●『ZAPPA/MOTHERS - THE ROXY PERFORMANCES』その2
業の中でも人を愉しませるものは自分も気分がよいだろう。それは人を喜ばせていると思うからではなく、まずは自分自身が楽しいからだが、楽しく作品を作れば誰でもそれに同調するかと言えば、そうではない。



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ザッパは自分が楽しいように音楽活動をしたが、熾烈な業界で生き残って行くには時代を読む能力がいるし、運も左右する。何より経済的な問題もある。大がかりなことをしてそれに見合う収入が得られればいいが、それは無理な話で、妥協を強いられることがほとんどだ。それでもその規模に応じた理想的な作品はあり得る。今日は本作のブックレットの最初の文章を読んだが、ジョー・トラヴァースとジェン・ジュエル・ブラウンは、ロキシー期のザッパ・バンドを個性と演奏の精度において強力であったと書いている。これはどの時期のマザーズよりもそうであったと捉えていいだろう。アルバムをたくさん売るために、またザッパを悪く表現出来ないために、ジョーは他の時期のマザーズも「強力」という形容を使うだろうが、メンバーが粒揃いで、全員が休みなく演奏し、また全員の人柄がよく伝わる点でジョーの言葉に大方のザッパ・ファンは同意するだろう。80年代になると演奏の巧みさは相変わらずとしても、メンバーは若返り、どこかロボットじみたところが漂う。ロキシーでのライヴではキーボードのジョージ・デュークが後に独立してソロ・アルバムをたくさん発表するが、そういう際立ったメンバーは他のマザーズにはいなかったことからも、ロキシー期のマザーズがザッパの代表的なバンドであったと今後さらに評価が定まるのではないか。そうそう、ザッパのホログラム・ツアーの予定があるが、そのステージで上映されるザッパの姿はロキシー期のものと先日ネットで読んだ。だが、そのザッパのホログラムの姿に合わせてライヴで演奏するメンバーは本作とは違って歴代のマザーズから有名どころが選ばれ、その中にルース・アンダーウッドは入っていない。話を戻して、『ロキシー・バイ・プロキシー』の長い解説を担当した彼女は、同作はザッパが生きていれば発売を許可しなかっただろうと書いた。そのことにゲイルは立腹し、皮肉を書いたが、本作の冒頭の解説でジョーは、「個性と演奏精度が強い」ということに対してルースは同意しないに違いないと書いている。彼女は自分の演奏に厳しいということだが、それはザッパも同じはずで、ロキシーでの演奏の発表は『ロキシー・アンド・エルスウェア』のみで充分と思っているのだろう。熱心なファンはザッパの演奏を全部聴きたいと思うし、多少の粗があっても許す。昨日も書いたが、本作はそういうファンのためのものだ。7枚のCDを順に聴くつもりが、昨日は1,2枚目を聴き、今夜は7,6枚目を聴いている。まだ聴き込んでいるとは言えず、今日気づいたことを次に書く。その前に、昨日書いたCDを収める箱の裏の写真だが、アメリカの大西さんのものもザッパが弾くギターが写っていたとのことだ。筆者が一昨日載せた写真のようにはっきりと写っていないそうだが、筆者ははっきりと写るように光の角度を調整して撮ったので、同じ印刷状態のはずだ。
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 ブックレット最初の解説は、『ロキシー・バイ・プロキシー』を所有する人ならほとんど知っていることばかりだが、ジョーが強調しているのはザッパが撮影隊を雇って撮影したはいいが、当時の機器の性能と、撮影者の技量の限界もあって、後で編集するのに大いに苦労したことだ。それはどのカメラも撮影していない瞬間があるからで、その空白をどう埋めるかだ。そのため、『ロキシー・ザ・ムーヴィ』は別の映像を別の曲に使用したかもしれない。ザッパは録音に関しては知識が豊富で、またケリー・マクナブによって完璧に録音されたが、それを撮影したフィルムを同調させて「映画」を作ることはザッパの予想以上に困難なことになった。生前のザッパは何度もそれを試みたが、映像のデジタル化はまだ発展途上にあって、ごく一部しか完成せず、またそれらをビデオ作品で発表した。ザッパもよほど心残りであったのだろう。それほどにロキシー期のバンドに愛着があったということだ。フィルムと録音の同調作業は時間も金も大いに要し、結局ザッパは完成を見ずに死んだが、ゲイルは執念で作業の続行を模索した。そのことは『ロキシー・バイ・プロキシー』のCDを生むことになり、またゲイルは『ロキシー・ザ・ムーヴィ』は映画館での上映を見ることはかなわなかったが、完成したDVDを病床で何度も見たそうだ。ゲイルが完成にこだわったのは、ザッパが何度も挑戦しながら実現しなかった作品であることと、ファンの間では最も発売が望まれていたからだ。2006年にドゥイージルのバンドZPZは、ステージの背後にザッパの演奏する姿を上映し、そのギターに合わせて自分も演奏したが、その行為の後、ザッパ・ファミリーは『ロキシー・ザ・ミュージック』の完成を決めた。時代がようやくザッパの思いに追い着き、またザッパの自宅のテープ収蔵庫に眠っていた膨大なフィルムやビデオテープはすべてアレックス・ウィンターがザッパ・ファンから募った1億数千万円の資金を使ってこのたびデジタル化が完成したことはこのブログで何度も書いて来た。それはいいとして、ジョーが書いているもうひとつの重要なことは、ザッパが70年代前半の一時期、世界的に大いに有名になった4チャンネルの録音に熱心であったことだ。ステレオでは満足出来ず、音楽をいずれ多チャンネルで聴く時代が来ることを予感した。それはまだ到来しているとは言い難いが、ドゥイージルは父が遺したそうした多チャンネルの録音をすでにアルバムに発表していて、そういう作品群にロキシーでの演奏も含まれることをジョーは書いている。つまり、本作はロキシーでの演奏のすべてでもうこれ以上のアルバムはないかと言えば、4チャンネルのミックスもあって、いつかそれも発売されるかもしれない。また、本作は『ロキシー・バイ・プロキシー』が発売される前にすべての音源が完成していたのではなさそうで、同アルバムとは違って2016年に別の人物が本作のためにミキシングし直した。音の加工は最小限で、ロキシーでの演奏そのままを伝えることにしたそうで、同じ曲であっても、一部オーヴァーダブを施した『ロキシー・アンド・エルスウェア』とも、また『ロキシー・バイ・プロキシー』とも違う。それを聴き分けようとするのは熱心なファンだけだが。
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by uuuzen | 2018-02-08 23:59 | ●新・嵐山だより(特別編)


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