●「武田理沙~フランク・ザッパ・メドレー関西初演」 武田さんと筆者が10月26日、大阪の神山町のALWAYSにて対談します。
●『太陽の塔』の「生命の樹」
減の工事をある程度する必要があったとして、「太陽の塔」の耐震工事は「加」の最たるものであった。外観はそのままであるから、内部に手を加えたことになるが、その変化は感じられなかった。



d0053294_00404523.jpg学校や役所の建物の耐震工事は、窓を中心に太い鉄骨を斜めに交差させる場合が目立つが、「太陽の塔」は円柱同然で、立方体のビルより倒れにくいだろう。それでも半世紀前と現在とでは建築に関する法律が変わり、人が多く集まる建物は昔より厳しい基準に適合する強固さが求められる。ただし、大雨と同じで自然の脅威を限定することは不可能で、「これなら多少被害はましか」と思われる程度に基準を厳しく改める。これは気安めの側面が大きい。気安めは保険に考えに現われていて、現在は賛同する人が圧倒的に多い。ついでに書いておくと、築半世紀近い鉄筋コンクリート製のマンションは、「太陽の塔」と同じく古い建築基準法で建てられているから、耐震工事をしてほしい住民がいる。積み立ての管理費からそれがまかなえるとして、学校によく見られる無粋な鉄骨の貼り足し工事でいいのかどうか。またそういう工事をしたところで、大地震に耐えるとは全く限らない。今回の見学で塔内部を1階から6階まで順に案内してくれた係員は、耐震工事を施したと言うだけで詳細は語らなかった。耐震工事に必要になったことと思うが、塔内部の円形の壁面を埋め尽くす凸部のパネルは全部取り外したそうだ。それを外すと壁面はのっぺりとしたコンクリートで、それを数センチ剥がして鉄筋を露出させ、そこに新たな鉄筋を加えたうえでまたコンクリートを打ったのか、あるいは古いコンクリート面に新たな鉄筋を巻いてコンクリートを打ったのか、どちらにしても内部空間は壁が分厚くなった分、狭くなっている。その加えられた壁の厚さが20センチとして、円形内部の直径で40センチは狭くなったが、これでは窮屈になった感じはほとんどしないだろう。それに半世紀前の内部空間の広さを鮮明に記憶している人は、工事に携わった人たちを含めてもいない。内部の中心には6階つまり塔の両手の位置の高さまで、「生命の樹」が聳えているが、1階から順に上へと「生命の樹」に設置された生物が進化し、その生物の種類は万博時は300ほどであったのが、現在は33種類に減っている。図面が残っているので、万博時を再現すればいいと思うが、「地底の太陽」の1階の展示とともに、展示数は大幅に減少している。そしてそのさびしさは今の若者でも感じるのではないか。「生命の樹」の6階であったか、万博後に顔が半ば崩壊した実物大のゴリラが展示されていて、それは時の経過による風化をあえて示すために修復しなかったと説明があった。万博時は首が動き、目が光ったというのに、その復元をする費用が惜しかったか。
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 塔の内部を撮影しようとカメラを持参したが、出入口から向こうは撮影禁止で、TVのニュースでわずかに紹介された映像の記憶を反芻するしかないのが残念だ。内部の撮影を許可すると、訪れる人が減少するとの考えであろうが、評判は今ではSNSですぐに拡散する。それで筆者は辛口気味の感想を書くが、これは万博の喧騒を知っているからで、それに比べて現状は何とも静かでもりだくさん感が乏しい。さて、昨日の投稿で載せた写真からわかるように、塔内部に通じる玄関にいたる円形通路は今回新たに設置された。以前は塔の背面の一番下に内部に出入りする扉があった。いかにも管理者だけが密かに使うといった感じの鉄の扉で、万博以後に工事がなされたのだろう。その扉の前に立つには、塔を囲む2メートルほど低い通路状の土地に降りる必要があった。確かそこまでは誰でも進めた。それに80年代半ば、その塔を囲む通路から広いトイレ空間につながる通路があって、筆者は利用したことがある。自然文化圏の入場券に「太陽の塔」の真正面の写真が使われているが、塔の背後に国立国際美術館が写っていたものと、それが撤去されてからのものの2種類があって、昨日の投稿の最初の写真にはその後者が写っている。つまり、国立国際美術館が撤去されて以降間もなくして撮影された写真をまだ使っているが、今回は塔の裾の様子が変わったので、そのチケットに使う写真もいずれ改められるだろう。真正面から見た時、その裾つまり地面に接する部分がどのように変化したかだが、塔の1階に通じる円形通路を新たに設置したと同時に、以前はなかった盛り土が1メートルほどなされた。今日の最初の写真は新たに設けられた出入口の前から塔を見上げたもので、2枚目は同じ場所から出入口を撮ったが、塔の背後中央にあった小さな扉を拡張せず、塔の西に新たな建物を造ったことがわかる。この出入口を入ってすぐのところが1階で、そこに「地底の仮面」の部屋があるが、万博当時も入ってすぐのところにそれがあったので、同じ地面の高さのところに今回も出入口が設置されたかと言えば、これは万博当時の詳細な図面を見ないことにはわからない。ともかく、塔に出入りするための口が万博当時、その後の臨時のもの、そして今回と、3回造り直し、またそのことに伴なって塔の裾周辺の様子も変わった。そして、古い状態のものは急速に忘れ去られ、今では万博当時のことを誰も覚えていない。万博はあまりにも見るものが多く、「太陽の塔」の内部が見られるとはわからず、また入ったところで、エスカレーターで順に上の階へと急速に運ばれ、そして塔の西の腕の先端から「お祭り広場」の屋根の展示場へと吐き出された。その塔の西の腕の先にあった出口は、「お祭り広場」の鉄骨の屋根が撤去された時に塞がれたが、その痕跡は現在はわからないだろう。
d0053294_00433219.jpg 塔の内部にあったエスカレーターが撤去され、代わりに階段が設けられた。エスカレーターではすぐに見学が終わってしまうが、係員が誘導するので各階でゆっくり過ごすことは出来ない。写真撮影を禁じているのは、スマホによる自撮りが危険であるとの考えもあるだろう。高所恐怖症の人はなるべく訪れないのがよく、それほどに階上から見下ろすと底が深い。また上を見ると未来を象徴した青い空間で、どこまでもひだひだがついた円形が伸びて行くように見える。6階に至ると塔の両腕が見えるが、そこは剥き出しの複雑な形の鉄骨が赤い照明の中、奥へと規則正しく続き、無粋な建築の骨組みではなく、未来都市の片鱗を見るようだ。西側の腕の内部には「お祭り広場」へと至るエスカレーターが万博当時にはあったが、現在はコンクリート壁で塞いで中が見えないようになっていたと思うが、記憶が定かでない。それほどにじっくりと見る時間がなかった。帰りは円形の非常階段を下りて行くが、壁面に万博当時の工事の写真などが展示されていた。そのことで思い出した。「地底の太陽」の部屋に至るまでの通路の壁面に、岡本太郎による「太陽の塔」のアイデアが煮詰まるまでのスケッチの複製が10点ほど順に展示されていた。どれにも描かれた日付が入っていて、岡本が少しずつ着想を固めて行く様子が生々しい。その展示も案内員に導かれながら駆け足でさっと眺めた程度で、またほとんどの人はあまり気に留めていなかった。受付で手わたされた小さなリーフレットにその岡本が描いたエスキースが印刷されていればいいのだが、ひょっとすれば「生命の樹」を見終わった後にあった小さなミュージアム・ショップで図録が売られているのかもしれない。筆者はそのショップを覗かなかった。岡本の最初の案がどのようなものであったか忘れたが、最終案はさすがと思わせる完成度があって、またいかにも岡本らしい。それがどこに表現されているかと言えば、今回筆者が着目したのは塔の胴体の両脇にある赤いジグザグ模様だ。それが左右で多少違っていて、岡本流の書道そのものとなっている。塔そのものは左右対称だが、胴中央の仮面とそれを挟む両脇の赤い線描はあえてそれを崩している。有機的なものはすべてそうなっているとの思いの反映かどうか知らないが、塔の内部を生命の内蔵のように赤い照明で見せ、また血管としての「生命の樹」を、たとえば法隆寺の塔の中心の柱のように中央に立てたのは、内部が空っぽの映画や舞台の書割めいたものを拒否した熱い考えによるもので、その点からは「生命の樹」に宿る生物が33種類では「減」が大き過ぎる、岡本が見た時の状態に「加」は許されないが、「減」もそうではないか。復元修理するのであれば、最初はもっと賑やかであったことを忘れてほしくない。
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by uuuzen | 2018-05-14 23:59 | ●展覧会SOON評SO ON


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