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●神社の造形―長田神社、その3
感にしたがった、随筆にもならないただの覚え書きの文章だが、今日は長田神社についての最終回を書く。長田商店街という呼び方がふさわしいのかどうか知らないが、阪神大震災で大きく焼けたのは、神社の参道沿いにある商店街とは違ってもう少し南西にあることが地図を見てわかった。



●神社の造形―長田神社、その3_d0053294_22270302.jpg
その辺りにJRの新長田駅がある。駅名からして新しい長田地区だろう。神戸は海を埋め立てて南に延びた街で、長田三宮から西方もそうだかどうか知らないが、長田の古くからの中心は長田神社のある付近だ。そう言えば新開地も「新」がついて、開発されたのは明治以降だ。NHKの番組で新開地をタモリが歩いた回を見たが、新開地はその東西の街区と明らかに違うことがわかる。道路がそこだけ楔を打ち込んだように斜めに走っている。神戸高速鉄道の新開地駅から南部はなおさらで、まだその地域を歩いたことはないが、方向感覚が鈍るように思う。それはともかく、長田神社がとても古い歴史を誇るとして、新長田や新開地に神社がないかと言えば、地図を見れば長田港の岸壁から100メートルほどのところに神社がある。新開地も同様でJRから南部に寺や神社が目立つ。これは埋め立てた土地があるとしてもそんなに大きくはないことを意味する。現在の長田や新開地の浜辺は、海水浴に利用されるような砂浜のある場所ではないことは地図からわかるが、工場を建て、港として整備するに当たって、明治以前の海岸線をさほど沖に向かって延ばさなかったのであろう。海沿いの神社は高松でいくつか見たが、神戸もそれに似ていると想像する。あるいは、埋め立てに伴って神社を移動させたことはあり得るから、本当のところは郷土史をひもとかなければわからない。さて、今日の最初の写真は楠宮稲荷社だ。本殿の真裏にあって、境内にある大きな楠にふさわしい名前だ。昨日の2枚目の拝殿を真正面から捉えた写真には、背後に大きな木が何本か見えるが、大正時代の絵はがきに比べると空が目立つ。神社の巨木を大きく伐採して空が広くなることは京都梅津の梅宮大社で筆者は実感したことがあるのでさほど驚かないが、樹木を倒して空いた土地を駐車場にするのとは違う場合、あまり樹木は切り倒す必要がないかと言えば、案外そうでもない。老木は台風で倒れやすく、またそうなると建物に被害を与えるから、樹勢を見ながら枝を適宜払うことは必要だ。だが、背の高い木が多い土地が森のように感じられることと、林のようであることでは大いに差があり、神社の境内は森であってほしい。筆者が2週間に一度は真横を自転車で通りがかる桂の五社神社は、参道を含めるとかなりの細い縦長の境内で、また無人でかなりひっそりとしているが、残念に思うには巨木のほとんどが葉をほとんどつけないと思えるほどに枝が大きく払われていることだ。あまり鬱蒼とし過ぎると隣り合う他人の土地を邪魔するとの考えか、あるいは社殿が樹木に隠れてしまえば、いたずらされる可能性が大きいからであろうか。それでも樹高はかなりあって、遠くからそれが目印になる。神社はそのように高い樹木はつきもので、神社がなければ日本の都会は本当に殺風景になってしまう。最後に残された自然が神社の境内にある。
●神社の造形―長田神社、その3_d0053294_22272349.jpg
 ネットによればこの楠宮稲荷の絵馬には赤いエイの絵が描かれているらしい。筆者が撮った写真の右手に絵馬がたくさん見えるが、絵柄まではわからない。また赤いエイは楠に宿る神の化身とされるとあって、この神社は痔を患っている人が祈るといいとされているが、楠とエイ、そして痔を結びつけるのはこの神社特有のことではないか。海からさほど遠くない神社であるので、エイを神様とすることに不思議はない。また赤エイであるので痔という発想もうなずけないこともない。エイやフカはすり身にしてカマボコやてんぷらにして食べたのだろうが、これはたとえば中国地方であれば三次のような山間部に目立つことで、長田神社辺りではエイを食べずにもっといい魚に恵まれた気がするが、赤エイと楠、そしてこの神社を結びつける何かが由来書に記されているかもしれない。それはともかく、拝殿の裏手までお参りする人は多くないと思うが、写真の背後に巨木が並び、奥深い森の中の神社という雰囲気がなかなかよい。2枚目の写真は楠宮稲荷を少し東に行き、本殿の裏手の東北角を向いて撮った。これは天照大御神社で、隣りに八幡社が並んでいる。緑色の垣の隙間から中が覗けそうだが、そうしてもよいための隙間を空けているのか、単なる風通しのためか。その両方と思うが、中が見えそうで見えないのがいい。完全に閉ざすと拒否されている気分になるし、あけっぴろげではありがたみがない。3枚目の写真は長田神社を時計盤に見立てた場合、3時の場所に相当する。楠の巨木の下に小さな祠が並び、昨日の3枚目の写真とよく似るが、戎大黒の石像や幟旗がない。昨日の3枚目は拝殿に向かって左手で、それに呼応するように右手にある。これもネットで調べると、昨日の社は蛭子社と出雲社で、今日の3枚目は松尾社と月読社だ。京都の松尾大社の南に月読神社があって、どちらも筆者には馴染みだが、生田神社にはもっと大きな松尾神社があって、神戸では松尾大社が昔からよく知られるようだ。松尾大社は酒で有名で、それが神戸の灘の酒とつながったのであろう。一方、梅津の梅宮大社も日本最古の酒の神を祀るとされていて、1キロほど西の松尾大社とどちらが酒に関して本家なのか地元住民でもわからないが、松尾大社の方が圧倒的に境内は広い。だが、梅宮大社は長田神社と同じく官幣中社であったから、格は高い。それはともかく、3枚目の写真は小さな社の背後に酒の薦樽がたくさん並べられ、そのことで松尾大社の末社であることがわかる。写真の右下に落ち葉などを拾い集める荷車が見える。掃除を欠かさないことは、訪れた人の心が清まるためにも神社や寺の重要な作業で、これをわが家でも日々忘れてはならないはずなのに、物が溢れて部屋の片隅にいつの間にか綿埃が積もる。そういう人間が神社を訪れることは矛盾しているか。ないものねだりは誰にもある。家の中が寺社仏閣のように塵ひとつなければ、わざわざ寺社に訪れる必要がないし、またその存在も不要かもしれない。俗世間が塵だらけであるので、それがない聖なる空間が求められる。
●神社の造形―長田神社、その3_d0053294_22275117.jpg 4枚目は3枚目から場所がわかる。筆者は神門内部の際で東を向いて撮った。昨日書いたように、神戸や京都の三社まいりの期間は7日までで、新年の祈祷を受けつけていたが、訪れている人は少なかった。寒さのせいもあるだろう。体があまりに冷えたので早々に引き上げることにした。帰りは東側の商店街を南下するつもりが、往路と同じ道をたどった。そして、また店を1軒ずつ吟味し、往路とは別の靴屋の店先で立ち止まった。家内が男物の黒い長靴を見つけたのだ。雨や雪の日でも筆者はスニーカーで梅津に買い物に行くが、昔は長靴を履いた。いつかわからないほど昔にそれはなくなり、また長靴がほしいなと思い続けていた。1年前は裏庭の合歓木を伐採し、その落ちた枝を拾うために小川の中に入ったが、スニーカーがずぶ濡れになった。買おうと思えばいつでも買えるはずが、実物を売っている店になかなか遭遇しなかった。それほどに長靴はもう売れないのではないか。道路がことごとく舗装され、たまに出来る水溜まりはすぐに補修されて平らになる。長靴が不要な時代になったのだ。その雨天には大いに役立つゴムの長靴が目の当たりにあったので、即座に買うことにした。サイズは合うし、現品限りの見切り品だ。往路では家内は自分の安物のファッション・ブーツを買おうとしたのに、それが筆者の長靴に化けた。先日早速それを履いて梅津に出かけたが、サイズはちょうどよかった。今時そのような長靴で歩いている人は見かけないが、それがまたよい。長田のその店でもおそらくいつまでも売れないので見切りの値札をつけたのだろうが、長い間売れなかったのではないか。儲けなどほとんどないはずなのに、初老の店主夫婦はとても愛想がよかった。長靴を買った後、家内が先ほどブーツを履いてみた靴屋の前を通ると、中には若いふたりの女性客が入っていた。そこを通り過ぎて、とある洋菓子店でコーヒーを飲むことにした。ほかにも喫茶店はあったが、入った店は玄関の間口全体がガラスで、中で座ると外がよく見えてよい。扉近くに小さなテーブルがひとつあるだけで、本当は喫茶店ではない。往路ではそこに老人男性客がふたり座っていたが、帰路では客の姿が見えないので中に入った。とても暖かく、モダンジャズのピアノ曲が流れていた。扉には関西TVの朝の番組「よーいドン」が取り上げる店のステッカーが貼ってあって、以前にタレントが紹介したことがわかる。そう言えばより西の板宿の商店街も同番組で紹介されたことがあった。それを見ながらいつか行きたいと思ったが、昨日書いた菓子を車に載せて売るOさんと板宿で会うのもいいが、電話すれば住所を教えてくれるだろうか。あるいはOさんは毎日灘の水道橋筋商店街の東端にある銭湯に入って帰るとのことで、季節のいい頃に一緒にその湯船で話すのもいい気がしている。ただし、想像だけで、そのようなことはないだろう。喫茶店では若くてきれいな女性がコーヒーを運んでくれたが、紙コップに入っていた。水用のそれは見たことのない小さなもので、家内は珍しいのでそれを持って帰った。道行く人を眺めながらしばしくつろぎ、体が温まった後、外に出ると、家内は言った。「紙コップでは味がよくないね」「人件費の節約か、陶器のカップをいちいち洗わせられるでは働く若い女性がいないんやろね」。ま、値段に応じた内容ということで、それほど不満であったわけではない。
●神社の造形―長田神社、その3_d0053294_22282189.jpg

by uuuzen | 2018-01-28 23:59 | ●神社の造形
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