●ライヴハウスを出た後で
面に響く足音がよく聞こえる夜更けの京都の街を、熊野神社前から四条河原町まで歩いた。3日のZacBaranでのライヴの後のことだ。今日は昨日の続きのようなことを書く。



ところで、先月25日の満月(ムーンゴッタ)の夜から明日で2週間だ。金森幹夫さんが企画した武田理沙さんの関西初の「ザッパ・メドレー」のピアノ・ソロの一連のライヴと、それから生じた縁についての感想もそろそろ尽きて来た。何度も書くように、レザニモヲとニエリエビタさんのCDと生演奏についての感想はいつかまとめるとして、ブログの投稿はまた身辺雑記に戻る。その前に今日はエピローグめいたことを書く。そうそう、下に載せる写真のニエリエビタさんは、演奏が終わった後、普段使っているノートを薄暗がりのテーブルに広げた。とても細かい文字がびっしりと埋まり、筆者は虫メガネを使わなければ読めない。そのような細かい文字でなければすぐにノートを使い切るそうだ。作詞のアイデアなどが書き留められていると思うが、手元に適当な紙がなかったので、彼女との話の流れで筆者はそのノートに図入りで少し書き散らした。せっかく彼女が細かい文字で整然と書いているところに落書きして、悪いことをした気分だ。それはともかく、そういう大量のメモの中から歌いたいことが浮かんで来るのであろう。作詞に使う語彙を増やすには、本や人と接する経験を増やすしかないが、好きな言葉というものが誰にもあって、たとえば須山公美子さんは星や月といった言葉が好きだと演奏の合間に話していた。いかにも女性らしいが、男でもそういう言葉を好む人がある。どちらかと言えば筆者もそうだ。中国の唐時代の詩人の漢詩の一句に、「花迎剣佩星初落」という言葉がある。この書の掛軸を2週間前に1階のTVの横に吊り下げた。「花」と「星」が入っていて、まるで宝塚のようだが、筆者はこの言葉を大いに好む。星が落ちて、つまり夜が明けて、正装で参内すると、そこに花が咲いていたという情景を詠む。「初」をどう解釈するかだが、これは参内する初めての朝のことだろう。今でもサラリーマンが初出勤する時はスーツも気分もまっさらで、身が引き締まるだろう。それを思い出したからではないが、金森幹夫さんが筆者を人前に引っ張り出すというせっかくの機会であり、せめて気分だけは麗しく保ち、また花に出会えるという思いを抱くことにした。そして、この2週間はそれが実現した。ところが、気になったことがある。ライヴからの帰りはいつも深夜であったことだ。それが嫌であったというのではない。昔と違って筆者は終電で帰宅することがなく、珍しい経験をした気分だ。それに名張に住む金森さんはいつ頃帰宅出来たのかと思う。また、演奏者は後片づけなどがあってもっと遅く、それで別の仕事を持っている場合は翌日が休みというスケジュールを組むだろう。
d0053294_14581659.jpg 今日の午後、金森さんは『大ザッパ論2』の売れ残りを出版社に返却するCCメールの中に、『大山さんは今回の件でいろいろな方と交流されており、人前に出る機会がこれから増えるような感じで、今後の展開が楽しみです。イベントがあるなら、今度は私は一観客として参加したいと思っております。』と書いた。交流というのはザッパ・ファンの集まりだ。京都のBlueEyesで話した吹田在住のMさんは、『ザッパ・ファンを集めるのでその会合に出てほしい』と筆者に言っている。彼はfacebooをしていて、それで情報を広めるとのことだ。金森さんもそうだが、同じザッパ・ファンでも聴いて来た音楽はさまざまで、その多様性に筆者がどこまで理解が及ぶかの問題がある。それでも知らないことを知る機会はよい。さて、話は冒頭に戻る。バスも人も歩かない深夜の東大路通りを南下しながら、筆者の頭に浮かんだメロディはカリ・ブレムネスの「コペンハーゲンのキャヴァン」であった。カリの実体験を題材にした曲で、16歳の少女がコペンハーゲンに家出して来て、喉の渇きと空腹を満たすためにバーに入って客から小銭をせびろうとすると、バーテンダーから放り出されそうになる。それを見かねたカリは彼女を呼び止め、話を聞くと、カリと同じ故郷のノルウェーの片田舎の出身だ。そしてふたりはバーを出て夜のコペンハーゲンの市内を無言でさまよい歩くという物語だ。玉石が敷き詰められた路面はカリのハイヒール向きではないという表現があって、そのよく響く足音は3日の夜の筆者もであったが、三条通りに入って突如浮かんだのは、先日死んだトニー・ジョー・ホワイトの歌だ。そのメロディが家に着くまで鳴り響き、ハミングした。題名も歌詞も知らないが、半年ほどYOUTUBEでその曲が収録されているアルバム『LAKE PLACID BLUES』を聴き続けて来たので、意識しないのにすっかり覚えていた。先ほど調べると、曲名は「PARIS MOOD TONIGHT」(今夜はパリの気分)で、歌詞も訳したが、ラヴ・ソングであるとは意外であった。「季節は変わり、夏の雨が懐かしいが、今は秋の舞いに入り込む。暗闇の影のように、なかなか見えないが、感じることはたやすい。心にあるものをただ自覚する。 夢は現実でないと誰が言える? 風の中のどこかに聞こえる。君が囁くぼくの名前が。愛は同じ歌を、二度は歌わない。今夜のパリの気分の中で。始まりはなかった。終わりもない。ぼくたちの愛は永遠だ。それは昔から変わらない。理由なんかよりもずっと強い。今夜はパリの気分。……」 以下の歌詞は気恥ずかしくて書けない。トニーはこのアルバムがフランスからの発売であることを知ってサーヴィスしたのだろう。で、なぜ筆者がこの曲のメロディを思い出したのか。シャンソンを含む3人の演奏がそれほど心地よく、深夜の帰り道に「京都の気分」を感じたということ。
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by uuuzen | 2018-11-06 23:59 | ●新・嵐山だより


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