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●『赤と青のひ・み・つ 聖なる色のミステリー』
められたのかどうか、今回のMIHO MUSEUMでの企画展は夏休みの子ども向きの内容となった。



●『赤と青のひ・み・つ 聖なる色のミステリー』_d0053294_15585294.jpg以前の予定表では夏向きのガラス展となっていたが、数回前の企画展でガラスは取り上げられたので、またかと思っていた。その声が大きかったのかもしれない。同館の年3回の企画展のうち、夏季はいつも同館所蔵の作品を主に使っているはずで、今回は新たに修復が完成した若冲の絹本著色の達磨図を除いて立体ばかりを展示した。求められたかというのは、滋賀県では瀬田の近代美術館が全面建て替え中で、児童や生徒が美術に触れられる館がなく、教育委員会から要望があったのかと想像するからだ。瀬田界隈の子どもが信楽に行くのはとても不便に思うが、今はたいていの家に車があり、高速道路を使えばすぐだろう。子ども向きの企画展となれば、筆者はわざわざ見に行くこともないかと多少は思ったが、毎回送ってもらえる内覧会の招待状を無駄にしたくはない。今回も誰かを誘おうかと思って2,3人に声をかけ、誰も予定が合わず、先月29日にひとりで出かけた。京都駅に着いて送迎バスが発着する八条口のバス・ターミナルに行く途中、ふと大阪の郷土玩具の会で知り合ったSさんのことを思い出した。80歳近い陽気な女性で、京都駅の裏手から徒歩5分ほどのところに住むと聞いたからだ。彼女を誘えばよかったかと思いながら、メール・アドレスを聞いていない。そんなことを思いながらすぐにターミナルに着くと、何と彼女とばったり出くわした。彼女も企画展に行くところで、誘ってくれた友人を待っていた。立ち話をしながら、筆者は明後日の大阪での郷土玩具の会に参加されるのかどうかを訊くと、それは先週であったと言われた。偶数月の第4日曜日で、明後日は7月の第1日曜だ。筆者はそのことに気づかなかった。そのため、Sさんに会わなければ明後日は心斎橋まで出かけていたところだ。暑さゆえのぼけもあるが、カレンダーをほとんど見ずに生活しているからだ。数分後にSさんの着飾った友人がやって来た。高齢になるほどにその人の生活ぶりや趣味が露わになるが、その友人はいかにもお嬢さん育ちで、華やかで上品、世間の荒波を知らずに裏表のない性質のまま生きて来たという感じがした。それで2番目に発車するバスにすぐに乗り込み、Sさんは筆者の隣りに座った。Sさんの友人はMIHO MUSEUMの友の会に入っていて、年3回の企画展の招待状が来るとのことで、筆者は初めて内覧会の招待状がどういう人に届くかを知った。筆者は同館が開催する企画展に作品を貸したことのある人たちだけが対象と思っていたが、年会費を払えば誰でも招待されるのであった。筆者はそれを払っていないので、毎年年会費の分は得していることになる。
 高速を走って1時間少々で館に着き、筆者はひとりでレストランに行き、いつものようにサンドイッチ・セットを食べた後、展示を見終えた。そして、エントランス・ホールに戻ってたくさん並べられた椅子のひとつに座って関係者の挨拶を聞いたが、それが終わると京都駅に行く送迎バスの第1号車が出る頃だ。エントランス・ホールでSさんと友人に出会うと、今から展示を見に行くとのことだ。レストランでかなりゆっくりしていたのだろう。彼女たちが京都に帰る最終のバスに合わせてもう一度彼女たちと歩を進めて展示を見てもよかったが、筆者はいつも帰りは最初のバスに乗る。それでも家に着くと6時近くなる。館を出る時に券と交換にもらえた図録入りの袋はえらく軽く、子ども向きの平易に作品を説明した16ページの冊子が入っていて拍子抜けしたが、夏休みの子ども向けの企画展であればその方がいい。館内はとても広くて子どもにとっては迷路のような感じであるはずで、一、二度訪れたのではどういう作品がどこにあるかはわからない。まずは美術館の中の雰囲気を知ってもらい、その中に1点か2点でも心に残る作品に出会えればいいとの考えだろう。そのためにはいかめしくて分厚い図録は必要がなく、ごく小さな図版と最小の説明でよい。それに、今回は子どもが喜ぶようにとの配慮がいくつか用意されていた。そのひとつは「青」を象徴するエジプトの河馬を象った工芸品と「赤」を代表する天使像だ。それぞれキャラクター化され、各展示室にそのスタンプを捺すクイズ・コーナーがあった。その天使像に相当する作品は存在しないので、その点はいささか不満だが、子どもが喜びそうなデザインではある。クイズは全問正解いかんにかかわらず、スタンプ用紙に河馬や天使のスタンプを捺し尽くすと、エントランス・ホールの受付で記念品がもらえる。筆者の前で見ていた人がその用紙を持っていることに気づき、筆者は部屋をひとつ戻ってその用紙を1枚手にし、スタンプを捺しながら作品を鑑賞した。それの満印状態が今日の2枚目の写真だ。この用紙をエントランス・ホールでの関係者の挨拶が始まる前、あるいは終わってから受付に手渡している人を数人見かけた。特性のクリア・ファイルを受け取っていたので、筆者も持参しようかと思いつつ、思い直した。クリア・ファイルは本来企画展にやって来る子どものためのもので、数に限りがあるはずだ。他の子ども向きの配慮は、館員がすべて特製のTシャツを着ていたことだ。そのくだけた感じは子どもが気楽に見て回るには効果がある。
●『赤と青のひ・み・つ 聖なる色のミステリー』_d0053294_15592977.jpg
 「風風の湯」でいつも出会う81歳のMさんは京都新聞を読んでいて、今回の企画展についてサウナ室で話題にした。「赤」の作品は豊富だが、「青」が少ないとのことで、確かにそのような印象はあると思ったが、実際は作品数は半々だろう。16ページの冊子でも「赤」と「青」は半々になっている。赤い作品が多く感じるのは、赤が青より目立つからだ。それに「赤」はふんだんに自然界にあるが、「青」か貴重な石や化学反応で得られる陶磁器の青が中心で、赤よりはるかに地味と言ってよい。赤は日本では鳥居や郵便ポストなど、誰でもどこでも馴染みの色だが、そうした人工の目立つものとして青は使われない。あってもどこか毒々しいだろう。空や海は青だが、それは自然であるので意識はしない。同じ自然でも赤い夕焼けは、青空や青い海よりは珍しいので感動する。そのため、「赤」と「青」を対比させるのは少し無理があると思うが、信号機では「赤」と「青」は対になっているし、鉛筆でも昔は半分が赤で半分が青のものがあった。郵便ポストでは青は速達用で、「赤」と「青」を対比させる考えは日本特有かもしれない。筆者は今回の企画展の題名を見た時、スタンダールの小説『赤と黒』を思った。それは兵士と僧侶の象徴で、貧しい青年が立身出世するにそのどちらかの道に進むしかなかった。日本ではそういう社会的な身分を象徴する色があるだろうか。衣服の襟が白か青で知的か肉体的かの労働者を分ける考えが日本にももたらされ、あまり一般化しなかったが、エリートという言葉からはホワイトを連想するのは普通だろう。今回の企画展のチケットや16ページの冊子の表紙では、「赤」は日本の土偶、「青」はエジプトの神像で代表されているが、そのことに代表されるように、「赤」の作品は東洋、「青」は西洋が中心を占めている。また「青」は前述のように中国や朝鮮、日本の染付の陶磁器に見られるが、これらは子ども向きとは言えないだろう。それは今でも普段に使うコーヒー・カップや湯飲み茶碗に青一色の絵柄をつけたものは多く、美術作品としての見どころがわかりにくいからだ。その点、キャラクター化には最適な土偶やユニークな形の神像は記憶に残りやすい。今回の企画展がそれなりに成功すると、来年も趣向を変えた子ども向きの館蔵品展が開催されるだろう。それは大人向きの美術展よりも難しい課題ではないか。絵本の原画展は毎年いくつも各地で開催されるが、子どもに美術の世界の面白さを伝えるには絵本以外の展示がもっとあってよい。
by uuuzen | 2018-07-16 23:59 | ●展覧会SOON評SO ON
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