる運がなければ愛好すべき存在にはならない。そのことを自覚しつつ、その出会いという運を看過しないことを自戒したい。また、CDは作品ではあるが、作者の魂を感じ取ることは必ずしも容易ではない。演奏すると同時に消えてなくなる音を記録する方法を発明した人間は、その記録したものを真の音楽と勘違いしがちだ。そういう複製物は作者のアウラが減じると書いたベンヤミンの思いを忘れては、ただの呪物愛好家になりかねない。今なお、演奏した途端に消える音楽行為に勤しむ者がある。それに触れると、一度限りの人生が再認識出来る。神戸のBig Appleで金森さんは客を前に言葉に詰まった筆者に、かつて筆者が書いたマウリツィオ・カーゲルのコンサートの感想を話題にした。金森さんがそういう昔の文章を読んでいることに驚いたが、その時の京都でのカーゲルの演奏は一生思い出に残るもので、CDでは全く味わえない。金森さんがライヴハウスに通うのはそういう感動を日常に増やしたいからだ。もうひとつ書く。京都ZacBaranでの須山公美子さんは、演奏の途中で「ああ、間違ったわ」と言って、演奏を中断し、そして「間違っていなかった」と言い直して演奏を続けた。そのミスがあることによってより人間らしさが伝わった。レコードやCDにはない作られた完璧さとは違うものが生演奏にはある。もちろんそこにもJASRACは毎度と言いながら集金に参上する。今日の花の写真は「文化の日」に撮った。
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by uuuzen | 2018-11-07 23:59 | ●新・嵐山だより


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