●『ZAPPA/MOTHERS - THE ROXY PERFORMANCES』その5
にするつもりであった音源が40年経って公にされることは、ザッパにとって本望ではなかったと捉えるべきかそうでないか。それは何とも言えない。ザッパは録音したテープを保管し続けたからだ。



そこには、全部ではないにしても後で役立つとの思いがあったことだろう。本作のブックレットの2番目の解説文でジョー・トラヴァースとジェニ・ブラウンは、いつかロキシーで撮影されたフィルムがもっと見られる機会があればと書いているが、本作の音源に比べて『ロキシー・ザ・ムーヴィ』のみの映像では足りないとの思いからだ。アーメットはいずれ本作のDVD編を出すと思うが、数台のカメラで撮影されたステージであったので、すべての映像となるとCDの数倍の量ということになる。さすがにそれでは商品化は困難だが、『ロキシー・ザ・ムーヴィ』の二番煎じのような映像作品は発売されるに違いない。それがザッパの本意ではないと考えるべきかどうかはファンが決めることで、食傷気味であれば売れ行きが鈍るだけのことだ。ザッパは映像作品に並ならない意欲を持っていた。小規模のバンドによる地元での演奏を撮影したことは、『200モーテルズ』の大作の後では意欲が後退しかに見えるが、バンドのメンバーをがらりと代え、ジャズ系の新曲や新アレンジ曲を取り揃えて、全く新たに脱皮した自分の姿を映像でも残しておきたかったのは、バンドの能力に自信を持っていたからだ。この当時ザッパは、64年に結成した頃のマザーズの演奏をあまり評価せず、またそのオリジナルのマザーズを最大に評価するファンを否定した。自分のやっている音楽が退化しているのではなく、聴き手が新しさを理解しないだけという思いだ。それほどにデビュー10周年を記念する『ロキシー・アンド・エルスウェア』を力作と思っていたであろう。また、せっかく撮った映像を発表する企画があったにもかかわらず、それがうまく行かなかったことに落胆し続けたが、74年8月は地元のKCETスタジオでファンを前に演奏を撮影し、それは当時放映された。その音源は海賊盤LPになり、筆者は買ったが、さらに後に出た海賊ヴィデオでは、ギター演奏にブルース・ビックフォードの粘土アニメを加えたことがわかり、演奏する様子のみを作品化するつもりがなかったことがわかる。そのことからすれば、ロキシーでの映像をどうまとめるつもりであったとの想像を誘うが、『ロキシー・ザ・ムーヴィ』はザッパの本意とは違った部分があるだろう。『200モーテルズ』のごった煮からすればあまりにストレートで、その点が物足りないが、本作を聴いただけではわからないことが映像には記録されている。それはたとえば『BABY SNAKES』もそうで、「ブラック・ナプキンズ」の音楽だけを聴くと、演奏中にザッパが舞台の上でどういう動きをファンと交わしているかはとても想像出来ない。そして映像を見て音楽を聴くとまた新たな感動がある。
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 ロキシーの映像でザッパが考えたことにはそれと同様の思いがあった。先のKCETスタジオ出のライヴでもそうで、ゴリラに扮した人物が登場する。ザッパが三流のモンスター映画を好むことは『ロキシー・アンド・エルスウェア』の「チープニス」で語られるが、人間が薬物で化けることへの関心は『200モーテルズ』でドン・プレストンが演じる泡立つ薬品を飲む行為にも表われていた。そこには麻薬も含めた薬物への批判があるが、『ロキシー・アンド・エルスウェア』では「ピグミー・トワイライト」がそれに当たる。また同アルバムでは同曲に続いてナポレオン・マーフィ・ブロックとジェフ・シモンズがかけ合う語りの曲「ダミー・アップ」が収録されるが、これは12月8日のサウンドチェックの録音で、本作の7枚目に収められているヴァージョンから編集している。『ロキシー・アンド・エルスウェア』の見開きジャケット内部にドン・プレストンとジェフの写真も含まれるのに、そのふたりの出番がゲスト扱いであったことが不思議だが、ザッパにすればいわゆる「概念継続」として『200モーテルズ』に関係するその両者を何らかの形でロキシーのアルバムや映像に留めたかったのだろう。ドンはシンセサイザーで出演しているとクレジットされていたが、本作のブックレットには名前のクレジットがない。そして、「使用出来たか出来なかったか……ドンは演奏を試みなかった」とあるので、楽音ではなく、機器の唸り程度のものが流れていたのだろう。ではなぜドンをロキシーに呼んだのか。それは『200モーテルズ』では撮影前に辞めたジェフが麻薬の売人として「ダミー・アップ」でナポレオンを誘惑するという設定の場にドンがいることは、ザッパ・ファンなら意味がわかるとの思いからだろう。だが、それは『200モーテルズ』の映像を知っている必要がある。つまり、本作は映像としての概念継続性が豊かで、音楽のみでは楽しみにくい部分がある。ブックレットには、ザッパはドンに大きなハエの仮面をつけさせ、また観客に黒い仮面を被らせたり、目や腕にゾンビのような化粧をさせたりし、ザッパの合図で、煙の中で化け物となったドンの背後で観客は手に持った灯りを点滅させたとある。その最後にはカール・フランゾーニが奇妙なダンスをしながらブレンダやパメラなど、他のゲスト出演者が続いたというが、これは解説を担当するジェニ・ブラウンの実体験の記憶にも基づくだろうが、その様子を繰り広げた際の演奏が7枚目に入ってはいても、映像がないので想像するしかない。また、10日のリハーサル時の「チープニス」ではザッパはメンバーにゾンビ風の化粧をさせ、またローディの頭に大きなプラスティックの袋を被せたそうで、その一部は『ロキシー・ザ・ムーヴィ』の隠し映像で見られるとある。筆者はその映像を1,2回しか見ておらず、記憶にないが、ともかくザッパはモンスター映画が大好きで、そのことはロキシーのすべての映像を見ればさらにわかるということだ。もう1段落書きたいが、暖のない部屋では今夜はあまりに寒い。
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by uuuzen | 2018-02-12 23:59 | ●新・嵐山だより(特別編)


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