●『ZAPPA/MOTHERS - THE ROXY PERFORMANCES』その1
曲がどれかわからないほどにロキシーでの73年12月の演奏はこれまでに何度か発売されて来た。そのため、今夜6時過ぎに届いた7枚組CDはどの曲もよく知っていてマニア向きと言えるだろう。



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ザッパが録音した8チャンネルの音源をまとめて紹介するもので、生前のザッパが74年秋に発売した2枚組LP『ロキシー・アンド・エルスウェア』と比べると、いろんなことが見えて来る。それを徹底したいと思うのはやはり熱心なファンだ。『ロキシー・アンド・エルスウェア』という題名は、ロキシーの演奏だけではアルバムが製作出来なかったかという疑問を持たせたが、当時はロキシーでの演奏の実体がよくわからず、ロキシーでのライヴを中心としつつも、それ以外での場所での演奏も含めて新作アルバムを出したかったと思うしかなかった。だが、当時『ロキシー』というアルバム名で2枚組を発売出来なかったのかと言えば、充分そのための素材はあったことは今夜届いた7枚組からでもわかる。『ロキシー・アンド・エルスウェア』における「その他の場所」に相当する曲がどれかは、アルバムに銘記されなかったが、それはロキシーでのライヴを皮切りにその後各地で演奏した曲目がロキシーとは同じではなかったことを意味し、またそのことはザッパが絶えずレパートリーを増やし続けていたことを示す。また、録音して商品とするまでに時間のかかるアルバムは、当然ツアーでの演奏内容より古いものとなるが、ザッパの場合は特にその傾向が強く、ザッパはツアーを充実させる一方で、ツアーしていない時期にアルバムのための編集を行なうという、ふたつの大きな仕事に引き裂かれ続けたと言ってく、どちらも疎かにしなかったことはたとえば本作によってもわかる。また、ツアーではロキシーのような例外はあるが、ほとんど毎晩違う場所で演奏するので、ほぼ同じレパートリーでもいいが、アルバムでは二番煎じ的なことを極力避けた。過去に発表した曲を再録するのはアレンジを著しく変えた場合に限り、基本は新曲優先であった。その基準に照らすと、『ロキシー・アンド・エルスウェア』を『ロキシー』として全曲を書き下ろしとすることが出来たにもかかわらず、そうしなかったのはなぜかと思う。『ロキシー・アンド・エルスウェア』においてロキシーで演奏されなかった曲は第3面の「オレンジ州の息子」と「モア・トラブル・エヴリ・デイ」で、2曲で12分だが、一方ロキシーで演奏しながらカットした重要な曲「ディッキーのクソ野郎」はそれと同じほどの長さがあり、同2曲の代わりに収録すれば、『ロキシー・アンド・エルスウェア』という中途半端な題名ではなく『ロキシー』とすることが出来た。同2曲は古いレパートリーの新アレンジだが、「オレンジ州の息子」には当時のザッパを代表する印象深いギター・ソロを含み、また「ディッキーのクソ野郎」ほどの直截さはないが、やはりニクソン大統領を風刺する歌詞を含む。つまり、同2曲と「ディッキーのクソ野郎」を比べると、後者を収録した方がより新曲ばかりのアルバムとなったが、前者に置き換えたところにロキシーでのライヴ以降の変化とその成熟ぶりを示したかったザッパの思いが見える。
d0053294_18342633.jpg ところで先日筆者は本作に含まれる「オレンジ州の息子」を聴きたいとトンチンカンなことを書いたが、その深層には、最初に書いたようにロキシーでの演奏は『ロキシー・バイ・プロキシー』や『ロキシー・ザ・ムーヴィー』によって満腹という思いがあるからで、本作の発売予告を知った時、本作を「出がらし」といった形容をしたと思う。それは『ロキシー・アンド・エルスウェア』が原盤で、ロキシーではない「その他の場所」の実体を知りたいとの思いがあるからだが、本作のようにロキシーでのライヴ以降の同じメンバーないしゲスト・メンバーを加えての演奏のすべてをCD化することは、100枚以上のセットになるはずで不可能だろう。だが、ザッパが『ロキシー・アンド・エルスウェア』の選曲をした理由を知るには、ロキシー以降の演奏を聴く必要がある。それに、前述の2曲はロキシーで演奏されたかのように音に差がなく、そのように聞こえるようにザッパが工夫したとすれば、アルバム作りに対する強い思いがうかがえ、ツアーに出ていない時の仕事ぶりに今さらながらに驚く。さて、今日の写真を説明しておくと、最初はアマゾンから届いた大きなダンボール箱だ。7枚組のデジパックを期待したが、それでは6000円台の価格は無理だろう。箱は厚さ3.5センチで、銀紙に印刷し、見る角度によってザッパの姿やROXYのロゴが光る。また内部も銀紙を貼るが、この銀色はロキシーでのステージの背後に垂らされたカーテンと符合している。3枚目の写真は箱の裏側で、銀色が照って見えにくいが、『ロキシー・アンド・エルスウェア』の裏ジャケットからザッパが演奏するギターをトリミングする。これが先日紹介したドゥイージルのギター・アルバムのCD盤面と同じ角度で、また同じギターでもあるのが興味深いが、そのアルバムの内側が写真の下側だ。ブックレットはまだ読んでいないが、表紙を含めて48ページある。冒頭の解説はジョー・トラヴァースとザッパ・ファミリーの友人でオーストラリア人のジェン・ジュエル・ブラウンが書いている。このふたりはブックレット半ばの「THE FILMING」という文章も担当している。アメリカの大西さんから一昨日メールがあって、すでに本作が届き、また本作の映画の側面がよくわかると書いてあった。ブックレットではジェン・ジュエル・ブラウンは「EN ROUTE TO THE ROXY SUNSET STRIP、 HOLLYWOOD、CA」(サンセット大通りへの道)と題する文章も書いている。最後に「ロキシーでのザッパ」と題してデイヴ・アルヴィンというグラミー賞を獲得したアメリカのシンガー・ソングライターによる去年3月の文章があって、書き手には不自由していないようだ。本文の文字などのデザインは『ロキシー・アンド・エルスウェア』に倣っているが、同アルバムのデザインを担当したカル・シェンケルの名前はなく、本作のアート・ディレクターはマイケル・メスカーとなっている。彼は『ロキシー・バイ・プロキシー』のデザインも担当した。そう言えば同作は本作の部分で、この全体対一部の対照は、『HALLOWEEN 77』にも言え、今後のザッパ・ファミリーの商法が見える。そこそこのファンは一部でよく、マニアは全体を買う。
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by uuuzen | 2018-02-06 23:59 | ●新・嵐山だより(特別編)


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