●「武田理沙~フランク・ザッパ・メドレー関西初演」 武田さんと筆者が10月26日、大阪の神山町のALWAYSにて対談します。
●『ZAPPA/MOTHERS - THE ROXY PERFORMANCES』その3
象を一語で言えば明るいというのが74年のザッパで、『ロキシー・アンド・エルスウェア』では第2面がそれを代表している。



「太陽の村」、「エキドナのアーフ」、「あれを洗ったことがないんだろう?」の3曲だが、特に後2曲はメドレーになっていて、演奏家がもっとカヴァーすべきと思うが、YOUTUBEでそのような映像が出ているのだろうか。演奏困難で、コピーすることも至難であろう。同2曲は『ロキシー・アンド・エルスウェア』でのみ収録され、ザッパは後年のステージでほとんど演奏しなかった。それはギター・ソロのパートがないからとも言えるが、トロンボーンやキーボードのソロの代わりになぜザッパはギターを演奏しなかったのだろう。それはともかく、同2曲はザッパ独特の曲で、そのギャグ漫画的な明るさはザッパ70年代半ばの名曲として大いに評価されるべきだが、今回発売された7枚組CDには3つのヴァージョンが収められている。ロキシーでの演奏は73年12月9日と10日にそれぞれ2回行なわれ、そのほかに本作では関係者だけを集めて演奏した8日のサウンド・チェックが7枚目に収録されている。これは「フィルム・シュート」とも記されるので、撮影したフィルムのサウンドトラックか、あるいはそれが含まれている。以上5回のステージ以外に6枚目のディスクには10日のリハーサルが前半に数曲あり、後半は12日にボリック・スタジオで録音した曲で、これはアルバム『アポストロフィ』からの曲が目立つ。4回のステージが最初の4枚のCDに収まっていると考えてよいが、残念なことに各ステージが1枚のCDにきっかりと収まっていない。これが何ともややこしい。たとえば9日の最初のステージは全部で87分もあり、1枚には収まり切らないため、はみ出た曲が2枚目冒頭に移って、以後各ステージで演奏された曲がますますCDを跨ぐことになった。その不便さはまだCDが発明されたからよかったが、LPであれば14枚組で計28面にはなった。そんなボックス・セットでは2,3万円の価格にはなった。一方、『HALLOWEEN 77』のボックス・セットのUSBスティックでもよかったかと思うが、何をおまけとしてつけるかが思いつかなかったのだろう。さて、今日はブックレットの次の文章について書くつもりがあったが、半分ほどしか読んでいないので明日に回す。ひとつだけ書いておくと、オーストラリアのライター、ジェン・ジュエル・ブラウンは8日の関係者のみのステージに招かれたひとりで、ブックレットの3つ目の記事「サンセット大通りのロキシーへの道」は、自らが体験した70年代初頭の思い出を中心としているようだ。何歳かわからないが、70歳前後になっていてもおかしくはない。
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 今日は初めてステレオで『ロキシー・アンド・エルスウェア』と本作を聴き比べた。ただし前者は1992年に発売された初めてのCDで、それ以降の承認盤や現行のユニヴァーサル盤ではない。またLPは面倒なので引っ張り出していない。結論を言えば、本作はベースが重厚で、全体に92年盤より音の厚みがある。『ロキシー・アンド・エルスウェア』はザッパがロキシーでの音源に後で手を加えたので、加工された音の印象が強い。より華やかで完璧なものになっているが、それは本作の音源からあちこちはしょり、また小さな音は大きくし、さらに効果音を加えているからだが、そのスタジオでの編集作業の巧みさに改めて気づく。それは大きなスピーカーで音を聴き比べて初めてわかることで、今日はかなり感動した。予想ではザッパが採用しなかった残りカスが大半と思っていたが、そうではなく溢れる素材から何をどう取捨選択し、またさらに磨き上げたかったことがよくわかる。つまり、『ロキシー・アンド・エルスウェア』をよく知るには欠かせないアルバムだ。最も驚いたことは、同作の収録曲が本作に含まれるとしても、まるで違うように聞こえることで、同じ曲を買わされたという感じがしない。それほどに『ロキシー・アンド・エルスウェア』はうまく編集されていて、その手品ぶりに当時のメンバーも不思議がったと思う。またルース・アンダーウッドが『ロキシー・バイ・プロキシー』をあまり評価しなかったのは、『ロキシー・アンド・エルスウェア』が完璧であったからだろう。では素のままの演奏を収める本作がそうではないかと言えば、最初の解説でジョー・トラヴァースが書くように、『ロキシー・アンド・エルスウェア』の単なる素材以上に、ほとんどこのままでも発表出来たと思わせる。なぜそうしなかったかだが、どの曲も長めで、2枚のLPには到底収まり切らなかった。またここが微妙なところで、ザッパはLPの片面に収まる時間数にどこかで不満を抱きながらも、その短さに合わせるために出来のよい部分もどんどんカットして最上の部分だけを発表する気持ちであった。これはレコードは繰り返し聴くものであるからわずかなミスもあってはならないとの考えによるが、繰り返し聴いても飽きないようにするには曲の本質部分のみを提示するしかないからだ。俳句と同じで、限界ギリギリに削ったものに深い含蓄が宿る。一方、ザッパはステージはレコードとは違って2時間程度を1回限り楽しませるものと捉えた。これはレコードとは正反対で、冗漫と感じられる部分があってもかまわない。そういう場のムードを観客は欲してもいるからだ。そして、『ロキシー・アンド・エルスウェア』と本作を比べると、そのことがよくわかるし、ザッパがステージでの演奏だけでも大変であるのに、その後ひとり孤独にアルバム編集の仕事に没頭した。またロキシーでのライヴでは映像も撮ったので、その編集も待っていた。その多忙さがかえってロキシーでの演奏の明るさになっている。
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 『ロキシー・アンド・エルスウェア』のうち、ロキシーで演奏された曲と本作の同曲とを聴き比べたことを以下簡単に書く。「ペンギン・イン・ボンデイジ」は10日の最初のステージの演奏を用いた。これは本作の4枚目の冒頭に入っている。1が「ボンデイジ・イントロ」で、これはLPでも語りとして1曲に独立していたが、CDではその後の演奏と合わさって6分48秒となっている。本作では1とその後の演奏を足すとおよそ9分で、2分ほど長い。これは語りも演奏もカットしたからだが、最も大きな違いはザッパのギター・ソロだ。「ペンギン・イン・ボンデイジ」は本作には3ヴァージョン収録されるが、どのギター・ソロも『ロキシー・アンド・エルスウェア』に使われなかった。これは12日のボリック・スタジオでのオーヴァーダブかと言えば、その保証はなく、アルバム発売直前の頃であった可能性もある。ギターの違いは「太陽の村」のイントロにも言える。本作は3ヴァージョン含むが、どれもメロディが途切れ途切れの演奏ぶりだ。あえてそのように演奏したが、それが気に入らなかったのだろう。それだけロキシーでの同曲の演奏は最初期で、こなれていなかった。「ピグミー・トワイライト」もロキシー以降大きく変貌するが、『ロキシー・アンド・エルスウェア』では最も短い2分少々だ。これは本作の10日の最初のステージ・ヴァージョンで、4分強の長さがある。また9日の演奏は9分と長いが、『ロキシー・アンド・エルスウェア』よりもやや遅めの演奏で、こなれていない様子が伝わる。また同アルバムには含まれないパートを含む。それは「ダミー・アップ」の初期ヴァージョンと呼ぶべきものだが、ナポレオン・マーフィ・ブロックがひとりで歌う。「太陽の村」は冒頭の語りは9日、演奏は10日の2回目のステージからだ。「エキドナ」と「あれを洗った……」も10日の2回目からで、9日の演奏より出来はよい。この2曲はほとんどオーヴァーダブなしで『ロキシー・アンド・エルスウェア』に収められたが、トロンボーンのソロは後に演奏し直している。また「あれを洗った……」の最後のドラム・ソロは本作ではもっと長く、このドラム・ソロ以降のパートは9日の演奏を『ロキシー・アンド・エルスウェア』に使用した。そのため、本作では同曲は7分だが、同アルバムでは9分40秒だ。また本作の10日の2回目の演奏ではドラム・ソロは引き続き「チープニス」のドラム・ソロに移る。『ロキシー・アンド・エルスウェア』の「チープニス」は、語りは10日2回目、演奏は1回目を使っているが、本作での語りはどれもやや長い。「ビバップ・タンゴ」も10日2回目で、『ロキシー・アンド・エルスウェア』の16分40秒に対して22分もある。同作では最後のブギのパートが不自然に編集されていたが、本作ではカットなしで楽しめる。この曲は9日2回目にも演奏され、最後のブギのパートはメロディが違う。
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by uuuzen | 2018-02-09 23:59 | ●新・嵐山だより(特別編)


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