●「武田理沙~フランク・ザッパ・メドレー関西初演」 武田さんと筆者が10月26日、大阪の神山町のALWAYSにて対談します。
●『ART SCRAMBLE GRAND ART FES』
得出来ない気持ちで南茨木駅から京都方面の電車に乗った。4月5日のことだ。その日は「太陽の塔」の内部を見た後、久しぶりに万博公園の東口ではなく、中央口から出た。



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それはほとんど10年ぶりかもしれない。中央口から出るとモノレールで阪急の南茨木駅まで行くしかない。そこからひとつ京都寄りが茨木駅で、筆者は東口から歩いてそこまで行くようにしている。ただし、往復とも歩くのは疲れるので、茨木駅から万博公園に向かうにはバスを使う。駅を出るといつもうまい具合にバスが待っているからでもある。4月5日は往路のバスの車窓から珍しい「飛び出しボーヤ」の看板を見つけ、帰路は歩いてそれを撮影しようと思ったが、前述のように中央口から出た。かつてのエキスポランドが新しい施設で埋め尽くされていることを思い出し、そこを見て帰ろうと思ったからだが、「ニフレル」という体験型の施設は入場料が高く断念、その東にあるのは各地にある郊外型大型店舗で、結局休憩せずにモノレールに乗った。南茨木駅に着いた時、何年か前から気になっているヤノベケンジの黄色いコスチュームの少年像を見ようと思ったが、それがあるはずの方角を見ると何もない。その像は駅前広場に設置されていて、阪急電車の中から後ろ姿がよく見える。その一瞬の眺めからでもヤノベケンジの作品であることがわかったが、まともに見る機会がないままに撤去されたことに納得が行かない気分であった。家内にそのことを言っても首をかしげるだけで、そういう目立つ彫像があったことを知らない。関心がなければそういうものだ。そうそう、その日は高槻駅を過ぎてすぐ、線路の北側にある明治製菓の巨大な板チョコを家内と見ながら、電車の中から最もそれがよく見えるシャッター・チャンスを狙うには、筆者のオンボロ・カメラでは無理で、一眼レフを持参するしかないとぼんやり思った。それがいつ出来たのか今調べると、7年前だ。昨日は大企業の製造する菓子ばかりが幅を利かせて面白くないといったことを書いたが、誰が見ても即座に板チョコとわかるほどに日本にそれが定着し、またそれが巨大かつ本物そっくりの看板となっていることは、ちゃちな現代芸術をはるかに超えた風格と面白さがある。通常の看板のように文字を大きく目立たせたり、夜間に照明を当てるかネオンを点滅させたりせず、板チョコの色と形のみというところが却って印象深い。これは大企業の大量生産商品ゆえの普遍的記号化で、家内工業的な「ふるさとの駄菓子」では無理な話だ。板チョコ看板の向こうがどのようになっているのか知らないが、鉄筋コンクリートの工場が張りついているのであれば、南側はその板チョコで閉ざされて窓がなく、建物内部は鬱陶しいのではないか。高槻駅にはよく行くので、見に毛羽いいようなものだが、家内の実家は明治製菓の工場とは反対側の駅から南東だ。
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 さて、5月3日に家内と息子の3人で大阪に出てまず昨日取り上げたLIXILでの展覧会を見た。会場はグランフロントの南館にあるが、その日はいつもとは違ってエレベーターで2階ではなく1階に降りてしまった。そして戸惑いつつ建物の西側から外に出たところ、今日の最初の写真の金属による大型の彫像「SHIP‘S CAT(ブラック)」を見かけた。それがヤノベケンジのものであることはすぐにわかったが、いつからそれがそこに設置されたのかわからない。写真を撮った後、リーフレットの束を持った青年が像から多少離れたところに立っていることに気づいた。近寄ってそれを1枚もらった。13日まで現代美術の展示会が無料開催中で、北館にもいくつか展示されているという。それらの作品はもらったばかりのリーフレットからもわかったが、わざわざそれらを見に行くと言えば、家内はいい顔をしない。それにその日はたくさん歩くつもりで、あまり梅田で時間を潰すことは出来ない。そのため、今日筆者が紹介するのは撮影した5つの作品のみだ。北館で見たかったのは、椿昇の「鸚鵡図」で、これは若冲の著色花鳥版画6点のうちの1点を立体化したものだ。リーフレットに小さな写真が載っているが、実際の大きさがわからない。椿昇と若冲のつながりは、5年前に京都造形大学で行なわれた『若冲シンポジウム』に遡る。椿昇の「鸚鵡図」を見ていないので感想を書くことは出来ないが、若冲のその作品は円形で、椿の立体作品がその点をどう処理したのか気になる。巨大なガチャガチャを模し、たとえば直径3メートルほどの透明な球体の内部に鸚鵡を据えればと思うが、透明であっても鸚鵡の前面を覆うのはよくないので、半球体としてその内部を若冲の版画と同じように真っ黒にすればどうか。リーフレットによると、椿のもうひとつの作品は怪獣のような巨大なバルーンで金色をしている。椿の大規模な展覧会が昔京都国立近代美術館で開催された時、やはり展示のメインはバルーン作品であったので、その延長線上にある作品だ。会期が2週間で、即座に設え、また撤去する条件があるので、空気で膨らませる作品は合理的だが、ヤノベケンジの作品のように金属ではない分、いかにも軽い。つまり安っぽい。それも現代芸術のひとつの特長と主張すればいいが、簡単に設定、撤去出来るものは簡単に忘れ去られる。前述の明治製菓の巨大板チョコのように、巨大であればあるほど目立つが、巨大と半恒久的な存在との兼ね合いは、経費の問題によって個人による作品では巨大さが制限される。となると、明治製菓の板チョコ看板以上の衝撃的で面白い作品は現代芸術家には無理ということになるが、実際そのとおりで、今回の展示作品はどれも個人の手仕事による最大限の巨大さで、そこには一抹のさびしさが漂う。
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 グランフロントという巨大なビルディングのすぐ外、あるいは内部にふさわしい作品となると、それなりに目立つ大きさや派手さは最低条件となる。それで欧米では現代芸術家による巨大な彫刻作品が設置されて来ているが、そのような大がかりな造形作品を、誰もが美しいと歓迎するものではなく、街の景観を壊す存在であると嫌悪する人もある。これはどのような意見に対しても必ず賛否があることと同じと言ってしまえない問題がある。昔の芸術作品は高さ100メートルを超える建物に拮抗する規模の大きさを誇るものではなかったので、目につかないことが多く、気にならないものであった。それが嫌でも目に入るとなると、それはその芸術家の思いの押しつけであり、拒否したい人の思いも理解する必要がある。グランフロントの周囲にはそのような恒久的な芸術作品の設置はないが、それは誰に依頼していいかわからないこと、費用の問題、景観上の問題などがあって、結局何もないのが無難という考えによるだろう。だが、一方で客集めに話題はほしいから、人が多く出る季節の2週間に限り、そういう巨大作品を展示しようという考えだ。これなら誰も文句を言わない。そうして展示される作品は半ば消耗品扱いだが、多くの人にたまたま見てもらえる利点がある。これは作り手からすれば心もとないことではあるが、予期せぬ出会いによる意外な好評価が期待出来る。ともかく、本展は各地から作品を借りて美術館で展覧会を開催することの野外版で、しかも無料であるから、企画者は太っ腹だ。さて、今日の2枚目の写真は最初の写真を撮って頭を少し左に向けた時に見えたファブリス・イベールによる「TED HYBER」で、水を噴きながら坐る緑色の熊だ。これが黄色いアヒルであってもいいように思うので、どこに見所があるのかわからないが、作者はさまざまな技法で毎々奇抜な作品を作るそうだ。3枚目の写真は首をさらに左に向け、そしてクローズアップした。3つの作品の背面が見えるが、左2点は4枚目の写真でその前面を示す。中央の黄色の少年像は前述した南茨木駅前広場に展示されていたもので、題名は「サン・チャイルド」だ。4月5日に筆者が見つけられなかったのは、今回の展示のために移動する必要があったためだ。つまり、筆者は南茨木駅ではなく、グランフロントの横で初めて、しかもエレベーターで降りる階を間違えた偶然によってこれをまともに見て、ようやく納得出来た。同じ顔をした少女像は兵庫県立美術館の南側の大階段にもあるが、それ以前には4年前に京都文化博物館で見た『京都府美術工芸新鋭展~京都国際現代芸術祭2015への道~』にも別の似た作品があった。3枚目の写真の「サン・チャイルド」の右手の棘のある茶色の巨大な実のような作品は「黒い太陽」、左は頭に扇風機が3個ついている「風神の塔」で。これは目玉が赤く点滅した。ヤノベケンジの作品は大阪では以前から見る機会があり、今回も7点を展示して中心人物としての扱いだ。「サン・チャイルド」は南茨木駅前に戻されたと思うが、どういう理由でそこに据えられるようになったのかは知らない。万博公園にはもっと巨大な「太陽の塔」があり、ヤノベケンジの作品は動く仕掛けがあるとはいえ、それに見劣りする。高度成長期と現在の停滞期の差か。
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by uuuzen | 2018-05-20 23:59 | ●展覧会SOON評SO ON


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