●向日市天文館
光気分で向日神社の境内を一巡した後、剣道場の前庭の前、参道の南側にある向日市天文館の前に立った。そこで撮ったのが今日の最初の写真だ。



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増井神社と同様、ヤフーの地図でこの施設があることを知っていた。入るつもりはなかったが、建物に近づくと、立て看板に入場無料という表示があった。閉館までまだ充分に時間がある。それにJR向日町駅近くに行く用事があるが、そこまで歩くのは30分ほどだ。誰もいないので、本当に入館出来るのかどうかわからないが、ともかく奥の出入り口に向かった。体育館より小さな建物だが、奥に天文台のドームが見える。写真で言えば玄関はその少し奥だ。ガラスの扉を開けると数十人分のスリッパを収めた下駄箱が左手にあって、そこで靴を履き替える必要があった。筆者は紐靴が好きで、これまでほとんどそればかり履いて来たが、欠点は脱ぐのに手間取ることだ。もちろん履く場合もそうだが、自宅以外ではめったに脱いだり履いたりする機会はない。天文館で靴を脱がねばならないことに気づいた時、引き返そうかと一瞬思ったが、好奇心が勝った。中に入るとすぐ右手に診療所の受付のような小さな窓口があって、その奥に数人の男女の職員がいるようで、若い女性が「こんにちは」と声をかけて来た。中は教室程度の大きさで、めぼしい展示物はさしてない。1時間ほどは立ったままであったので、部屋の中央にある柱のそばの円形状のソファーにしばらく座った。展示物が少なく、入館しても5分で出てしまう人があるだろう。プラネタリウムが見られるようだが、筆者がいる間はその映写時間はなかったようだ。小さな向日市に似合った小さな施設だが、天文館を持つところに気概を感じる。今日の2、3枚目の写真はソファーに座って撮ったが、2枚目は窓の向こう少し高い土地に剣道場が見えている。窓際の紺とオレンジの衣裳は地元の消防団のものだろう。右端の扉の奥にドームのある部屋があるが、「準備中」の札が下がっている。プラネタリウムの映写を見るために訪れる人がどれだけあるかだが、すぐ近くに小学校があり、その児童がたまには来るだろう。3枚目の写真は2枚目の右端の続きで、地元の天体ファンや自然愛好家が撮影した写真が飾られている。紺色のボードに並ぶ月食を定点撮影した写真や土星や彗星の写真は専門家が撮ったと思うが、この天文台を利用した写真もあるかもしれない。ボードより上部の竹の写真は天体とは無関係だが、これが飾られるのは向日市が竹で有名であるからだ。洛西ニュータウンのある京都市西京区から向日市、そして長岡京市は竹や筍の産地で、特に洛西竹林公園はよく知られる。それを知りながら筆者はそこに行ったことがない。自動車でなければ行きにくく、また花がきれいな植物園でもないからだ。
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 天文館のソファーの近くに向日市の観光案内パンフレットが数種類置かれていて、一部ずつもらって帰ったが、ソファーに座りながらぱらぱらと見ると、向日市の観光名所のひとつに竹林公園が記されていた。これは京都市西京区にあるが、地図を調べると、竹林公園の東端は向日市との境界で、向日市のものと言ってもほとんど差し支えない。増井神社が面する府道を2.5キロ北上したところにあり、また竹林公園の西1キロに高島屋があって、そこにあるスーパー銭湯に筆者は車に乗せてもらって数回行ったことがある。それに、2年前の11月は自転車でその近くにある京都市芸術大学に2,3回行ったが、ほとんど同地の道を知らず、帰りは間違って向日市方面に走った。それが増井神社の際を走る府道であることを、今地図を見てわかったが、そう言えば道に迷いながら「竹林公園」の表示を見かけた。そしてその公園の北端を東に進んで物集女街道にぶつかった。となると、竹林公園はわが家から自転車で往復出来るところにあるが、やはり地味過ぎて、それだけを見たいとは思わない。話を戻して、3枚目の写真の下方に円形状ソファーの一部が写り込んでいる。左端は地元で産出したのか、植物の化石の珪化木だ。右端は学校教材の補助のような本や資料で、小学生に天文への関心を抱いてほしいとの考えがうかがえる。ソファーを立ち上がり、3枚目の写真の右端のさらに右手を撮ったのが4枚目の写真の上方で、初代のプラネタリウムの投影機で、上方の大きな貼紙にミノルタ製とある。現在の機器も同社製だが、ミノルタ社が存在しなくてもメンテナンスはどうにかなるのだろう。4枚目の下方は惑星の模型で、奥に最初の写真の方角が見える。この惑星模型のコーナーには手作りの立体写真の双眼鏡が3点あって、手に取って全部覗いた。そのうちのひとつは満月が浮かび上がって見えるが、筆者は左右の視力がいささか異なるせいか、うまく立体的に像が浮かび上がらなかった。4枚目下方の写真の左手は玄関で、時計周りに室内を一巡して撮影したが、撮影禁止の表示がなかったからとはいえ、受付内部から見られない立ち位置を選んで撮った。拍子抜けするほどの展示物の少なさで、大阪市立科学館に比べるべくもないが、何もないよりはるかにましだ。それに子どもに天体への関心を芽生えさせるには小規模で家庭的な雰囲気のものの方がよい。大阪市立科学館は大阪市内の子どもは一度は遠足で出かけると思うが、それっきりになる場合が多いのではないか。その点、この天文館は小学校の図書館と同様の普段着の馴染みやすさがある。運営に経費がかかり、また内容も貧弱となれば、無駄な施設ではないかとの意見も出ると思うが、無駄を言い始めると、どんなものでも無駄だ。そして人間はただ食べて寝るだけの動物ではない。地元に対する誇りを育むうえで最適と考えられた施設であり、その先人の思いを継いで行くことは、どの街のどの施設でも大切だ。にもかかわらず、今では経費のことばかりが俎上に載り、補助を受けずに運営すべきと主張する政治家が幅を利かす。時代が進んで却って野蛮となることもある。
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 スリッパを脱いで靴の紐を結んでいると、受付からマスクをした若い女性が出て来た。笑顔で礼を言われ、また次回はプラネタリウムを見てほしいとも言われた。筆者は向日市という小さな市が天文館を持つことが不思議で、こう言った。「京都市にもない天文館が向日市にあることは立派ですね。向日市には有名な天文学者がいたのですか。それとも篤志家がいて、資金の援助を受けたのですか」「いいえ」「あ、そうか、花山天文台がありますね。山科に」「??? 京都市には藤森にありますよ」「ああ、そうですね。青少年科学技術センターですね。それでも向日市は小さい自治体なのに立派ですね」「ええ、土地を向日神社から提供されているのですが、ここは高台でしかも向日市は空気が澄んでいて、星がたくさん見られるのです」。向日神社は日の出に対面する高台にある。この天文に関係する雄大な名称の神社の境内に天文館を設置することは、古墳時代の人々の思いに沿うことでもある。また、嵐山でも今では星はほとんど見えず、京都市内は大阪とほとんど変わらない都会になってしまった。筆者が小学生の頃、京都の真冬の空は無数の星が見えた。従姉たちがその夜空の下、筆者に星座を指し示してくれたが、それを今の子どもはプラネタリウムで仮想体験するしかない。向日市は京都市内よりは星が多く見えると思うが、それもいつまでのことだろう。だが、向日山の夜空の大きさは、民家の屋根が邪魔することがないので、今後も変わらないはずだ。参道を歩き始めると、往路と同じように自動車が入って来た。その邪魔にならないようにと、参道右端の溝の縁を歩いた。筆者は地元でも同じようなことをよくする。畑のすぐ際の幅10センチほどの土留めのコンクリート上を歩くのだ。バランスを崩すと畑に落ちるが、高さは1メートルほどなので落下しても怪我はない。それが筆者の歩数で32歩だが、向日神社の参道は200メートルだ。それを綱渡りのような気分で歩くのは緊張感があってよい。西国街道に出て東向日駅に向かう坂道に入る途中、小さくて古い向日市商店街があることを今月4日の「西国街道、その1」に書いた。そしてその投稿の最後に載せた写真で示したように、その商店街は「アストロ通り」という名前がつけられている。つまり、星がよく見えることと、市立の天文台を誇っているのだ。星に対する信仰は妙見が有名だが、そう言えば向日神社に祀られる神々は星と関係があるのだろうか。筆者は日本の神の名前やまた由来については関心が薄い。また、「神社の造形」と題しながら、祠や社の形の差を細かく観察しているのでもない。それに、社務所で売られる御守りにも興味がない。変化のない神社と思っていても、向日神社も時代とともに変わって来ている。そのように移り行く中で変わらないものをどれほど感得出来るかだが、神社の周辺の街並も見て想像を逞しくするしかない。
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by uuuzen | 2018-03-16 23:59 | ●新・嵐山だより


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